第68回有馬記念全頭解説&予想
今年もお祭りの季節がやってきました。
1年の締めくくりに綺麗に当てたいところです。
・テーマ
世界最強馬不在。次世代を担う王者を探す。
・ポイント
古馬二冠を圧倒的走りで制覇した世界最強馬はジャパンカップをもって引退、種牡馬入りした。
そのジャパンカップで2着した今年の三冠牝馬も有馬記念には進まなかったがそれでも豪華メンバーが揃った。
このレースのポイントはまず第一に枠順だろう。
過去10年8枠は(0,0,1,19)と圧倒的に不利というデータがある。今年はそこに人気馬が入っただけあってそれをどう評価するか。
あとは単純に能力比較。
今年は世界最強馬が国内で暴れていたため、その煽りを受けるまたは恩恵を受けた馬が少なからずいたはず。
その馬たちの能力を見極め、ほかの要素と併せて総合的な判断をして行きたい。
・前走解説
まずは菊花賞、天皇賞秋、ジャパンカップと多くの出走馬が前走走ったレースを分析したい。
<菊花賞>
出走馬
2着 タスティエーラ
3着 ソールオリエンス
ここはイクイノックスがいなかったので単純に能力の話を。
今年の3歳牡馬は皐月賞、日本ダービー、菊花賞とそれぞれ別々の馬が優勝した。
三冠馬が出た年は三冠馬以外のレベルが怪しいと思っているがそれには当てはまらない。
しかし、世代レベルには疑問を持ちたい。
ダービーの勝ちタイム2:25.2は過去10年で1番遅かったスローすぎてレイデオロが捲って勝ったダービー以来、2番目に遅い時計だった。
近年馬場の高速化が顕著であるがペースも流れていたし、前週のオークスよりも2秒遅い勝ち時計ではさすがに評価しにくい。
また菊花賞は2着を0.6秒ちぎった勝ち馬が出走してこないのでそこまで積極的に3歳馬を狙う必要はないかも。
かつ一昨年ぐらいからずっと書いているが、
天皇賞秋orジャパンカップを三歳馬が勝った年は三歳馬が有馬記念を制す。
この法則にも今年は当てはまらない。まあイクイノックスがいたからではあるが。
<天皇賞秋>
出走馬
2着 ジャスティンパレス
7着 ドウデュース
まずはレースラップ。
ちなみに比較対象として昨年のパンサラッサがラップを刻み2着に残った時のものを載せる。
今年:12.4 - 11.0 - 11.5 - 11.4 - 11.4 - 11.4 - 11.4 - 11.6 - 11.4 - 11.7 1:55.2
去年:12.6 - 10.9 - 11.2 - 11.3 - 11.4 - 11.6 - 11.8 - 11.6 - 12.4 - 12.7 1:57.5
やばすぎである。
藤岡佑介騎乗のジャックドールがプレッシャーを受けていたとは言え、600m~1800m区間に11.4が4つあるラップは見たことがない。
これでは当然前のジャックドールを追いかけた馬はもたない。後ろから来た馬に分がある。
そこで今回も出走する後ろから来たジャスティンパレスのラップを見てみる。
13.2 - 11.7 - 11.5 - 11.5 -11.6 - 11.3 - 11.2 - 11.2 - 11.2 - 11.2 1:55.6
後半1000mの走りは見事である。きっちり差してきている。
ただ前半に楽をさせた分、脚がたまったともとれるし、先行して中盤に脚を使うことを余儀なくされた馬たちと同じくらいの評価でいいと思っている。
<ジャパンカップ>
出走馬
3着 スターズオンアース
4着 ドウデュース
5着 タイトルホルダー
10着 ディープボンド
まずはレースラップを見たいところだがパンサラッサの大逃げによりすごいことになってるのでレースラップとパンサラッサ抜きのラップを見てみる。
パンサあり: 2:21.8
12.7 - 11.3 - 11.5 - 11.0 - 11.1 - 11.5 - 12.0 - 12.1 - 12.1 - 12.4 - 12.4 - 11.7
パンサなし: 2:21.8
12.9 - 11.9 - 11.8 - 11.7 - 11.8 - 12.1 - 12.1 - 12.0 - 11.8 - 11.1 - 11.0 - 11.6
天皇賞秋と比べてもわかるようにパンサ抜きラップの方はスローで進んでラスト600mに11秒台が並ぶ瞬発力勝負になっている。
これはほぼ今回も出走するタイトルホルダーが刻んだラップであるがスローペースだったといっていいだろう。
これでは後ろにいた馬は届きようがなく、結果先行したリバティアイランドとスターズオンアースが残ることになった。
ということはその2頭より後ろで運び、上りを使えたのに届かなかった馬がねらい目ではある。
・全頭解説
1枠1番 ソールオリエンス
脚質:追い込み 適性:B 状態:B+
今年の皐月賞馬。ダービー2着→菊花賞3着でクラシック皆勤賞かつすべて馬券内で世代上位なのは間違いない。
血統的にもキタサンブラック×母父Motivatorで距離とコースは問題なし。
ただ菊花賞の前走解説でも書いたが世代レベルは微妙。
かつ追い込み一手ではあるので有利と言われてはいるが内枠はいらなかった、1番はなおさら。
後ほど解説はするが今年の有馬はスロー寄りの適性が問われると思っているので追い込み一手かつほかの世代の馬より劣るかもしれないとなると積極的には買いにくい。
ただ3歳馬で軽視禁物なので3連系買うなら紐までは押さえたいか。
1枠2番 シャフリヤール
脚質:差し 適性:B 状態:B+
アメリカ→香港で出走予定だったが香港で健康上の問題から出走取消し、帰国後は問題なかったので有馬記念に使うことに。
エフフォーリア世代のダービー馬ではあるが海外を転戦しており横比較は難しい。
ただ全兄には皐月賞と大阪杯を勝ったアルアインがいる血統で小回りでも何とかなりそうな感がある。
加えて状態面がどうかだが枠はめちゃくちゃいい。
インでじっとして差してくるにはピッタリの枠で一発狙う騎乗をすれば可能性はなくはない。
人気もしないので抑えておく手はある。
2枠3番 ホウオウエミーズ
脚質:差し 適性:C 状態:B
今年の福島記念の勝ち馬。
ただこのメンバーに入ると見劣りする戦績になる。
血統的には父が短距離王ロードカナロアで距離も微妙に長いかも。見送る。
2枠4番 タイトルホルダー
脚質:逃げ 適性:A 状態:C
昨年春天→宝塚を衝撃の強さでぶっちぎったが今年はイマイチぱっとしない戦績。
ソールオリエンスと同じく母父Motivatorなので距離、コース形態ともにベスト。
今回は同型もそれほどいないので展開を左右するのはこの馬だろう。
その展開だが生産者である岡田総帥は前走のジャパンカップを踏まえて、"もっとスピードを出して逃げて欲しかった、今回はもっと飛ばしてもらうよう指示する。"とのコメント。
前走逃げて勝っているアイアンバローズもいるので春天を勝った時のような速い→遅い→速いのラップを踏むと絡まれると思うのでそれなりにペースを刻むはず。
ここでポイントだが前述のアイアンバローズとタイトルホルダーで速いペースで刻んだ場合、そこについていく馬はいないはずである。
よってこの2頭の次、3番手付近につけられる馬から狙ってスローの瞬発力勝負になると予想する。
ただこの馬の逃げ切りはないのかという話になるが岡田総帥曰く状態がイマイチ戻ってこないとのこと。
ジャパンカップでも絶好の流れから残せなかったのはその辺から来ていそう。
このレースで引退となるのでまずは無事にというところと状態面から人気も背負うことになるので思い切って消したい。
3枠5番 ドウデュース
脚質:先行 適性:A 状態:S
昨年のダービー馬。
この世に世界最強馬イクイノックスを負かした馬は2頭しか存在しないがこの馬がそうである。
3歳時は瞬発力に賭ける競馬をしていたが近走はある程度先行できるようになって来ている。
これはひとえに父ハーツクライの影響だと思う。リスグラシューやヒシイグアスなど成長するに連れて強くなって行く馬が多いのでこの馬もその例に当てはまる。
また近走は秋天7着→ジャパンカップ4着でぱっとしないが前走解説の通り休み明けと展開不向きが痛かった。
ダービーでイクイノックスを負かした時も使って使って3戦目で頂きを手にした通り叩き良化型で今回も秋3戦目。
また今回は展開利も見込めるはず。
タイトルホルダーのところで展開予想をしたが3番手ぐらいにつけようと思えば枠的にも馬的にもこの馬なら何とかなる。
ここで再び輝きを取り戻しに行こう。
3枠6番 ディープボンド
脚質:先行 適性:A 状態:C
一昨年の有馬記念で2着した通り適性は問題ない。
展開的にも前に行けるのでバッチリではある。
問題は状態か。
今年6歳になる馬で3歳時からクラシック皆勤賞で三冠馬をアシストしてきただけあってそろそろ衰えが見え隠れする。
調教はもともと動かない馬ではあったが前々走の京都大賞典はあまり強くないメンバーに惨敗でもう一度復権となると疑問符がつく。
4枠7番 アイアンバローズ
脚質:逃げ 適性:B+ 状態:B
人気することが予想されるジャスティンパレスの兄で前走はステイヤーズステークスを技ありの逃げ切り勝ち。
今回は同型のタイトルホルダーがいるがこちらも積極的な逃げを打つと宣言。
タイトルホルダーのところでほとんど書いたが展開的には2頭で後ろを離しながらの逃げとなりそう。
前走で逃げ勝ったとはいえメンバーが手薄で明らかなスローを誰も追いかけてこないノープレッシャーな競馬だったので相手が上がるここではさすがに厳しい。
4枠8番 ライラック
脚質:差し? 適性:A 状態:B+
昨年のエリ女は12番人気2着で今年も4着まで食い込んできた。
恐らく中団やや後ろから差しに回ると思うが有馬記念のようなレースで一番向くのがこのタイプ。
母父キングカメハメハだが父オルフェーヴルなのでタフな競馬になればなるほどよい。
今年はスローの上り勝負になると思っているが前走のエリ女もスローの上り勝負で前にいた馬しかノーチャンスのところを上り最速で追い込んで来た競馬は価値が高い。
エリ女より早めに踏んでいけば着内も充分考えられるだけの余地はある。紐に一考。
5枠9番 ヒートオンビート
脚質:差し 適性:C 状態:B
今年の目黒記念勝ち馬。
例年それほどレベルが高くない東京2500mの重賞で好走こそしているものの中山2500mは全く別のコース。
さすがにここに入ったら見劣りする。
5枠10番 ジャスティンパレス
脚質:追い込み 適性:A+ 状態:A
前走秋天でイクイノックスに迫る2着と好走。今年は春天勝ち→宝塚記念3着と好調を維持している。
血統的にはアイアンバローズと同じ母で父はディープインパクトなので瞬発力よりスタミナ型のディープインパクト産駒の印象。
クラシックは菊花賞3着がある程度だったがそこから成長力を見せて今年の充実ぶりは目を見張るものがある。
ただ前走の秋天で評価を上げるのは注意が必要だと思う。
前走解説のところで書いたが、異次元のラップを離れた最後方から差してきてそらそうなるだろ。という競馬だった。
宝塚記念もあれだけの手ごたえから抜け出してきたものの上位2頭とは上がりタイムで差が開いた。
今回距離が2500mに伸びるのは大歓迎だが、ペース的にも向かなそうな感はある。
スローの瞬発力勝負より流れて他馬がスタミナ消耗したところから差し切る馬なので上位2頭が離して逃げた展開通りになると届かない可能性も。
ただいい枠を引いたし、イクイノックス比でも能力は確か。軽視は禁物だがオッズと相談して買い方を考えたい。
6枠11番 ハーパー
脚質:先行 適性:B 状態:B
三冠牝馬リバティアイランドの後塵を拝す形とはなったがクラシック皆勤賞ですべて掲示板は立派。
三冠馬が出た世代は他の馬のレベルが怪しいと書いたがまさしくこの馬はそれに当てはまると思う。
前走のエリ女は前有利の展開を前受けし流れ込んだ形。
よく言えば競馬が上手なタイプで今回もポジションはそこそことれると思うが単純に能力値の問題。
エリ女も同じ3歳馬に完敗だったと思うしわざわざ古馬の牡馬混合G1で狙いたくはない。
6枠12番 ウインマリリン
脚質:先行 適性:S 状態:C
希望も込めて適性はSを。
3歳時から頑張って走ってこの有馬記念でラストラン。
香港でG1を勝った時は一番状態がよかったのだろう。
この馬の取捨は簡単で状態だけ。調教の内容と調教師のコメントが自信にあふれていれば来るし、その逆も叱り。
今回は調教がイマイチすぎる。
好きな馬だったので頑張って欲しいが馬券的には見送りたい。お疲れさまでした。
7枠13番 タスティエーラ
脚質:差し? 適性:A 状態:B+
個人的には最も評価が難しい今年のダービー馬。
前走解説のところでも書いたように今年の3歳馬はそこまでレベルが高くないと思っているが、この馬はクラシック2着→1着→2着とほぼパーフェクト。
血統的には母系が軽いアメリカ血統で母父マンハッタンカフェと父サトノクラウンで前受けして粘り込むパワーを増強する形。
東京よりも京都3000mよりも中山2500mが向くとは思うが本当にレベル感の問題。
叩き2戦目で鞍上は世界的名手R.ムーアなのでポジションとってきたら問題なく好走しそうではあるがこの枠からどんな競馬をするか...。
軽視はできないがこれもオッズ次第か。
7枠14番 プラダリア
脚質:先行 適性:B-状態:B
前走京都大賞典を勝ってここへ。
中距離レースを中心に使われてきてやっと結果が出たのが前走だったがメンバーレベルに恵まれた感。
加えて重馬場での勝利ということもあり評価を上げることはできないか。
8枠15番 スルーセブンシーズ
脚質:差し 適性:A+ 状態:A+
前走凱旋門賞は内をすくっての4着。国内G1勝ちがない中、健闘したといってもいい内容だった。
加えて前々走の宝塚記念ではイクイノックスとタイム差なしの2着。そのイクイノックスがいないなら巻き返しは当然狙いたい。
血統的にも中山大得意だった父ドリームジャーニーで自身も中山は7戦して馬券外なしと得意コース。
あとは枠の問題だろう。
8枠の成績が(0,0,1,19)と紹介したが、枠番別の平均人気を見てみる。
1枠 8.5人
2枠 9.0人
3枠 7.4人
4枠 9.4人
5枠 6.6人
6枠 9.7人
7枠 7.5人
8枠 10.0人
8枠だからで人気を落とした部分もあると思うが最も人気がないのがこの枠であり、有力馬がいなかったと解釈してみたい。
実際には不利であることは確かだが、この馬の場合、宝塚記念は最後方から進んでいたし、騎手もその時のままグランプリ男である。
大外分回しの競馬をすればジャスティンパレスよりも強いことは宝塚記念で証明済みなのでこちらの方が先着する可能性は大いにあると思う。
上位評価したい1頭。
8枠16番 スターズオンアース
脚質:先行 適性:A+ 状態:A
前走ジャパンカップは頓挫明け&長欠明けでも粘って3着に残った。
東京1600mのG1でも好走し、東京2400mのG1でも好走したように何でもできる器用タイプ。
それだけにそのコースを得意にしている馬には負けてしまうがきっちり着には入って来るのでこれまで馬券外は無しで非常に堅実であるl
今回も初めての中山2500mにはなるが、それなりにこなしてくるだろう。
やはり問題は大外枠であると思うが前走のジャパンカップでも大外枠から4番手の位置に収まったようにポジションはとれるのである程度の位置から運べるはず。
もちろん行くまでに脚を使う必要があるので若干マイナスではあるがそこは名手ルメールが何とかしてくれるはず。
幸いにも人気どころが後ろから行く馬が多かったりなので今回も器用に立ち回れば馬券内は多いにあり得る。
大外枠で嫌われるだろうが強い馬が入ったのならデータは覆せる。上位評価。
・結論
本命は枠も展開利も見込めると思われるイクイノックスに勝ったことがある馬から。
対抗は外枠で人気がない2頭、あとは広めに買いたい。オッズ次第ではあるが難解なレースであることは間違いない。その分馬券は悩み放題。
◎5 ドウデュース
〇15 スルーセブンシーズ
▲16 スターズオンアース
△1,2,8,10,13