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竜とそばかすの姫 ドラゴンパートその6(ヒロちゃん無双 前編)

大人の皆様、今日も今日とて戦う前に勝っていますか?ご苦労様です。この文字数のやたらと多い考察記事は「竜とそばかすの姫」を見てモヤ山直太朗になっている皆様への処方箋その6です。モヤモヤする理由は簡単でこの映画は①高知県の喪失を抱えた女の子②U世界(美女と野獣含む)③ドラゴンパート のストーリーが3重構造になって同時進行しているシナリオだからです。ドラゴンパートのストーリーを書いていきますんで、どうぞご自由にスッキリしてください。遂にヒロちゃんの恐ろしさが発揮される時が来ました。「忍くん騒動で鈴を助けた時の方がまだ難易度高かったわ」ヒロちゃんが豪語しておりますが果たしていかに。

まず現在の残るモヤモヤを整理しましょう。①なんで恵くんは弟に母親のことを秘密にしているのか?②鈴はなんであんないい加減な位置情報で恵&トモを見つけることができたのか?③そもそも恵とトモはなんで鈴を信じて外で待ち受けていたのか?④あの兄弟はあんなことで助かるのか?この4つのモヤモヤをスッキリさせていこうと思います。

「せんせい、ご協力に感謝します」鈴のお父さんの話を聞き終えたヒロちゃんが訪れたのは先生の自宅です。「礼にはおよばんよ、鈴くんが何かしでかしたら我々教員も困る。」苦笑いをするヒロちゃんです、上がらせていただきますと先生の家におじゃまをし、キッチンのテーブルにつきます。「私たちがやらなければいけないことは鈴ちゃんが兄弟を助けるのを手伝うこと、そして極力それを穏便に終わらせることです。彼女はどんなことをしても兄弟を救おうと覚悟しているようですが、我々が彼女の自主性に任せるがままにするのは間違っています。要は兄弟を救えればいいのです。ならば我々がより有効かつ合法的な手段を提示し、彼女をそちらに導いてあげれば良いのです。」先生はゆっくり頷きます。「私達の勝利の最低条件は鈴と兄弟を接触させ、兄弟の心を開き、兄弟に虐待の事実を児童相談所に告発させることです。送信させていただいた画像を見ていただけましたでしょうか?」兄弟の父親は子供たちの身体に傷をつけないように虐待しています、虐待の証拠がないのです。暴言を吐く画像はありますが、暴言による虐待の場合は子供からの証言がなければ児童相談所は子供たちを親から隔離できません。故に鈴が兄弟と接触して、その心を開き、彼らに虐待の事実を児童相談所に告発させる必要があるのです。先生は言います。「別役(ヒロちゃん)、君が我々に協力を求めたのは正しい判断だ、こちらの準備は既に整えておいた」先生に感謝を述べるとヒロちゃんは続けます、「あとの問題は如何にして鈴ちゃんを正しく導くかです」。

ヒロちゃんは既に子供たちの母親が社会的な地位の高い人物なのではないか?と推測を立てていました(パート2参照)、恵が鈴に自分たちの所在を知らせようとした際、自分の携帯の画面をパソコンのカメラに向けてかざしたのは「この女性が誰かわかってくれれば自分たちが見つかるかもしれない」からそうしたのです。母が著名な人物だから恵はそのような行動に出たと見るのが妥当です、どのような職業かは竜のアジトが劇場となっていたことから推測できます。ここ数年で死亡した舞台女優をパソコンで検索したところ、ヒロちゃんは簡単に恵がかざした写真と同じプロマイドをネット上から発見しました。「そうだろうなとは思っていたけど・・・」。彼女が死亡した原因はわずかな失言をしてしまったことに端を発するネット民からの誹謗中傷でした。仕事が減り精神的に追い詰められたこの舞台女優は自死を選んでいます。「恵くんは母親を守れなかった自分を責めている、もしくはネット上の意見を信じてしまい母親を咎め追い詰めてしまったことが過去にあり、そのことで自分を責めている。だからBELLと初めて遭遇したとき殊更BELLの視線から逃げていたんだわ、BELLの姿が母親と似ているから(パート2参照)」。「恵くんが弟に母親のことを隠しているのはトモくんが母親のことを知れば母親がネットの誹謗中傷に晒されていたことを知ってしまうから、弟が傷つくのを恐れて隠さざるを得なかったのね」「恵くんのかざした携帯の母親のプロマイドの顔が潰れているのは母親の顔を知ったトモくんがネット上の情報から母親のことを知るのを恐れたから(行為は父親と同じですが動機は異なる)」「竜のアジトが劇場になっているのは母親が多忙のため子供たちと離れている時間が多かったから、子供たちを想うこの母親はUを使い子供達だけのために個人的なショーをやっていた、まさに秘密の薔薇ね。だから恵もトモもUのデバイスとパソコンと携帯を所持していた」彼女のホームページから家族写真も出てきました母親と父親と兄弟の写真です。彼女の大まかな住所も判明しました、カミシンが指摘した場所と符合します、そして大きな収穫として兄弟のフルネームが判明しました。流石に住宅地図には個人情報を秘匿するため記載がありませんが、これで十分です。

君に見せたいものがある。先生はそういうとノートパソコンを開き動画をヒロちゃんに披露しました。「ジャスティンのウィルスが恵くんのパソコンを通じて彼の父親のパソコンにまで感染したのだろう、彼の父親の部屋がUに公開されている。」ヒロちゃん同様に竜を追っていた先生はUで鈴が生身を曝け出したことで、鈴が竜と接触を試みていることに気づき、公開画面を片っ端から開き、視覚的な情報から兄弟の父親の部屋がジャスティンのウィルスに汚染され公開される瞬間を捉えたのです。「よくやりましたね。」「無関係な動画を片っ端から除外していっただけだよ、運もよかった」壁にかけられた家族写真を指差してヒロちゃんは言います。「これは子供達の父親の信仰ですよ。」舞台女優である妻を溺愛するこの男は彼女の不幸な死を境にして偏狭になっていった。部屋中に妻の写真を貼り、最初は心の並行を保つことができたが、やがて子供たちを虐待するに至り、そうするうちに壁にかけられた妻の写真はこの男の心の歪みに合わせて形を変えていった、そういったことが想像できる。妻の顔を潰れているのはそのため。ヒロちゃんはつぶやきます。「この男は妻を恐れていますが、同時に信仰してもいます、顔を潰すほど見られることを恐れているのに写真を捨てられないのはそのためです。しかもあんなに大量に」。ヒロちゃんは子供たちが虐待されている動画を先生にみてもらい感想が欲しいことを伝えます。「この虐待を行う男は後天的な精神病質者、俗に言うところのサイコパスと考えていい、妻の死がこの家族を不幸に突き落としてしまった。そういうところだろう」。やはりそうか。。。「この男の境遇に同情しても無駄というものだな。既に父親としての愛情を失っているのだから」。

サイコパスに関しては検索してください。ネット上に十分な記事がのってましたんでここでは割愛します。めんどくさいです。

先生とヒロちゃんは話し合った結果、一つの結論に至ります。『鈴がこの怪物を打ち負かすには彼女の言葉では無理だ、寧ろサイコパスに取り込まれる危険性すらある。態度・姿勢で恵とトモの母親に成り代わることをこの怪物に示し、この男の信仰心と恐怖心を利用し屈服させるしかない』。先生から得た兄弟の家の住所と今回の作戦を鈴に伝えるためヒロちゃんは電話をかけようとしますが、そこで指が止まります。「鈴ちゃんを知ることと竜をさがすことは同義だ。そう先生はおっしゃいましたよね。」先生は頷きます。「本当の鈴ちゃんを知らない知ろうとしない、そんな私は鈴ちゃんも鈴ちゃんに魅せられている恵くんやトモくんも助けることができない。問題は私の心にある、そういうことなんですよね。」先生は黙ってヒロちゃんの言葉に耳をかたむけるだけです。

                       次回、本番!





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