虚構と捏造の惑星/高校生の手紙、そして袴田事件
「人類最高の発明は虚構である」
サピエンス全史の著者ユヴァル・ノア・ハラリがそう喝破した。
その通りである。
人類はこの世にまだ存在しないものを頭に思い浮かべ、それを実現させることで世の中を発展させてきた。
想像、然る後、創造。
この2つの「ソウゾウ」こそが人類を霊長類の長たらしているのだ。
この過程において「虚構」というものが重要なファクターになる。
いま存在せぬ虚構を想い、それをどうすれば実現できるかを千思万考する。
虚構は我々人類のドライビングフォースなのだ。
女子中学生の手紙
筆者のnote記事は開設以降6ヶ月つねに低空飛行を続けている。
だがそれでも言の葉を綴り続けるのには明確な理由がある。
中学生からの手紙である。
着眼点の鋭怜さに対する驚愕、ダイヤのメンタルに対する礼賛、パワーポインタの使い方…
全10,721文字。
感涙なしでは読めない激励文だ。
この中学生からの手紙によって、今日このコンテンツが産声を上げたといって過言ではない。
つねに彼女からの言葉を座右に置き、私は言の葉をつむぎ続けるのだ。
この惑星はこうした物語で今日も回っている。
虚構と捏造の惑星
袴田さん問題は「捜査機関の捏造」を前提として無罪判決が出たことで波紋が広がっている。
「捜査機関の捏造」
当然これも裁判官の虚構ないし捏造である。
虚構とは悪意の有無がわからない作り話。
捏造とは悪意が明確に込められた作り話。
袴田氏を無罪にするため裁判官が頭の中に想像したイメージが「捜査機関の捏造」なのだ。
「捜査機関の捏造」という虚構をエビデンスとして裁判官は無罪を言い渡した。
詰まるところ、人類はどの虚構を信じるかで未来が決まる。
悪意の有無がわからない虚構を選びがちだが、それが良い未来へのチケットだとは限らない。
時に悪意が込められた捏造を選ぶことで、良い未来を手繰り寄せられることもある。
今回の袴田さん問題も、世論は無罪とする虚構を支持している。
だがそれが良い未来へのプラチナチケットだとは思えない。
むしろ、捜査機関の捏造を支持した方が最大多数の最大幸福を実現できたと筆者は想う。
この世の中には必ず人柱が必要なのだ。
どこかに犠牲になる者がいて、この惑星は回っている。
虚構とは悪意の有無がわからない作り話。
捏造とは悪意が明確に込められた作り話。
捏造というものは、誰かを貶める技術だ。
人類が虚構を武器として文明を構築している以上、捏造によって誰かが必ず殺される。
それによって全体最適を実現し、人類の文明はここまで発展したのだ。
だからあまり捏造を非難しない方がいい。
捏造を非難することは、詰まるところ人類文明を否定する行為だからだ。
虚構と捏造でこの惑星は今日も回っている。
そのメカニズムをもういちど確認しておいた方がよいだろう。