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『おこんじょうるり』の詞章

岡本忠成監督の『おこんじょうるり』をご覧になった方は、劇場を出たところで、思わずあの浄瑠璃を口ずさんでしまうことでしょう。「でも、ちょっと難しい歌詞がうろ覚えで……なんだっけ?」となってしまったり。

そこでこの浄瑠璃の作詞をされた東川洋子さんにお願いしまして、この詞章を教えていただきました。東川さんは、今回の上映作品の中では『サクラより愛をのせて』の作画、『虹に向って』の脚本も手掛けておられる、岡本忠成作品の重要なスタッフのお一人で、児童文学の世界でも活躍されておられます。

「おこんじょうるり」 作詞:東川洋子

げんきかんまんのそわか
さろーざらんのきりおんそわか
おん あみりとどばん ばれいそわか

ぬばたまの夜の 闇 病い
果てなきものに 思わるも
あした 山の端 あざやかに
染めつついづる にちりんに
春のかすみか  夏のつゆ
いづかたとなく 消ゆるべし

金リン 銀リン きららかに
にちりんどのの いでたるや
光 あまねく  地をおおい
雪の下より   めぶく芽も
たちまちにして 花をつけ
たわわに色づき 実もつけむ

金リン 銀リン そのなかに
にちりんどのの 放なてるは
生命 はぐくむ 滋養の矢
受くるやすなわち 身ものびて
手足 ほかほか あたたまり
胸のうちより  とうとうと
力 満ちゆき  あふるなり

―― あびらうんけん そわか ――

以下が、制作当時の東川さん自筆の原稿です。今回、こちらに掲載するにあたって、(朝)とか(日輪)のルビを振ってくださいました。本編では省略された唱句や解説も記されていますので、ご精読くださいませ。

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