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白夜からの旅立ち

25年ぶりに降り立ったこの国。
なんら変わり映えのしないこの国。

いいんだか悪いんだか、それはわからない。

だが一つだけいえることは、
愛しくて愛しくて仕方がないってこと。

今にも哭き出しそうな空。

あれから四半世紀で使い古されたであろうこのフレーズ。
まさにそんな空模様の下、この国を闊歩する。

やれやれ、

電信棒も電線もけっきょく地上のまま。

安全保障には目も向けず、ひたすらに経済成長に邁進。
そんな時代があって、確かにこの国の経済は成長した。

だけど、経済成長がピタリと止まっても、
安全保障のおざなり具合は変わらない。

電線が地上をかけめぐるなんて、お花畑もいいとこだ。
これじゃあガキの戦争だってできっこねえよ。

25年ぶりに降り立ったこの国。
なんら変わり映えのしないこの国。


この国を変える?

その発想がお花畑なんだ。


この国を貰う。
俺はそのためにこの国に戻ってきた。


天下をとる?

その発想がチープなんだ。


天上も天下もまとめて掻っ攫う。
俺はそのためにこの国に戻ってきた。

古びたトランクケースに、ビニール傘一本の蒼色輪ゴム付き。
ちとばかり、こいつらだけじゃ天上取りに物足りない。


おっと、
そろそろ新しい相棒と落ち合う時間だ。

ニコラスが死んじまったから、楽が出来なくなった。



馬鹿野郎が。

一言ぐらいは愚痴りたくなるってもんさ。







フフッ。
面白え。



あいつデカい図体で、一晩中オレを待ってたらしい。

どうやら新しい相棒はずいぶんな照れ屋らしいぜ。







それじゃあ、頼むぜ相棒。白夜への旅立ち

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