円高でインバウンドが壊滅!?為替介入朝貢メソッド
FRBすなわちアメリカの中央銀行村が金利引き下げをアナウンスした。
先立って日銀が金利の引き上げをアナウンスしたことと合間って、早晩、円高ドル安局面が到来しそうだ。
その後、日本は米国債買いでアメリカに貢ぐことになると予想するのだが、今日はその説明の前準備をしよう。
「為替介入」というアメリカ朝貢体制になくてはならない「儀式」と「その合言葉」が今日のテーマだ。
「円高ドル安」というカネのなる木
今後、日本では金利が上がっていき、
アメリカでは金利が下がっていく。
すると、金利差が生じて高い金利に向かってマネーは向かう。
金利が低いドルを売って金利の高い円が買われるのだ。
結果、円高ドル安になるという寸法である。
この「円高ドル安」局面こそが、アメリカ朝貢体制の檜舞台だ。
円高で製造業が壊滅する!?
10年前までであれば、こうした円高ドル安局面において「円高で、日本の製造業が、壊滅する!」の合言葉で為替介入が行われた。
日銀と財務省が連携し為替介入によって円安に戻していたのだ。
だが、この合言葉には2つのとても大きな問題点がある。
まず1つ目が、
2000年代に入ってからは、主だった製造業が日本国内から製造拠点を海外に転出させており、円高になっても製造業のダメージは限定的だということ。
次に2つ目が、
2024年現在にあっては、製造業が日本の主力産業ではなくなったということ。
この2つの理由から、
「円高で、製造業が、壊滅する」の合言葉はもうさすがに使えない。
インバウンドがアウトバウンド!!
日銀と財務省はもう「円高で製造業が壊滅作戦」を使えない。
そこで来るべき為替介入を成就させるため、新たな説得力のあるスローガンが必要になっている。
そこで「円高で、インバウンドが、アウトバウンド!!」だ。
なんといっても勢いだけはある。
そして、外国人旅行者が円高によって日本に来づらくなるのは確かなことだ。
極端な例を考えてみよう。
1ドル=360円の為替相場が、円高ドル安によって1ドル=1円になったとする。
すると、
1ドルを持っていれば日本で360円分の買い物ができていたアメリカ人。
彼らが同じ1ドルを持って来ても、日本で1円分の買い物しかできなくなる。
円高ドル安によって、日本に来て出来ることが1/360になってしまった。
これでは日本にやってきても冴えないインバウンドになるだけだ。
となると、インバウンドは自ずと減少していく。
だから、円高局面においてインバウンドがアウトバウンドすなわち外国人旅行者が減少するのは確かである。
プロパガンダ〜世論誘導〜
しかしながら、これも「円高で製造業が壊滅する」と同じプロパガンダであることに変わりはない。
円高によるインバウンド減少で失う富があれば、円高による輸入業者好況で得る富だってちゃんとある。
日本のサービス産業は何もわざわざ外国人旅行者にだけ売らなくとも、日本人にもっと売れば良いではないか。
少なくとも、
円高によるインバウンド減少で日本は壊滅したりはしない。
せいぜい円高でインバウンドがアウトバウンドするぐらいなのだ。
為替介入/アメリカ朝貢体制の号砲
「円高で日本の製造業が壊滅する」
「円高でインバウンドが壊滅する」
スローガンは脇に置くとして、円高になれば、その円高を是正するためと称し日銀・財務省による為替介入が行われる。
これは、
1995年の阪神淡路大震災、
2003年のイラク戦争前夜、
2011年の東日本大震災……
と幾度となく繰り返されてきたパターンである。
2003年・イラク戦争前夜の為替介入はアメリカのイラク戦争開始資金となった。
2011年・東日本大震災直後の為替介入はアメリカでオバマケア開始資金となった。
このように、日本が為替介入して米国債を買えば、アメリカの財政に余力が生まれ「何か」が起こる。
歴史を敷衍すれば高い確率で戦争が起こってきたが、今回の為替介入はいったい何をもたらすのだろうか。
あまりに間が悪いように思うのは筆者だけだろうか。
次回は為替介入から先にある朝貢ディテイルを述べていこう。
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