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京葉線快速縮小問題を考える⑯朝上り通勤快速の復元ダイヤを考える

朝上り通勤快速の復元ダイヤを考える

2024年各停ダイヤが始まり、早速メディアでは利用者インタビューがなされるなどセンセーショナルな報道があった。「家を15分早く出ることになった」などの声もあり、通勤利用であれば到着時刻を変えることはできず、所要時間が伸びた分は出発を早めるほかない。一方で、筆者のような子育て世代にとっては子供を預ける保育所開所時間の制約もあり、極めてタイトであることは容易に想像できる。一例を挙げると、蘇我744発だった通勤快速利用者が同時刻に新木場に到達するには蘇我731発各停に乗らねばならない。当該各停は京葉線最混雑でもあり、何が混雑平準化なのか分からなくなってくる。

また、ごく稀にJRを擁護する意見として(情けないことにそれで収入を得ているであろう自称鉄道ライターでさえ)各停化で恩恵を受ける利用者のほうが多いだとか、通勤快速が無くなって通勤ができないのなら居住地として不適、などの意見もあるが、視野狭窄もいいところで、両親が近隣に棲んでいる等で安易に転居できない層もいるだろうし、そもそも少子超高齢化時代において、若い世代の獲得競争は都市の存続を左右する。民間企業の一施策でそれらが左右されるものであってはならないとさえ言えるが、自治体とJRのディスコミュニケーションは全国的な課題でもあり、ここでは論じない。

論点がずれてしまったが、依然として千葉県内自治体は通勤快速の復元を求めており、JR側も停車駅選定はさておき前向きを検討しているようであるので、今回はどのような復元形態が考えられるか検討してみたい。

幾つかの前提として、外房線・内房線・武蔵野線側のダイヤは原則として動かさないこととしている。これは、検討上の制約条件もあるが、通勤時間帯においては旅客流動に対してある程度最適化されたダイヤが組まれていることが前提であるためでもある。また、停車駅想定はもっとも無難と考えられる海浜幕張追加停車(蘇我・海浜幕張・新木場・八丁堀・東京)としているが、通勤快速が挿入できそうなスジは限りがあり、他の停車駅選定でも大きく変化はないものと考えている。

パターンA

蘇我744と759発を通勤快速として復元

素直に通勤快速を復元したのがパターンA。
ただし、やはり東京825着の特急わかしおスジとの並存は出来ず、特急は無理やりピーク前(東京着750頃)に挿入した。基本的には以前のダイヤに戻しているので、自治体側が求める「復元」でもあり、利用者の理解も得られやすい。新設した特急を動かすことと、通勤快速の追加停車がJRが考える混雑平準化の許容範囲となるかが争点となる。

パターンB

蘇我707発を通勤快速化

混雑面から東京826着の通勤快速設定が困難、または営業施策上わかしお4号は存続と判断された場合、通勤快速を外房線からの直通2本目としピーク前の東京着750頃としたパターン。
特急にせよ通勤快速にせよ東京750着はやや早過ぎ(ピークシフト観点ではありかもしれないが)、具体的な検討前は蘇我720頃~東京800頃の設定が望ましいと考えていたところ蘇我断面で外房線から総武線快速スジがあり競合するため、設定困難とわかってきた。京葉線優先とし、外房線・内房線の配列を全面的に改めれば出来そうだが、影響範囲が広すぎ本稿では検討を断念した。

パターンC

特急廃止し蘇我発721と744を通勤快速として復元

そもそも混雑ピークタイムに特急設定はいかがなものかとする在野意見は多い。この場合のパターンとして特急を排し通勤快速を設定、内房線君津始発の2本目を京葉線直通列車を通勤快速として復元した。ピークタイムの前半と後半に通勤快速を設定しつつ、双方蘇我で総武快速の接続もあり、速達性を重視している。かつてより列車本数が増えている関係もあり所要時間を要する点はやむを得ないところ。特急スジ(さざなみ4号)自体は武蔵野線直通の増発に充てている。さらに特急2本を設定するならば、Aパターンの蘇我709→東京752とさらにその10分程度前の設定となろうか。

パターンD

直通列車を区間快速化

混雑面から従来イメージされる通勤快速の復元を諦め、別項で述べた区間快速(海浜幕張~新浦安間のみ快速運転)として復元するパターン。蘇我→東京で49分程度を要しており、速くはない。快速のネームバリューに旅客集中を招いてしまい、あまり良い結果にはならない気がするうえ、趣味的にもいまいち。

ただし、休日ダイヤにおいてはもう少し速く走れそうで(45~46分程度)妥協案としては成立しうる。あるいは、このうち一部を(従来型の)通勤快速として復元するパターン(上記A~Cのどれか)も考えられる。

京葉線内上り通勤快速1本化は出来ないか?

ここまで、通勤快速の復元に際しては、外房線系統と内房線系統2本セットの設定として検討してきた。通勤快速の格下げは外房・内房がセット、早朝2本の快速復元もセットになっており、セット扱いが暗黙の了解のようになっているが、検討する中で京葉線内で2本の復元は厳しい雰囲気もあり、通勤快速の復元が1本だけとすることは考えられないだろうか。

比較的復元しやすそうなのは、内房線上総湊からの直通便である。この列車は2024年各停ダイヤでは、蘇我駅で外房線からの普通列車を待ち3分停車する。これを切り詰めるとともに直前に蘇我駅を発車する外房線からの総武快速の片接続とし、外房線からの速達需要にも配慮する。既存の外房線からの通勤快速は誉田駅での併合長時間停車があり、お世辞にも速いとは言えなかったが、この点も解消できる。イメージは以下の通り。

復元する通勤快速1本は、従来の2本の中間的な時間設定とする。2024年各停ダイヤとの比較で、内房線方面からは18分短縮(蘇我からだと15分)、外房線上総一ノ宮からだと、誉田長時間停車の解消と通過駅設定のある総武快速からの接続により24分短縮となる。乗り換えこそ生じ、対東京駅では総武快速線経由と大差はないが、京葉線の強みである対新木場・八丁堀への速達性アピールとしては機能しうる。

通勤快速の機能維持が難しいなか、2本中1本の復元、かつ外房線内で通過駅設定がある総武快速との接続により速達性も確保出来る。内房外房を均等に扱う従来方針に反することもあり実現可能性は低いと承知しつつも、妥協案として悪くないと考えるがいかがだろうか。

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