天気の子をみてきた感想

ネタバレになりそうなほどかしこいことは言えない。

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「あー、わたし雨女だからね」
そういったのは妹だった。確かに思い返せば彼女と遊ぶときには雨が多い。去年の10月に行った京都旅行も雨が降った。

雨女だとか晴れ男だとか、自称できるうちはネタとしておいしい。晴れときどき雨という予想で、朝にちょっとだけ降ったりと、天気は一日の中でもかわっていくから。

ただ有名人のなかには、偶然と偶然が続いてしまう人もいる。暑くなるとか雨が降るとか。どうにもならないことをいわれて、本人たちもいやな気分になるんだろう。なるべく言わないようにはしているが、雨が降ったらやっぱりな…と思ってしまうことがあった。

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『天気の子』は行こうかどうかけっこう悩んでいた。

前作の『君の名は。』でわたしは成仏したからだ。『秒速5センチメートル』のやるせないエンディングと山崎まさよし。幸せになんてなれなかったあの映画。わたしはまだ一度も全部通して見れてない。しんどすぎるアレ。それが『君の名は。』できれいに終わったもんだから、もうすっきり成仏ですよ。
その『君の名は。』だって映画館で1回、家で1回みたらもう満腹満足だった。先輩がかわいいしな。

見てきた組にどうだった? 不幸になった? 闇に落ちた? とうざがらみしてみたが、みんななんとなく消化不良のようなどうにもなんとも言えない感じの答えしかくれなかった。

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ちなみにわたしの好きな新海作品は『雲のむこう、約束の場所』である。皿を洗いながら主題歌を口ずさむくらいすごい好きだ。
胸キュン作品。

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そういえば、最近気づいた傾向としては好きになるキャラクターは遺書を書いてるようなキャラが好きらしい。どんな好みだ。
しかし過去をふりかえっても、ほぼ死んでいる。皆殺しかなってレベルで死んでいる。死んでいないのはサッカー漫画のキャラくらいじゃなかろうか。
いま好きな漫画は比較的平和なバトル物なので死ぬことはないよねって安心している。だけど、たぶん遺書は書いている。

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『天気の子』が不幸になる話なら見にいこう。そう思っていた。
だけど見てきた組の、不幸…ではないかな? というようななんとも言えない反応。ネットで聞こえてくるエロゲのトゥルーエンドだったという謎の一体感。セカイ系の完成形。

こまったことに、セカイ系もエロゲもくわしくない。むしろテキスト系とか選択式のゲームってだるいじゃん? レベルの食わず嫌いだ。

どうしようかなー。どうなのかなー。水曜日だから見に行こうかなー。あ、映画館のいい席空いてないや。そんな感じで日々は過ぎていった。

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見にいくかって決意をしたのは、監督のこのツイートだった。

まじでー!?
スガシカオ感あるのー?

そのあと調べたらこんな記事もでてきた。

漏れ聞こえる映画の話と一致する!!
まじでー!?

わたしはスガシカオにめちゃくちゃ詳しいわけでもない。
でも全然知らないわけでもない。スガシカオがヘイ・ジュードの歌いだしをさんはいって教えてねーって言って、みんなにツッコミを入れられたのは知ってる。それくらい。

でもスガシカオの影響ってなんぞと気になりすぎた。
ということで見に行ったのだった。

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見た結果、ずっとスガシカオとさらざんまいとラピュタと傷だらけの天使のことを考えていた。

さらざんまいの久慈兄弟が10回くらい幸せをめざして転生を繰り返して、兄はかろうじてこちら側の世界に踏みとどまってぎりぎり幸せになれそうで。弟も平和な日常をつまらないと思うくらい平和な世界で育って。
でもおまえはけっきょくソレを手にしてしまうのか。

なにを言っているかわからないだろうが、そんな気持ちになってしまったのだ。

しんどい。

このまえショーケン死んじゃったし。あのビル解体されちゃうし。

しんどい。

描かれなかった部分の裁判とかそういういろいろを考えるとそれもしんどい。誘拐は親告罪だからね!!! 覚えておくといいよ。だからそこは平気なんだろうけど、ショタの行く末とかを考えるとしんどい。

前作のキャラもサービス的にでてきたけど、あの世界と地続きなのもしんどい。

たぶん環境がかわってしまってもそれが日常になっていって、人間は強いから大丈夫だよ。ってことを言いたいのはわかったんだが、それよりもいろいろしんどかった。

よかったことは猫が不幸にならなくてよかった。本当によかった。猫は幸せになりますよ!!!!

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2012年8月4日の横浜赤レンガ倉庫。いまでもおぼえている。
ドラクエ10の発売日の2日後。
ゲームをしていたかった気持ちはあったが、それでもチケットのとれたオーガスタキャンプは楽しみだった。

暑くて暑くて、長い行列に並んでお酒を買ってすぐに飲み干してしまうほど暑くて。

ずっといい天気で、熱中症になりそうなくらいのいい天気で。

急に冷たい風が吹いてきたのを覚えている。涼しくなったねって笑っていたら、土砂降りの雨がやってきた。びしょ濡れだった。

江戸川区の花火は大雨で中止になった。

荷物を用意していたゴミ袋にいれて、スマホはジッパー付き袋に投げ込んだ。わたしは雨が降ることを信じていた。準備は万端だった。

その日のゲストは、スガシカオだったから。

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天気の子を見ながら、ずっとスガシカオのことを考えていた。
雨女だとか晴れ男だとか。
わたしはどこかで信じている。