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叛逆の赤い彗星 forever red star

赤い彗星は、
1980年代から団塊ジュニア世代の心の真ん中に君臨し続ける。

だが、
2020年代に入り、
そろそろ命脈が尽きかけている。

冷戦が終わり、赤は特別な色ではなくなった。
それでも赤い彗星はリメイク、スピンオフされ幾度となく蘇る。

時にシャア・アズナブルとして。
時にクワトロ・バジーナとして。


そして、
時に赤いマツダ・ロードスターとして。

唯一無二のオープンカー マツダ・ロードスター


マツダ・ロードスターは廉価な「オープンカー」として確固とした地位を築いた。
むしろ廉価であるからこそ受けた。
ポルシェやBMWなどの軽く500万円を越えてくる高価なオープンカーはいやらしい、手が届かない。
何だか車が勝ちすぎて、人が安っぽく見えがちだ。


ミナミの帝王が取り立てに乗り付ける車。

そんなイメージが高級オープンカーには付き纏った。
だが、ロードスターはそうしたネガティブな、お高くとまったイメージをうまく掻い潜る。
廉価であることが逆に幸いして、ロードスターはネガティブイメージを回避できた。



廉価だが瀟洒で走る 赤い奴


ロードスターは安いだけが売りではない。
その造形美でも高級スポーツカーに決して引けを取らない。

点ではなく線 線ではなく面 素晴らしい設計 開発者には頭が下がる


曲率を計算し尽くして、曲線をふんだんにかつ効果的に用い、最高クラスの流線美を醸し出すことに成功した。
特に背後からの流線型は「路上の振り返り美人」というに相応しい。

日本最古の大型ショッピングモール・つかしん 5階駐車場

全盛期には、
後光だってさした。

神の祝福とご加護を受けた00年代。

だが2010年代に入り、
赤い彗星にも翳りが見え始めた。



SNSという強敵


2010年代に入り、人々のライフスタイルは大きくうつろう。
リアルよりもオンライン空間に娯楽を見出すようになったのだ。

かくして、
肌身でリアルを感じられるオープンカーだが、
ピュアな子供以外は誰も見向きすらしなくなった。



さよなら赤い彗星


ライフスタイルの変遷は、
郊外から駅チカへの移動を人々に促し、車主体の生活を主役の座から引きずり落としつつある。


心の中心も、
移動手段も、
もう赤い彗星の時代ではない。


お別れしようと決意し、はや2ヶ月。
何かと理由をつけて、
先延ばし、先延ばししてきたが、
ついにお別れの日がやってきてしまった。



叛逆の赤い彗星 last revenge of red star


「行きたくない」
「まだだ…まだ終わらんよ…」


そんな赤い彗星の思念が具現化されたか……

初のバッテリー上がり ディーラーで充電中 背後に見える「ハスラー」も秀でた車だ

20年来で初めてバッテリーが上がった。

初めてのロードサービス。
電話しても繋がらない。
最近はロードサービスもネットで予約すると、これまた初めて知った。

ソニー損保に入っていてよかった。
内田有紀に鼻の下伸ばして正解だった。

初めてのソニー損保。

自動車生活30年で初めての任意保険適用。

ロードサービスの兄ちゃんに、

「ディーラーについてもバッテリーがまた上がるから、
キーは絶対に絶対に切らないで下さいね。大佐ならきっと出来ますよ」

と言われたが、条件反射で鍵を回していた。
熟練した車乗りの嵯峨である。

ディーラーの人もエンストした車がやってきておおあらわだ。

下取り価格もグイッと10万円分一気に下がった。




forever red star

世界最高の後背造形美


最小回転半径は驚異の4.7m。
軽自動車でもこの小回りの良さは難しい。

つまり、
その敏捷性は世界最強。

パワーよりも疾風迅雷な操舵性能。

零戦、百式、
その系譜を継ぐのがマツダ・ロードスター。
日本の匠の技が糾合された美しき傑作だ。


パワーよりも敏捷性。
兵は神速を尊ぶ。
戦わずして勝つ。
たまには洗車しろ!


その精神は心の中に強く置く。




だから、
今はこれでお別れだ。



頑張れよ!!


宇宙最高の後背造形美



(お前もな!)!

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