木工のはなし

箸の製作依頼を受けたので、三膳ほど作ってみた。
材はハカランダ。アコースティックギターのサイドバック材として、最高級の木材だ。

箸を製作するのは初めてだが、想像以上に難しかった。
もちろん大まかに製図はするのだが、それを脳内で3D化して、完成形をイメージしながら削っていくので、結構集中力を要する。
シンプルな円錐形なので、その分わずかなズレも目立つ。何とか実用に耐えるものが完成したが、基本的な技術を試される様に感じた。


元々は、こんな薄板である。
エキゾチックな杢目が出ているものの、表面はガサガサだし、見た感じはただの板切れである。



桟状にカットし、鉋をかけていく。
この状態でも、まだ板切れが棒切れになったという感じに過ぎない。



ヤスリを掛け成形すると、ようやく箸らしくなってくる。
ある程度の工程が進むと、ただの板切れや棒切れが、突然モノとしての命を宿す瞬間がある。木工をやっていて一番楽しいのは、この瞬間かもしれない。

元々は趣味の楽器製作からスタートした木工、今では色んな仕事を頂いてありがたい限り。

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