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青(AOI)

中二病の本質とは、妄想ではなく、青さである。
妄想だけで青さが無いのは、病じゃない。人並みの、ただの おじさん である。


顔から火が出るほどの、死にたくなるような恥ずかしい思いや経験が誰しもある。誰でも失敗はする。そしてそれは青さに由来することも多い。



人の記憶は時とともに解像度を失う。
細部の鮮やかさが失われ、抽象的なイメージだけが残る。また、しばしば美化される。


私が子供の頃は、
1970年代は昔で、
1980年代以降が現代だった。
今振り返ると、すべて色褪せた過去だ。
みんな過去が大好きだ。


2000年代に入った時は、未来を生きている感覚すらあった。もちろん今も未来を生き続けている。


2020年代も20年経てば間違いなくレトロになるが、
時間の流れ方は年齢によって違う。
体感的には20歳までが人生の半分、という説があるらしい。20歳までの体感を何歳になっても持続したい?
そのために必要なもの、それは突き進む青さ、後先考えない青さ、ほとばしる感情、抑え切れない性欲、時間を忘れるほどの熱狂、朝まで語り合う熱、疲れを知らない身体、矛盾や違和感に対する怒り、大人への怒りと冷ややかな視線、何かを傷つけたい衝動、卑屈と自信が混じり合う精神、反抗心と狂気、つまりはすべてエネルギーだ。エネルギーを焼き続ける。


人生に損得はある。
お金のように可視化できる損得と、そうでもない損得。
私は得をしたい。そのために、昔よりもずいぶん得な性格になった。一方で、


青さは損得を度外視する態度のようにも思える。よって青さの価値を語ることは青さにとっては無意味なのかもしれないが、

青さこそが至上の価値だと考えるならば、青くあることは

最も価値があり最も強い。



なお「青さ」というワード、ここでは"若く未熟であるがゆえの言動"ぐらいのイメージで使っているが、もちろん若さや老い、未熟や熟の区別に明確なラインは無い。どれもきわめて相対的で脆い言葉である。

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