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米国株式:コロナショックの出口は? 【投資のヒント】

■「リスク・パリティ」型ファンドの動きに注目
今回のコロナショックでは、株式は乱高下しながらも、下落の一途をたどっている。注目すべきは、金をはじめとする安全資産も株式と同調して下落し、為替も本来は円高に向かうはずが円安傾向が続くなど、想定とは異なる動きを見せていることだ。さまざまな情報を総合すると、ここにコロナショックの出口を見いだすヒントがありそうだ。

キーワードは「リスク・パリティ戦略」。リスク・パリティ戦略は、ポートフォリオ内の各資産の持つボラティリティに基づきリスクを算出し、各資産のリスク割合が均等になるようにアロケーションする手法である。通常、ボラティリティが大きい資産(=リスクが大きい資産)のウェイトは小さくなる。今回は、株式に「尋常ではない」ボラティリティが生じ、この戦略を採用する「リスク・パリティ」型ファンドが保有する株式の「尋常ではない」浴びせ売りを誘発したことが暴落の一因と考えられる。状況をさらに悪化させたのは、こうしたファンドの多くが(現物のみならず)レバレッジを掛けた運用を行っていたことだ。株価急落により米国市場で必要とされたマージン・コール(追証)の額は、12兆ドル(約1300兆円)に及ぶとの推計もある。マージン・コール対応のために、本来であれば保有しておくべき「金」も利益が乗っていたために現金化の売りが進み、資産をドル化する動きが加速したことでドル高が進んだ、ということらしい。

マージン・コール処理がどの程度終わっているのかは分からない。しかし、レバレッジ系ファンドの整理が終われば、これまでのように一方的に売り続ける必要性は小さくなるはずだ。さらに、米国をはじめ各国が本気で新型コロナウイルスに立ち向かい始めたこと、その結果として思い切った金融政策・財政政策を講じようとしていること、富士フイルムの「アビガン」や東大による急性膵炎治療薬の転用研究といった治療に有効な医薬品に光明が見えてきたこと、などを考え合わせれば、コロナショックの収束も見えてくるように思っている。

米国株式市場について言えば、危機に対して一致団結し素晴らしい結束力を発揮する米国人のメンタリティやアニマルスピリットを考えると、新型コロナウイルスが収束してからV字回復する様子が見えてくるようだ。結果的に、資本主義における米国覇権が一層強化されていくことになるのだろう。

もう一息の辛抱だ。

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