学校で「〇〇年後の自分へ」と手紙を書かされる君へ
小学生から高校生まで、卒業の節目の度に君は「大人になった君」へ手紙を書かされる。将来の夢を書かされるより、重荷になる題材。
私は、たくさん君に教えてあげたいことがある「人とは・人生とは」と。けれど、先にたくさんの約束を果たせないことを謝らなくていけない。
遠い未来まで予測して学級委員長や生徒会長、何度も故障を乗り越え、先輩に遠慮もせず1年から部長をして、芸術・文武両道に励んで、容姿にもこだわり、必死に努力を重ねてる君に。予想していなかった未来がやってきてしまうことを。
大人になれば誰でも免許が取れると思っている君へ。
私もイケてるバイクや車に乗って、峠やストリート、サーキットを走りたかった。走れると思ってた。けれど、未来の君は金銭の都合ではなく、心身の都合でそれらは叶わない。「え?なんで免許ないの?」そう言われることがたくさんある。そんな時は「(ヘラヘラしながら)運動神経が悪いんだ。」と答えたらいいから。
大人になれば誰でもオールができて遊びまくれると思っている君へ。
クラブに通って、派手な遊びをして、オールでカラオケ。ギラギラしたドレスと着て。未来の君は心身に大きな制約がある。決まった時間に、強制的に眠りにつく生活を余儀なくされる。あれから11年が過ぎて、ようやく薬は半分の量になったけれど、死ぬまで融通の利かない心身を覚悟してほしい。
大人になれば誰でもお酒が呑めると思っている君へ。
これも制約によって、難しい。
大人になればいつだって、海外へどこでも行けると思っている君へ。
これも制約によって、難しい。
大人になれば結婚と子育てができると思っている君へ。
これも制約によって、難しい。
たくさん君に謝らなくていけない。未来の私は、君の思うような大人にはなれない。
ただ、多くの「知らないことが当たり前のこと」を学ぶことができる。しかも間接的ではなく直接関わることになる。数人ではなく、数百人と直接知り得る。これが貴重なことだと知るのに時間もかかるし、とてもつらい時間を耐えて過ごした産物。
私は、君にいくつかの約束を果たせない話をここで伝えてるが、もっといろんな理由で「約束を叶えられない」人がたくさんいる。ここに書いている内容は何十億人の内の1人のサンプルにしかすぎない。
世の中には「見えない世界」がたくさんある。今の私の知っている世界ですら極々僅か。可視できるものを好む癖に、見えないものに信仰心を持つ奇妙な生命体が人間。想像する力をもっと柔軟に使うことができれば、住みやすい世界になるのだけれど、そう成らないように世界はできている。
「理」は抗えない。けれど、君はこれから苦痛の中で真理に触れる。似た人間が、見えてないだけで探せばたくさんいることも知ることができる。何も特別じゃないこと、誰も特別でないこと。人は人であることを知る。
君はこれから、たくさん絶望をする。本当に苦しい未来がやってくる。謝っても許してもらえないのは目に見えてわかる。過去を恨むことはなくなった今も、苦しいことはたくさんあるから。
「一緒に住もう」「結婚を視野に」「子どもがほしい」そう言われる人に会う度に、自分の心身に絶望する。私ははじめから「ほしくない」人ではなかった。そして機能的に「妊娠しない身体」ではない。「元気な子を産んであげれない身体」もしもの先に待っているのは堕胎。
本当に、ごめんなさい。
普段は悪夢に魘され、たまに素敵な夢をみる未来がやってくる。心がえぐられるほど幸せな夢を。目を覚ますと苦しくて涙がとまらない朝が何度も味わうことにもなる。
ショッピングモールで、テーマパークでデートをすることが苦痛になる時がある。けれど、君も、今の私も知らない幸せの形が世界にはたくさんある。様々な価値観を知り、たくさんの人と触れ合い、俯瞰して物事を見て、君は少しずつ君らしい人生を歩む。どんなに絶望しても、何度失敗しても君は起き上がる力がある。どんなに時間がかかっても、君は成り上がる。上へ上へと、這い上がる。
次々と夢を実現していく。いや、実現させた。思った大人には成れないけれど、その何十倍もの立場に君は成る。成った。
蝉緒
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