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ダボダボ服が中堅アパレルにとって神風であるとは?

ダボダボな服が流行している。
「竹の子族」を彷彿させる奇抜ぶりは「ああ、この流行もすぐに終わるんだろうなあ😊」と思わせる十分マンモスである。


だが、このダボダボ服の流行は中堅以下のアパレル業者にとっては神風だ。

ダボダボ服が中堅以下のアパレル業者にとって神風。
どういうことだろうか?
チョチョイと説明しようではないか。

ユニクロやH&Mなど、
大手アパレル業者は潤沢な資金力にものをいわせ、潤沢なサイズ展開を行なっている。
「XS、S、M、L、LL、XL」と6つのサイズを用意するのが仕様である。

一方でニコルなど、
中堅以下のアパレルメーカーは「M、L、LL」と3つのサイズを用意できれば関の山だ。
6つのサイズを展開するとなると相当な資金が必要であり、
中堅以下のアパレル業者は3つのサイズ展開で、なんとかして大手の6つのサイズ展開に対抗しなければならない。

そこでダボダボ服である。


ダボダボ服であれば、多少サイズ感がずれても誤魔化しが効く。

M、L、LLの3サイズであっても問題が生じなくなるのだ。
よって大手アパレル業者の細かなサイズ展開がダボダボ服では無効化される。

従って、
ダボダボ服の流行は中堅以下のアパレル業者にとって神風と言えるのだ😉

服はサイズ感で決まる

結局のところ服とはサイズ感である。

どんなに洗練された衣装であっても、サイズ感が狂っていたら台無しだ。
定岡、槇原、落合、岡田
昭和の野球選手なんてデカすぎて合う服がなかったから高級ブランドがずっと哭いていた。

逆にどうかしている衣装であっても、サイズ感がドンピシャであれば見栄えが良い。
つねにどうかしてる衣装だがドンピシャサイズ感で着こなす「池乃めだか師匠」なんぞはその絶好事例である。
いや、そもそも吉本新喜劇自体がどうかしてる衣装をドンピシャサイズで着こなす草分け的機関と言えるかもしれない。

このように、服の着こなしはサイズ感で決まるといって間違いがないのだ。



H&Mの幅広いサイズ展開戦術

この「服はサイズ感で決まる」というセオリーを市場にて実践に移したブランドはH&Mだ。
XS、S、M、L、LL、XLという6つからなる潤沢なサイズ展開にて、
誰もが見栄えの良い着こなしをできるようになっている。


何をいわんや筆者もH&Mの信奉者である。
サイズドンピシャで着れるというのは気持ちが良いし、見栄えも良い。
そしてなんと言ってもH&Mは安い。
これだけのサイズ展開をしながらノーアイロンワイシャツを2500円前後で仕上げてくるのだから大資本恐るべしだ。

このH&Mの潤沢サイズ展開に追随したのがユニクロをはじめとする大手アパレルブランド。
潤沢サイズ展開は資金余力がある大手だからこそ出来る芸当なのだ。



スキニーでは大資本とネットに勝てない…

コロナ前はスキニーのズボンが流行っていた。
ズボンというのは我ながらなんとも昭和の香りだが、パンツと書くのはなんとも面映いものがあるのだ。
コロナ前におけるスキニーパンツ🥴の流行は、中堅以下のアパレルブランドにとって受難の時だった。
スキニーパンツこそサイズ感でドンピシャ着こなすアイテムだからだ。
XS、S、M、L、LL、XLの6サイズ展開をできるブランドだけがスキニーパンツ商戦で生き残る。

ここで新たに台頭してきたのが「ジギーズショップ」などのネットに特化した販売店。
ネット通販に特化させ人件費を圧縮して出来た資金余力を豊富なサイズ展開に回す。

こうして大資本とネット特化資本に挟撃される形になったのがリアル店舗持ちの中堅以下アパレルブランドだった。



神風 ダボダボ服

コロナの呪縛が解けて街に繰り出してみれば、
スキニーからダボダボへと流行はうつろっていた。

これならば資金力で劣る中堅以下ブランドでも勝負できる。
ダボダボ服の着こなしにピッタリしたサイズ感は不要だからだ。

中堅以下のアパレルブランドはこのダボダボ服の流行が長引くことを祈っているはずだ。
だが、いつか流行というものは終わる。
特にこのダボダボ服は神の視点から見ればどうかしているから、長続きはしない。
だから、このどうかしている期間のうちに中堅以下のアパレルブランドは次の一手を模索しなければならない。
大手アパレルの潤沢サイズ展開戦術に対抗できる「何か」を捻り出さなければ勝負できない。



ニコルの危機

特にニコルは危険宙域のど真ん中にある中堅ブランドだ。
本来NICOLEは豊富なサイズ展開を背景に、サイズ感ドンピシャで着させるのがコンセプトだった。
だがコスト削減によってサイズ展開を縮小し、ドンピシャで着ることがかなわなくなった。
これではNICOLEの存在意義が失われている。
従前からの客は逃げていく寸前だ。
資金余力で苦しいかもしれないが、アイデンティティとしてドンピシャ感を有しているブランドはやはり豊富なサイズ展開で勝負すべきだろう。

大手であるH&Mやユニクロにしても「XSサイズとXLサイズ」はネット通販だけに限定しているのだ。
中堅のニコルなどにだってやりようはあるはずである。


やはり服をリアル店舗で選ぶのは楽しい。

サイズ感がドンピシャであれば、少しぐらい高くても私は買いますよ。




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