凄い動画なんですよ

結論だけ先に書く
この動画を見て欲しい

1.
以下の文章はフィクションです。

2/22夜
互いの時間が合わず視聴できていなかったシャニマス4thとSideM6th北海道のライブ円盤を視聴するため、翌日何時から見始めるかという相談をしていた時だった。

やる□P「SideMで動画作ろうと思うんですよ」

彼は次の動画についての展望を語り始めた。

川瀬三奈「おお~、ついにSideM?楽しみ!」

嘘である。

彼の動画は楽しみだ。それは間違いない。
SideMの動画も楽しみだ。
彼がバンナムフェス2ndで眉見鋭心に心打ち抜かれて、SideMのライブBlu-rayをすべて購入し、共に視聴してきたのだから。生半可な理由で動画を作るとは言わないこともわかっている。

しかし、SideMは3Dゲームのサービスも終了し素材を手に入れることが困難だ。
アニメ映像で動画を作るタイプの動画投稿者ではないことも知っている。

どうするつもりなんだ?

そんな疑念の方が勝っていた。

やる□P「公式アニメPVを使おうと思います」

マジかよ…
だって公式PVってあれでしょ?
SideMが着せかえ可能3Dモデルを失った代わりに手に入れた、
クオリティの高いアニメーション風3Dライブ映像
楽曲とユニットのために作られた映像なわけで…
映像に付随する文脈を脱色しないと素材として使うには強すぎる映像だ。
輝きの向こう側への「M@STERPIECE」のライブシーン映像を使ったアニメMADが、どんな曲で作っても劇場版のマスピの文脈が良くも悪くも乗ってしまう呪縛のような現象が起こりうるわけで…

……それはちょっと、…いくらなんでも、…ハードルが高くないか?

一瞬でそんな懸念を抱くぐらいには難易度の高い事を言ってきた。

「この曲ならSideMで動画が作れるんです」

確信に満ちた声で彼は言った。

「さっき貼った曲、聴いて下さい」

……このサムネでなんでそんなに自信満々なんだよ!

考え得る限り最悪のサムネじゃねーか!!!!

2.
悪ふざけの匂いしかしない動画の視聴が始まった。

最悪のスタートだ
どこかで聴いたメロデイ
タイトルから連想される最悪の予想に従って進行していく楽曲

この曲、ONE OK ROCKのパロディであることを隠しもしない。

オマージュなんて言葉に逃げず堂々とパクリであることを誇り、一切の恥じらいがないのである。
本気で全力で乗っかって、「楽しい」まで押し切ってしまうパワーがある。
パクっていること、茶化していることに対しての呆れや怒りよりも先に、「面白い」という感情が笑いをつかみ取ってくる

動画を見終わって理解してしまった。
やる□Pは本気でこの楽曲なら自分のSideM観を投影した動画を作れると確信している……

「ふざけているけど、ズルいけど、笑っているけど、真剣で、カッコよくて、面白い」

言葉にはしないけど、この選曲でSideMの動画を作ろうと確信できた理由がわかるよね?と信頼された上で楽曲を紹介されたのである。

理解できてしまった…

完敗だった…

僕はこの時点で動画の完成を楽しみに待つことしかできなくなっていた。

3.
ONE OK ROCK
それは2012~2013年のニコマスを想起させる時代に根付いたメロディ


Pボウイさんのプロジェクト・フェアリー動画やハルカニ13の未完成交響曲
そして、hirokiさんの完全感覚IDOLM@STER
僕がアイドルマスターを一番かっこいいと思っていた時代の動画達
9.18も落ち着き、アニメも一段落し、時代がまた一つ終わろうとしている実感を静かに感じながら、洗練されていく動画達に変わらない「現在」という夢を託しながら過ごしていた時代の音楽

見る専Pとしてあの頃の投稿者たちに勝手に感じていた、自分の好きな曲でアイドルを踊らせたいという気持ち、この曲はアイドルに絶対に合うという確信、人が見つけ出す前に自分が作り上げなくてはという焦燥感、アイマスも楽曲も俺が広めてやるぜという異常な独善性。

古きニコマスの香りを感じる。

2022年に動画投稿に本格復帰した彼は、2012年頃の空気を冷凍保存したまま、現代に持ち込んでいる稀有な動画制作者なのだ。

4.
製作期間1日

というわけで動画製作を知らされた翌日23日昼
我らはシャニマス4th円盤を見終え、SideM6th北海道を見始める。
DAY1の再生が終わった頃、仮組動画が投げられた。

「いや、ライブ見ろよ!」

僕は叫んだ

この男、SideMを直接補給しながらSideMの動画作ってやがる…

「じゃあ、ご飯食べてきますんで、無限ループしますから見てて下さい」

地獄か?

耳慣れたかっこいいサウンドの代名詞のようなイントロとともにF-LAGSの投げキッスが音ハメされる高揚感
歌唱が始まったときの歌詞の違和感をLegendersのビジュアルで押し通し、「12時を回った」という歌詞の時間要素をリンクさせる力技
CafeParadeで胡乱要素を隠す気がなくなり、ジェムストーンがサウナストーンに変えられてしまったことに気づく地獄
サウナハットの代わりに帽子を被っているもふもふえん
大サビのTHE 虎牙道の拳を合わせるシーンと歌詞のリンク
「『温』冷交代『浴』の向こうの『恍惚』」感で綺麗にC-FARST三人のアップがハマる気持ちよさ
サウナ 水風呂 ギターソロからの彩のダンス合わせと九郎君の指が交差する動きからAltessimoへの異常な繋ぎ、そして「はぁ…」
握野英雄の背中から始まるカットをサビに当て込む理解度とFLAMEの三人の頼もしい立ち姿
二度目のC-FARSTで一番と同じパートを踊らせてターンと一緒に切り替え、秋月涼のドアップに繋げる構成

動きの繋がりの完成度が異常に高いのにネタとしての面白みを強制的に摂取させられる動画を延々見ることになる地獄

自分のように作者が意図していなくても意味を見出して一人感極まってしまうような人間にとってはつらかったぜ、脳と腹筋が……

5.
そんなこんなで製作過程を見させていただいた動画

【SideMAD】伝い落ちる汗は嘘をつかない

発見のある動画となっていますので皆さんも見てください。

最後に

タイトル最悪(最高)だと思う。伝い落ちる汗は噓をつかないけど、タイトルとイントロは間違いなく「嘘つき」のそれだろ…

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