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なぜセルロイド眼鏡が良いのか?

セルロイドの素材についてまとめてみました。
私的な勉強のまとめ記事なので、あまり面白くない構成ですが、基本的な疑問はまとめたつもりです。

セルロイドの歴史

1856年、高価だった象牙に代わるものとして開発された。歴史上最初のプラスチックだそうです。
ビリヤードの玉が最初の製品。その後、写真のフィルムや万年筆など多くに使用されるが、今では楽器やギターのピックなどにしか使われていない。

セルロイドの成分

ニトロセルロース(硝化綿)と樟脳(しょうのう)を主原料とする合成樹脂。樟脳とは、クスノキなどから抽出される植物系の油の主成分。
つまり、どちらも天然の素材です。

これに対し、現在主流のアセテートはというと…
アセチルセルロース(こちらも綿)と酢酸系の溶剤で作られてます。酢酸は石油化学原料から作られるため、半分天然(綿を使うことから)と言えます。

アセテートの説明などでは、綿を使う天然素材と説明されることもあります。間違いではないですが、比べるとセルロイドの方がより天然の素材と言えます。

基本的にはどちらも綿を原料としており、肌には優しい。

セルロイドからアセテートへ

現在主流の素材はアセテートですが、ではなぜセルロイドが使われなくなったのか。それは大きく2つの理由です。

・可燃性
・素材が高価

170℃で自然発火してしまうという非常に危険な素材のため、過去大きな事故も発生。今では保管に制限がかかっていたり、国によっては輸出入が禁止されています。
また、製造に時間とコストがかかります。特に眼鏡の場合、強度を上げるために3年以上乾燥させているそうです。キロ単価も他のプラスチック素材の数倍から10倍とのこと。

なぜセルロイド眼鏡が良いのか?

以下の特徴があるため、高価なのですが好きな方は愛用されています。

1.安定したフィット感
2.肌あたりの柔らかさ
3.風合いと艶感(ツヤ)

それぞれもう少し詳しく解説します。

1.安定したフィット感

いちばんの特徴は形状安定性と粘りです。乾燥させることで高強度となり、安定したフィット感を得られます。
この特性から、テンプル(眼鏡のツル)に芯を入れない『ノー芯』という製法も使われる。誤解がないように書くと、この製法はアセテートであっても可能ですが、品質が保ちづらいということです。

2.肌あたりの柔らかさ

吸水性があることから肌触りが良く、眼鏡のかけ心地が良い。ここは推測になってしまいますが、天然素材だからこそのアセテートとの質感の違いなのかもしれません。
ちなみに、アセテートは吸水性が高いため形状安定性に不安が出てきますし、汗により白く変色しやすいです。

3.風合いと艶感

ここは個人的好き嫌いかと思いますが、アセテートと比べて独特の艶感があります。石油系プラスチックと植物系プラスチックの違いなのでしょう。

最後に耐久性は?

私自身、勘違いしていたのですが、セルロイドだからといって半永久に使用できるわけではないです。経年変化に伴いセルロイド中の樟脳が空気中に昇華し弾力性が失われていきます。また紫外線による黄ばみやヒビ割れも発生します。アルコール系の有機溶剤にも弱いです。アセテートと比較して長持ちするということはないです。
ただ、特性として形状変化は少ないですし、磨きを行うことで艶感も戻ります。

ちなみに、アセテートは紫外線の影響をほとんど受けません。

まとめとして

個人的感想ですが、3年ほど使用した眼鏡でも変形は少なかったですし、かけ心地も良いです。
眼鏡の特性として、度数の見え方とかけ心地は、とても重要です。いくら度数の合った眼鏡でも、フィッティングがしっかり出来ていないと意図した視力にはなりません。

現在、セルロイドの眼鏡はほとんど日本でしか製造されていないそうです。また一本欲しくなってきました。

追記

比重は
セルロイド1.32〜1.35(15℃)
アセテート1.28〜1.32(15℃)
若干ですがセルロイドの方が重いようです。

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