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LAP | ジェンダー単元_事前課題

LAPとは
哲学的なアプローチをベースに、国際社会で活躍する方々との対話や、地方での小さな営みから学ぶ合宿など、机上の学習だけではなく直接的なふれあいの中で感じ、考えることを大切にした学習プログラム。

仕事、大学院と2足の草鞋を履いていますが、
3足目にチャレンジすることにしました。
それがこのLiberal Arts Program for next leaders、通称LAP。
福岡を中心に各地から大学生が学びの場を求めて参加。
自分の専門分野に閉じがちな今、視野を広げて学際的な学びをしたいと思い、社会人メンターとして関わっています。
これから約半年間、LAPの予習や復習の記事を投稿していきます。


ジェンダー単元 予習

今回の課題図書

『現実はいつも対話から生まれるー社会構成主義入門』(2018) ケネス・J・ガーゲン/メアリー・ガーゲン

1. 日本における男女間賃金格差問題について現状を把握し、自分なりの考察をしてみる

  • 非専門職、非正規の職を女性が担う傾向が強く、昇格も男性に有利に働く傾向がある。その背景には、①性別役割分業の意識の名残、②学歴・学校歴の差、③ロールモデルの不在があるのではないか

    • ① 性別役割分業の意識の名残
      かつての日本では、結婚退職(寿退社)、出産退職が通例として行われており、女性も母親役割、妻役割を全うすることが自らの使命だと考える傾向が強かった。昨今は女性の社会進出が進んでいるとはいえ、その意識が完全になくなったとは言いがたい。

    • ② 学歴・学校歴の差
      特に地方において、未だに男女間での学歴・学校歴の差が開いている。「女子は大学には行かなくていい」「出るとしても福岡まで」といった、女性側に不利に働く状況を親が後押ししている状況も続いている。一方で、大企業を中心に学校歴と採用の関係性は強く、一定の実績がなければ就職さえ困難である

    • ③ロールモデルの不在
      「リケジョ」「女性社長」のように特定のステータス×女性、が特別感を持って扱われるように、極端に少ない状況が続いている。そのため、後に続く女性が自分自身の将来像のイメージを持つことができず、状況の改善が遅れているのではないか。

  • また、男女間の賃金格差是正は特に企業の問題だとして、政府としては全体的な賃上げや非正規雇用者の待遇改善など、他のことに話題がすり替えられがちである

2.男女間賃金格差問題について考えるとき、Aの問いで考える場合と、Bの問いで考える場合で、どのような違いが生まれるか/生まれないかについて考えてみる

A「なぜ女性の賃金は男性より低いのか」
B「格差を説明するために、どのように優劣を可視化し、論理化しようとしてきたか」

まず、Aは事実を、Bは解釈を問う問いであり、
以下のように構造的な違いがあるのではないか。
A: 事実
女性の賃金は男性より低いという「事実」に対して、原因という「事実」を問うているのではないか
B: 解釈
優劣をどのように可視化・論理化(=解釈)することで格差を説明(=解釈)してきたかを問うているのではないか
生まれる違いとして、Aは女性の賃金が男性より低いことを前提に、その原因の検討のみで議論が終始するが、Bは優劣とは何か、何を以て差が生じているのか、というより根本的、概念的な話に発展する。



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