第2章:クラッシャー部下体験記⑤アクション

診療内科では中等度のうつと診断。
休職は勧められたが、生活がある。休むわけにはいかない。
薬は処方されたが手はつけなかった。
診断、それだけで救いになる。
上司に相談するための一つのきっかけになる。

まず、直属上司の部長に相談。
人情はそれなりにある人なのだが、機微に疎く、結局問題の本質を理解してくださってない。
もっといえば、厄介な人間関係になるべく介入したくない性格だった。
病院に行ったことを伝えても、繁忙期の手前「まあ、あんまり考え過ぎないで頑張れよ」
と言われ、意味なし。
ただし、上司も問題は感じたのか、Bに「お前、人への物の言い方がきついから気をつけろ」と、そのままストレートに注意はしてくれて、その日のうちに部長の上司の取締役に話はつたわっていた。

病院にいった翌日、その取締役からランチに誘われ事情聴取を受ける。
脆くなってる自分は、説明しながらすぐに泣いてしまう有様。
これまでの経緯を語るにも、頭が働いてないのと、当時は自分ができないせいで、、、という思い込みが強すぎて「私はもっとBの役に立ちたいのに何もできていません」みたいな、偏りのある発言にすっかりすり替わってしまってた。

案の定取締役からは
「お前が仕事で向く方向は間違ってる」とか
「Bは仕事を抱えでもやれるんだから、お前は新規の仕事を作ることに集中しろ」とか
確かとどめをさされたのは

「お前はものすごくプライドが高いんだな」

という言葉。
上司Aから自尊心をすでにズタズタにされ、自信がないがゆえに今みたいな確執が起きているのに、プライドが高いと言われる、、、私はもう自分自身が判断できなくなっていた。
この取締役の言動により心の混乱をかえって大きくしてしまった。

そこからの日々は1日1日がサバイバル。
朝礼の業務報告が怖い。朝が来ないで欲しい。
会話は成立しないので避けてしまう。
他のパートさんへのあたりもキツイので、そこはさすがに介入するが、またB対私のバトルに移行。
パートさんもオロオロ。
夕方の終業前の業務進捗確認の時間も朝と同じ。怖くて仕方がない。
だからわざと忘れたふりをする。
すると「リーダー、夕礼ちゃんとやってくださいよ!?」と言われるわけだが、この一言で済むからやらない方を選んでしまう。

こんな毎日の繰り返し…
Bの業務はピークを迎え、わずかながらある私の既存受注案件のピークが重なったところで。
Bが担当する案件で、クレームが発生した。
上層部からはマネジメントのチェック不足を指摘された。
当然だ、でも、聞いても「あなたが聞いて何かわかるんですか?」とか言われてしまうし、聞かなければ「私の仕事には興味ない」とか言われ、そんな案件で、何故状況を把握してなかった?と言われても把握しようがなかったのである。

もう限界だった。
部長も取締役も相談は聞いてくれたが、その場しのぎだった。
最後の手を打とう。
これでダメなら、身の振り方を考えよう。

ある朝、社長にメールを書いた。
200人規模の会社なので、社長との距離は比較的近い。
Bの悪口になってはいけないと思った。
あくまでも会社としてのロスになるできごとを伝える主旨としたかった。
以下のような文面にしたと思う。

「実は、Bさんとの意思疎通を図ることが現在困難です。その結果、先日のようなクレームも発生してしまいました。Bのもつ高い能力もこうした組織構造の問題で発揮できないのは会社としても勿体ないと思います。組織を改善をいただくことで、私も会社により貢献できると感じています」

すぐに返事が来た

「つらい状況の中で前向きな提案をしてくれたことを嬉しく思います。ただ、今はご存知の通り最繁忙期です。どうか今しばらく時間をください。必ず何とかしますから。Bの話し方については気になるところがあるので、部長から再度注意させます」

部長よりも取締役よりも、組織上では遠い立場の社長が、一番自分の置かれている状況を理解してくれていた。
行動することはやはり大事なことだと思った。

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