司法試験の勉強と目的手段審査

1 はじめに

憲法では、法令の憲法適合性を審査する際に、目的手段審査という枠組みが用いられます。
具体的には、憲法で保障された人権が制約されている場合に、その制約が正当化されるかを検討する場面で用いられ、その際には、制約の目的が重要であるか、目的と手段との間に適合性や必要性が認められるかを検討することになります。
今回は、司法試験の勉強をする際にも、目的手段審査が有用であることを伝えたいと思い、記事を書きました。

今回の記事を読むことで、
①目的手段審査の当てはめ
②勉強方法の吟味
③基礎知識の応用
を学ぶことができます。

2 目的意識をもって勉強しているか?

まず、司法試験の合格を目指す場合、予備校の講座派とロースクールの講義派に分かれることが多いです。ただ、予備校の講座を受講するにしても、ローの講義を受けるにしても、何のためにそれを学んでいるか、すなわち目的を意識することが重要です。私たち司法試験受験生にとってそれは「司法試験に合格する」ことだと思います。憲法において中間審査を行う場合、目的が重要でなければならないところ、司法試験に合格するという目的は重要です。日頃から司法試験に合格するという目的を念頭に置いて思考しましょう。


3 基本書を読むという手段を審査しているか?

目的が「司法試験に合格すること」であるとすれば、次にその目的を達成するための手段を審査する必要があります。今回は基本書を読むという手段を審査してみましょう。
憲法では、主に2つの視点があります。適合性と必要性です。

⑴基本書を読むことで司法試験に合格するという目的を促進するか?(手段の適合性)

基本書を読むことで、論文を書くために必要な知識や考え方を習得でき、合格答案を書くことができるようになるのであれば、手段の適合性が認められます。この点については人によって異なると思います。

⑵基本書を読むという手段以外により制限的でない他の手段があるのか?(手段の必要性)
難解で分量の多い基本書を利用するよりも、メリハリが効いていて理解が容易な予備校テキストを利用する方が効率的であるから、より制限的でない他の手段があるのかもしれません。これも人によって違うでしょう。


4 目的手段審査の解像度を上げることが大事

司法試験に合格するという目的では抽象度が高いので、司法試験に合格するという主目的をさらに分割する必要があります。例えば、2時間以内に合格答案を書く、30分で問題文を読んで答案構成をする、答案の抽象論が書けるといった目的が想定されます。これを達成するための手段として、模試や過去問演習が適切であるかさらに細かく手段審査していくことになるでしょう。


5 最後に〜知識を汎用性のあるものにする〜

今回は司法試験の受験生が最初に学ぶ目的手段審査の考え方を応用して、勉強方法を吟味してみました。

このように、日頃から、学んだことを他分野で応用できないかどうかを考える習慣は重要です。

このような習慣があれば、司法試験で未知の問題が出題されたときは既存の知識を応用して対処することができるようになります。

よく合格者の方が伊藤塾の基礎マスターを何度も反復しそれ以外には手を出してない趣旨の発言をされていますが、それは典型問題には基礎マスターの知識そのもので対処し、未知の問題には基礎マスターの知識を応用して対処することで、どんな問題でも合格答案が書けるという意味合いなのではないかと思われます。

是非とも目的手段審査を応用して、皆さんの日頃の勉強方法を吟味してみてください。新しい発見があるかもしれません。

今回は以上になります。最後まで見ていただきありがとうございました。

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