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FDS 箱田社長との対談:コロナ危機と相場予想

収録日2020年4月22日水曜日午後2時~2時半
この模様は弊社の動画サイトで公開しておりますのでご覧ください。
相場予測モデル「潮目ファインダー」は箱田社長が考案したモデルです。
このモデルの詳細な相場想定については、弊社の有料情報である「アメリカ株トレンドファインダー」で詳細に公開しています。

コロナ危機の現状

Q(川田):コロナ危機に対するいろんな人類の英知(治療薬、ワクチン、抗体検査)が市場に投入、反映されている。新聞等でも随分直近の情報が出るようになった。新聞報道、メディア報道をどういったポイントで見るべきか?

A(箱田社長):最初はコロナウイルスへの対応方法がわからなかった。重篤化して人工呼吸器をつけるような対処療法が主となり、特にイタリアを中心に非常に多くの国でコロナが蔓延した。しかし、多くの研究により、まず抗ウイルス薬の初期の投入、さらに自己免疫の暴走に伴う肺や心臓への非常に大きな影響等を整理して治療に対するプロトコールが少しずつ固まってきた。治療薬に関しては6月以降、たとえばアビガンの治験が終わればその後申請になる。今おそらく市場が見ているのは新型コロナウイルスの感染拡大による恐怖から今後の市場は企業の利益あるいはコロナ後の世界を見ている感じがある。

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リーマン危機で起こったこと

Q:トランプ大統領が死者数のピークを越えたという一方で何人死んだか等の非常に悲観的なニュースが多いように思うが、相場のこの戻りはコロナ後を見据えたことを少しは反映しだしているのか?

A:コロナに対して手の打ちようもない恐怖感から、少し先にはなるがコロナに対するワクチンの開発まで、人類のあらゆる資源を使ってコロナに対応することが徐々に市場で広まってきた。ただ、注目すべきはリーマンショックの時と同様、これだけの大きな危機になると期待インフレ率やVIX、ハイイールド債の動き、アメリカの長期10年債の国債もピークあるいはボトムをつけた日を考えておく必要がある。期待インフレ率は2020年3月19日の時点で0.5%だったが、直近では0.96%になった。VIXは2020年3月16日~19日の間、ハイイールドは2020年3月23日~24日の間、長期金利は3月9日に一番ストレスが高まった。ところが先日石油WTIの先物が初めてマイナスになってしまった。

Q:これらがボトムを付けてその後どれくらい反転したか?
A:リーマンショックの時にそういう現象が起きている。いずれも4つの指標が2008年11月下旬から12月にボトムを付ける。しかし株価の底値は2009年3月9日。ボトムを付けたその後3か月位以内に大底つける。

Q:マーケットはこの2週間で10数パーセント上がって急激に反発し、この二日間は調整しているけれども、これはやはり6月までの先を見据えた戻りと考えていいか?
A:まずは 6月までの戻りだと考えており、二番底もそこまでの間で発生する。市場は、今回の石油のマイナス価格からの期先へのプラスの動きは、コロナの先を見ている。いまはまだ経済がダメだから 石油が余っているので期近先物は目先のマイナスの動きとなった。今後は、決算発表を気にし始め足元の悪さと将来の見通しの綱引きとなる。

Q:例えば直近BMやコカ・コーラも決算が出ている
A:全体的に企業の利益の、特に見通しに関する注目度合いが上がってきた。遅くとも2021年後半にはワクチンも出る可能性がある。その半年前2020年末から2021年半ばにはワクチン可能性は株式市場に織り込まれ、コロナの後の回復を映し出すだろう。

Q:ただただコロナに対する恐怖が支配していたところから足元を冷静に見られるようになったということだ。ところでコロナについてだが、感染者は意外に感染数が多かった?
A:英国の調査で、イタリアの感染者数は実際の50倍と推定されるとの報告があった。

Q:ということは実際の致死率は意外に小さいか?
A:イタリアは6000万人の人口で10%が感染600万人で2.4万人が死亡した。死亡率0.4%。そうなるとそれほど恐ろしい伝染病だったのか?という見方も出てくる。(インフルエンザの致死率は0.1%程度と比較すると高いが、医療崩壊が生じたことからする低い可能性も)

Q:メディアではそれほど冷静になれないが、それが事実ということか?
A:高齢者の致死率が高い。ただ治療プロトコールが少しずつ見えてきているところが明るい材料だ。そのような対応により死に至る人が減り始めると思う。

Q:銘柄ではどうだろう?アビガン? 世界水準ではヘドロキシクロロキンとアジスロマイシンのコンビネーションが主流になるのか?
A:供給力がカギになる。アビガンは日本の会社でも一ヵ月に数十万錠しか作れない。抗マラリア薬だと何千万人分用意できるから主流になる可能性がある。

原油下落、信用市場の影響

Q:原油との絡みでマーケットはどうか?5月物は初めてマイナスで決済されるが?
A:サウジ、ロシア 5月初めから1日当たり1000万バーレル減産。コロナで2000-3000万バーレルの需要が蒸発した
洋上タンカー備蓄も難しい。買ってしまった原油の受け渡しに関してコストを買い手が払って引き受けてもらうような現象が起きている。原油安はすぐには終わらないが、景気回復の今後の方向性を見る上で非常に重要な指標だ。期待インフレ率が原油価格の低下によってどの程度低下するのか?それが問題だ。それ次第では株価の底入れにも影響してくる

Q:信用市場、ジャンク債への影響はどうだろう?
A:世界中の中央銀行が量的緩和に、とくにジャンク債の買い付けも行ったので、目先の信用不安は緩和されている。この緩和により将来はデフレよりはインフレの素地がある。今回のように需要が蒸発することにより物の受け渡しができないような事象は、産油国間の協力で1000万バーレル以上の減産実施の可能性や米国は戦略備蓄枠を需要減に対応するために使う用意があるなどから生じにくくなるだろう。インフレ率が低位安定し、今後の経済始動後の景気回復にはプラスに作用するだろう。

2番底はいつ?

Q:それが3月23日の大底より高いか、安いか?上で2番底を打ってほしいが?ではまた相場想定に戻りたい。例年セルインメイで株は売られるが?潮目ファインダーではどうは?決算発表は1Qが前年同期比でマイナス14%、2Qは同マイナス20%以上だ。意外に早い段階で2番底を探りに行くこともあるのか?
A:潮目ファインダーでは2番底を探りにいくのは5月と6月の2つの可能性があると考えている。3月23日よりは上だと思う。それらは押し目買いの想定だ。さらにリーマンショックの時の日柄が参考になる。VIX、ハイイイールドなどのピーク前後の3月中旬から下旬から3か月後、つまり6月初旬から中旬に下を見に行く。目先はやはり決算発表で、イメージしていたものと現実のギャップが出てくる。

Q:ではどっちの可能性が高いのか?
A:どちらかと言うと5月中の方が2番底を探しに行く可能性が高いと考えている。
押し目買い想定理由は、ソーシャルディスタンスの継続、在宅勤務で仕事ができるようになると、社会的な枠組みが整い、在宅勤務が意外に機能することで、次のステージに入る。今は蒸発した需要との綱引きでもあるが、PC、ゲーム機、電子機器の需要は随分増える。生活、仕事のパターンが変化し、5G Wi-Fi6の進化が進む可能性がある。その意味でネットフリックス、アマゾンに多くのヒントがある。

来年までの相場

Q:もう少し長いレンジでみればどうか?今年の3月19日につけた高値を回復するのにメディアは通常は年単位でかかると言うが、現時点での相場想定はどうか?
A:潮目ファインダーでは、現時点では秋口から年末までは第二コロナ危機を想定している。8月相場の連騰があれば、年末にかけての暴落は無くなる可能性がある。8月3,4日にかけて底値潮目を形成し反転する その後のサマーラリーで例えば9連騰とかが起きるかどうかがカギになる。

Q:連騰が起きるとなぜそれがポジティブのシグナルになるのか?
A:連騰が起きるということは、潮目ファインダーではこれはポジティブな情報がマーケットに投入されるという意味だ。これは大暴騰よりも小幅な連騰が非常に重要だ。8月1週、4日を過ぎたあたりにこの連騰が起きる可能性がある。来年2021年にワクチンが投入できるということならば、その半年前あたりにワクチンの可能性が出てくる。そうなればコロナ危機に対する不安感は一掃される可能性がある。コロナ危機に対する対応方法が固まってくる。100年前のスペイン風邪の事例をそのまま踏襲するようにはならない。100年前に比べ、医療や社会環境が随分と進化している。その点を考慮すべきと思う。

Q:100年前から教訓を学ぶのはいいが、それをそのまま現代社会に当てはめるのは無理があるということ。目先の物色?半導体、医薬品、バイオ
A:ネットフリックス、ディズニー、社会生活のスタンスの変革もあるが、残念ながら足元の需要は蒸発。一方こんな協力も出てきた。人工呼吸器を自動車メーカーが作ると言っているが、それにはパワー半導体が多く使われている。例えば日本ではルネサスエレクトリクスが人工呼吸器の設計図を公開して、それを人工呼吸器製造に参入するメーカーに参考にしていただき、製造に必要な半導体はルネサスが供給するというような動きが世界中で出ている。

Q:繰り返しになるがスペイン風邪の時のようにはならない?
A:スペイン風邪の時は世界大戦だが、今は世界中がコロナ対応に全力で対応を行っている。生活については在宅勤務をはじめ、通信網の発展が在宅勤務の環境を現実にした。こういうことから考えて100年前とは違う、現代の対応によって次のステージに行くチャンスが出てきたのではないか。

Q:この後も希望をもって相場に挑みたいと思う。ありがとうございました。

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