第2章:クラッシャー部下体験記①悪循環

前回のコラムで部下Bについては少し触れた。

一緒に働き始めて数週間。
どうしても私が彼女に対して、耐えられない事があることに気づく。
それは「挨拶をしない」
どうやら社内の人、近しい人ほどしない。

どうしても自身の性格上、「挨拶をしない」=「避けられている」というような思考回路に陥りやすい自分がいる。
朝一番がその状態であると、非常に話しかけづらいのである。
今にして思うと、すごく気まぐれな子だったのだと思う。
こちらのペースで話しかけると、常にイライラしている様子だった。
更に、彼女は表情に乏しく、何を話しても「で?」という顔をする。
何故かお客さまの前でだけは、笑顔の応対ができるのだが・・・
ただでさえ、少ない人員構成の部署で、話す相手として必然的に彼女が多いのだが、毎回様子を伺ってしまう状態だった。

仕事の割り当ての問題もあった。
私の部署は「収益は見込めないけど、政治上なくてはならない」担当先が多いところであった。
私が着任した時点で、担当企業をBと割り振る際に、私の方に何故かその政治的な部署の担当を偏らせてしまった。
それは、何もわかっていない自分が振り分けて後から分かった事だった。お付き合いのために、先方さんに顔を見せ続けるだけ・・・の日々。
とはいえ、商談相手はいずれかの企業のCEOや執行役員などの肩書がつく重鎮ばかり。
仕事を頂けなくても、当社の存在があることを常にアピールしなくてはならない。

しかし、お忙しいお偉いさんにお目にかかるには、話しかけにいく理由づけのためにそれなりの資料が必要だ。
だから、資料作成に躍起になる。
毎日、資料を作るか、顔見せに行くか。
一方Bは、既に年間計画で既存で受注する予定の定まった手堅い担当先ばかりなので、受注案件の処理を粛々と進めている。
営業の顔見せは不必要には行かない。これが彼女のスタンス。
毎朝、業務確認を行うのだが、これが本当に苦痛だった。
だって、私には進んでいる案件がないのだから。
私は、資料作成か営業回りばかりだったので、それをその日に伝えると

「一体いつまで、資料作り続けてるんですか!?」

上に書いた通り、もちろん私もこのリーダーという立場で着任した以上なんらかの成果を出したい。むしろ、モラハラをバネにして営業で活躍して見返したい!ってそう思っていた。
しかし、需要がないものはないのである。
しかも需要がなくても、営業できるテリトリーは決められていて、開拓もできない部署だった。

元々、モラハラ上司から受けたダメージが深く残り、自身の気持ちは「役立たず」から離れる事ができなかった。
部下は着々と仕事をしているのに、何も成果の得られない自分はますますダメな人間だと思った。
こういう自分がどうしたら、少しは存在価値が出るのだろうか。

①部下の受注した仕事をサポートする
②取引先さんから可愛がられる

この二つしかないと思った。
しかし、この想いは、やがて部下とは対立を生むことになり、やがては自分を更に深く傷つける原因を作ることになるのである。




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