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京葉線快速縮小問題を考える⑲京葉線特急のあるべき姿とは

京葉線を走る特急列車

京葉線特急といえば内房線さざなみ、外房線わかしおで、元々は総武快速線経由であったところ、成田エクスプレスの運行開始に押し出される形で京葉線をバイパスするルートで運行している。

全盛期はさざなみ1〜2時間ヘッド、わかしお1時間ヘッドで双方合わせて京葉線内30分間隔の時代もあったが、日中のさざなみは全滅して久しく、2024年ダイヤ改正ではわかしおも日中は激減した。2024年改正の背景には特急車両数の削減があるとされ、当初のプレスリリースでは255系は撤退、E257系は10両運転を取りやめ5両編成に統一とされていた。

JR東の全席指定施策と合わせての取り組みではあったが、京葉線ダイヤ問題の反発を恐れてか、6月末まで255系9両編成を多数代走させ輸送力確保する対策をとった。

この措置は暫定的なものとされ、チケットレス特急券の期間限定割引の実施時期とも合致することから7月以降は本来のE257系5連に統一されるものと思われる。

「快速縮小問題」とはやや逸れるが、今回は京葉線特急について考えてみたい。

特急わかしおの輸送力は足りているのか

筆者は東京方面に出ることは稀であるが、稀であるがゆえに混雑回避・速達、着席を目的として特急を重用している。「ガラガラ」と揶揄されることも多い房総特急だが、そのイメージで直前に乗車すると意外と乗っており驚く場面もしばしばあった。

東京駅を18時発のわかしお13号、19時発のわかしお15号はいずれも255系9両編成で暫定運用されているが、9両編成(普通車指定席8両)で7割程度の埋まり具合が多いようで、E257系5両編成への単純置換では輸送力不足になりそうな印象を持っている。言い換えれば255系の輸送力を生かした過渡期対応が奏功したともいえる。

特急さざなみや朝の便はどうか

一方、日中の運転は全滅し、通勤特急と化した内房特急さざなみだが、残った便についても利用率は残念ながら芳しくない。

乗車率の良い18時・19時のわかしおの間を走るさざなみでこれなので、tweetしているように当該便もわかしおとして走らせた方がわかしお側の輸送力問題解決にもなり、良さそうですらある。とはいえ、E257系5両編成であればそこそこの乗りと考えることも出来、拙速に廃止とはならないだろうが……

朝の便に関しては詳細データを持ち合わせておらず肌感覚で恐縮だが、わかしおで概ね窓側席が埋まる5~6割程度、さざなみで3~4割程度の乗車率の認識を持っている。2024年ダイヤ改正で増発されたE257系5両で走るわかしお4号など、ラッシュど真ん中ピークタイムにも関わらず窓側が埋まる程度で、利用がまだ定着していないのか憶測が外れたのか不明ではあるが、一方でE257系10両のわかしお2号、255系9両のわかしお6号もやはり乗車率では同程度(=より利用が多い)なのが面白いところで、適正な輸送力提供ができているのか、「窓側が取れなければ乗らない」層が多いのか興味深い。

京葉線特急のあるべき姿とは

わかしお、さざなみは房総方面への特急列車であり本来は短距離利用客で占めるべきではないのだが、空席があるならば利便性向上させ埋めるのがひとつの方向性と考える。現行で京葉線内唯一の停車駅である海浜幕張には、朝の上り、夜の下りは停車せず通過運転しており、通勤特急に関しては蘇我以遠輸送に専念したい意向が見て取れる。

一方で、京葉線は東京・蘇我とも始発駅であり、敢えて指定席特急を選ばなくとも比較的着席は容易である。通勤特急も海浜幕張に停車させ短距離利用を促進するのも一案だが、それよりも新木場停車を提案したい。夜下り場面では新木場からの普通列車利用は多いが着席はほぼ絶望的で、ここからの着席需要を指定席特急で賄うのはメリットが大きい。朝の上り特急についても指定席が埋まりきらない状況があれば、新木場停車は価値がある。通勤時間帯は新木場付近では速度が上がらない場面が多く、停車に伴う所要増もさほど問題にはならない。強いて言えば、同駅のホーム滞留問題はあるが、安全対策の観点からホームドア設置等根本的な対策を求めたいところ。朝上り・夜下りの通勤特急は新木場停車、他の時間帯は海浜幕張停車と棲み分けても良いし、いっそ全特急新木場停車でも良いかもしれない。

一部でも増結できないか

利用率が低迷するさざなみ系統は上記提案による改善が図られそうだが、わかしお13号・15号などはそもそも利用率は悪くなくE257系5両編成では満席になりそうな、状況にある。そこで、一部特急はE257系10連に復元(5両増結)できないだろうか。
そのまま置き換えると2日掛かりの運用になってしまうが、さざなみ6号(東京848着)→わかしお3号(東京900発)・上総一ノ宮で5両切り離し、夕方のわかしお18号・上総一ノ宮で5両増結(東京1840着)→わかしお15号(東京1900発)上総一ノ宮で5両切り離し幕張へ回送、であれば一運用で済む。通勤輸送が主眼なので平日のみの対応で問題ない。

2024年ダイヤ改正には逆行する施策でもあり、現実的には東京~蘇我などの短距離利用の発券制限(東北新幹線はやぶさの東京~仙台発券制限が有名)などで対応することになるのだろうか。

京葉線のエースだった255系

若干私情が入るが、京葉線沿線民である筆者にとって255系は京葉線のエース的存在だった(あとは103系、205系、183系の時代)。そんな255系は投入当初から、8時台後半に東京に到着するさざなみ(現さざなみ6号、設定当時はおはようさざなみ2号)、東京9時発のわかしお3号(当時はビューわかしお3号)、そこから外房線を2往復して夜下りの通勤特急として走っていた。どれも比較的利用率が高い、文字通り房総特急のエースといえた。

柔軟な輸送力調整が可能なE257系投入後はしおさい運用が中心になったが、2017年頃から上記スジの255系運用が再開され、2024年の暫定運用でもその輸送力を生かしているのは最後の輝きかもしれない(実際に乗ってみると疲労は隠せず、電源が無いなど見劣りは否めないが)。

255系の今後について、「定期運用撤退後も一部編成を残し活用検討」とJRはコメントしており、おそらくGWの「新宿さざなみ」のように最繁忙期の輸送力列車としてごく一部が残り、7月の運用離脱後は順次廃車が見込まれる。JR東の特急型車両が不足がちと噂されるなか、晩年は持て余し気味だった輸送力を活かした最後の活躍を、沿線民兼鉄ヲタとして見届けたい。

東京駅京葉地下ホームにて、255系

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