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2014年スーパーボウルハーフタイム

2014年2月4日FACEBOOK記事転載

自身の備忘録として今年のハーフタイム統括。
とにかく日本国内においても、TWITTERやFB上で普段アメフト見ないような人もハーフタイムに言及しているのは見逃せません。アメフの人気の薄い日本なのでこの軸から巧くアメフトへの関心喚起を促す術が無い物かと思案中。なので色々と考察をしている訳ですが。。。

ご覧になられた方は同じ意見だと思いますが、近年のスーパーボウルハーフタイムと比べると今回のブルーノ・マーズのパフォーマンスは極めてオーソドックスなライブショーでした。
近年のゴージャスなステージセットや場展開も、前年度迄のこの3年程はド
ーム開催で自由度が大きかった事もありますが、、、

今年の演出はドーム内でのパフォーマンスに比べて控えめにならざるを得ませんでした。

ドームでの開催ではないので、天井の屋根から吊ったプロジェクタを使用したプロジェクションマッピングなどの飛び道具も使えません。8-9分のセットアップ、8分の撤収でフィールド上に組み込まれるステージセット。電気系統の問題、搬入搬出での雪の影響。etc....
今回は極寒のNYでの開催という事もあり、荒天の場合、ハーフタイムがキャンセルされる可能性もあっただけにステージセットがシンプルなのは仕方無いかもしれません。

しかしそれでも、スーパーボウル史上、最年少のハーフタイムヘッドライナーとなったブルーノへの注目は過去最高ともいえる数字をたたき出す事となるのです。

そこには入念に仕組まれたマーケティングプランが存在するのです。

Hyped for the half timeと名付けれらた事前プロモーションについてはまた別の機会に後述しますが、今回のブルーノマーズの事例について考えてみましょう。

今回のハーフタイムの視聴者数は1億1500万人。昨年のビヨンセは1億800万人、一昨年のマドンナは1億1400万人を上回り史上最高を記録。

44公演をソールドアウトして終了していたMoonlight Jungle Tour。米国内での追加日程が1月末に発表。スーパーボウル翌日の月曜日から追加40公演のチケットが発売開始となりました。

ツアー販売にも好影響が反映されて、販売当日に既にマジソンスクエアガーデンの2公演、ハリウッドボウルのチケットは即完売。その他ベニューでのライブも売り切れが続出中とのこと。

ハーフタイム中の彼のショーに関するツイートは230万回。Shazamを使って楽曲を検索した回数はSB全体で70万回を数えましたがそのうち、半数以上をハーフタイム中に記録。これも、ともに史上最多。

楽曲検索やSNSのバイラルはデジタルダウンロードに多いに寄与しました。
現在、iTunesでアルバムは1位。ファーストアルバムも3位まで上昇。シングルはトップ100に11曲がランクイン、とセールスに結びつけています。
フィジカルのアルバムは前週からから今週にかけて4万枚を販売。前週が1万5千枚でなので164%のアップを記録しています。無論、先週のグラミーベストポップアルバム受賞も含めて露出が激増した相乗効果もでかい。

昨年のビヨンセは2011年のアルバム”4”が同時期に4000枚という物足りない数字でありますが、これは彼女の過去のカタログ数が多く、売り上げが各カタログに分散している事も起因しています。

アルバム2枚しか出していないマーズはカタログが少ないので集中して売れているって事もあるでしょうが、上記の数字は間違いなく今迄、リーチ出来ていなかったファン層へアプローチが旨く機能していると言えます。
スーパーボウル史上、最少年齢としてフロントアクトを務めた彼は今回の出演で一気にアーティストヴァリューと知名度を飛躍的に向上させたともいえるでしょう。

もう少し掘り下げてみます。

Bruno MarsのマネジメントはWilliam Morris Endeavor。

世界最大級の老舗タレントエージェンシーにして傘下にコンサルティングファームや広告代理店、モバイルアプリ開発会社などを持っていて、実はNFLもここのコンサルティングファームのクライアントという繋がり。そしてWilliam Morrisに在籍していたKristin Patrickが今年6月にスーパーボウルハーフタイムのスポンサーであるペプシの世界戦略マーケティングCEOとして就任。ペプシが音楽をミクスチャーして仕掛けるプロモーション施策である ‘Live for Now’ の責務を負っている。。。。

という事でNFL、Bruno、ペプシのそれぞれのステークホルダーが絡み合って施策が打たれたのが今回のスーパーボウルハーフタイムショーと言えるでしょう。

ここで少し見えてきました。

スーパーボウルWEEK前、90日間のブルーノ・マースに対するソーシャルメディアでの言及は440万回。しかし、ハーフタイム出演の波及効果はでかい。ハーフタイムのわずか12分間で90日で積み重ねた数字の半分にあたる220万回のTWEETを記録。一気に彼の名前とパフォーマンスの高評価がSNSに駆け巡った事になります。無論、彼のパフォーマンスが一級であった事が全てですが。。。

父親はプエルトリカン、母親はフィリピーノでソーシャルメディアのフォロワーはヒスパニックが多いと言われる彼を全ての人種構成へアピールするのにスーパーボウルでのパフォーマンスは多いに寄与しました。

多種な人種構成の子供たちのクワイアで始まるハーフタイムのオープニングは象徴的とも言えるでしょう。

ブルーノの音楽の普遍性と、60'sソウルスタイルの衣装とパフォーマンスは年齢層が高めとされるNFLのコアファン層に対しても強くアピールしました。

彼自身によるドラムソロで始まるオープニングも彼の実力性をアピールする為の演出と言えます。

彼の両親と同じ年齢層のメンバーで構成されたRED HOT CHILLI PEPPERSとの競演も彼らのファン層である中高年層にブルーノ・マーズというアーティストを知らしめるのに大きく寄与したといえます。絶妙のキャスティングであった訳です。

ということは。。。。

今回のハーフタイムの大きなゴールはファン層が比較的、若い世代、マイノリティに偏っていたブルーノのファンベースのデモグラフィックを拡大し、一気にスターダムに伸し上げる目的があったように思えます。

近年では異例の9月の時点でのSBハーフタイム出演の公式発表。

当時、ツアー継続中のブルーノには多いにチケット販促に繋がるPRだったでしょうし、アルバム、シングルセールスにも多いに寄与した筈。グラミーへの大きなステップにもなった事でしょう。

今回のスーパーボウルの出演。そして米国内ツアーの継続はブルーノのPR施策のセカンドエフォートと捉える事も出来ます。

今回の追加ツアーを経て次作に向けてのロードマップは綿密に練られた施策の元にあるのでしょう。

最後に9月にリークされた彼のハーフタイム出演の正式発表時のイントロビ
デオを再度見てみましょう。

あらためて見返して、このビデオから全ての仕掛けが隠されていたと思えるのです。いやーぁ。アメリカのショービズは深いなぁ。。。

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