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京葉線快速縮小問題を考える⑭京葉快速の「区間快速」化を考える

ややセンセーショナルな見出しをつけてしまったが、京葉快速の停車駅検証については、第4回などで整理した。2024年各停ダイヤの公表を踏まえて、改めて考えてみたい。

上り18時台以降の各停平行ダイヤを検証する

1年前の2023年ダイヤ改正において、上り18時以降が各停ダイヤとなった際、JRは以下のようなコメントをしている。

「京葉線では特定の列車に利用が集中しないようにするため、快速列車の運行時間を縮小することになりました」

快速が混雑するから各停化とする理屈は2024年各停化と同じで、今思えば伏線であり、2023年ダイヤ改正を深度化させたものと理解できる。このときも若干の波紋はあったが、千葉県民にとっては利用機会が少ない時間帯でもあり、批判は広がらなかったものと認識している。

そもそも、JRの言うように夜上りの京葉快速は混雑していたのだろうか。今となっては確かめるすべはなく、沿線民の感覚レベルで恐縮だが、同時間帯の上りが蘇我や海浜幕張で混雑と呼べるほど混雑する場面は一部のイベント開催時を除きまずなく、一方で舞浜から東京方面への帰宅客で一気に混雑するように認識している。すなわち、快速への利用集中を防ぎたいとする上記見解は、海浜幕張ではなく舞浜断面の話であると理解できる。

現に舞浜や新木場駅ホームで観察すると「快速には抜かれずに東京まで先に参ります」と繰り返し連呼している。これが2023年夜間の上り各停化で功を奏したと推測でき、10〜15時台を除いての各停化に踏み切ったと考えられる。

舞浜輸送に配慮した快速設定を考える

一方で、幕張新都心や蘇我方面の速達需要への配慮を訴える自治体に応えるためには快速復元は不可避であろう。そこで、本noteで提案してきた新浦安以西各停運転する快速の設定は有効に機能しうると考える。京葉線では海浜幕張以東の各停区間でも「快速」と称しているが、中央線快速は中野・三鷹以西の各停区間で「各駅停車」を名乗っていると記憶している。すなわち、京葉線でも新浦安以西では「各駅停車」としてしまえば、上記の快速集中問題も解消出来、速達輸送両立しうる。

これを「区間快速」と仮称し、整理すると下記のとおりとなる。

お馴染み停車駅団子

京葉線内では僅か4駅の通過となってしまい、停車駅3駅増に伴い東京~蘇我間で3分増の45~47分程度が想定される。一方で、夜下り場面では各駅停車との運転間隔調整から同程度の所要時間で走る快速も多い点、東京方で運転間隔の是正(=混雑平準化)が図られる点、夜上りの舞浜輸送断面で快速への旅客集中を避けたいJRの意向に沿う、等々メリットは多く、10~15時台を除く時間帯の快速復元に際しては「区間快速」としての設定は有りと考える。

内房線・外房線内の通過運転復元はないのか

京葉線からの直通列車は元来、内房線・外房線ともに蘇我から先も通過運転していたが、ホーム長の問題がある総武快速と異なり全駅停車が可能なことから、外房線直通列車は日中のみ各駅停車、内房線直通は終日各駅停車とされ、総武快速と異なる停車駅設定となっていた。同区間では普通列車の代わりの機能を兼ねており、2024年ダイヤ改正では、既に各停化された内房線に続き、外房線区間の快速も新たに全区間で各駅停車とされた。

京葉線の快速復元に際して、内房線・外房線内の快速復元は無いのだろうか。

外房線直通列車の主たる利用は鎌取〜大網間で、あとの需要地は茂原が少し大きい程度となる。だからこそ大網から先通過運転、とする考えもあるが、基本的に同区間の各駅停車化と普通列車の削減整理はここ数年の趨勢となっている。2024年ダイヤ改正でこそ、各停格下げに際して外房線区間の普通削減はなかったものの、京葉線内快速運転が復元後したとしても、将来的な整理も念頭に蘇我以東での各駅停車化は存続すると考えるのが妥当と考える。

実際、ダイヤ改正で廃止撤回となった早朝の快速も外房線内各駅停車化は撤回されておらず、この点について沿線自治体からの言及も無い。既に各停化された内房線は言わずもがなであり、内房線の輸送需要も木更津、君津より五井をはじめとする市原市区間が大きく、通過運転する論拠には乏しいと言える。

外房線内の通過運転よりも解決したい課題

外房線に関して言えば、誉田での分割併合に伴う長時間停車の方が問題が多いように思われる。2024年ダイヤ改正では特急待避を兼ねる形にするなど工夫も見られるが、それでも利用の多い土気・大網ユーザーにとって、5〜10分の停車は長い。

JR東に限らず要員の確保、ダイヤ乱れ時の対応などから分割併合運転は減少傾向にある。一定の需要があるのか2024年ダイヤ改正では各駅停車化しても存続した分割併合で、長年続いた東金線からの直通運転廃止は反発もありそうだが、そう遠くない将来、分割併合は取り止めになり、結果として外房線列車の時短になると予想している。

区間快速案のまとめ

区間快速案は、京葉線内での通過駅が極端に少なくなるものの、埼京線快速などは似たような状況となっており、東京方での混雑平準化、上り舞浜輸送、幕張新都心への速達輸送を並立しうる点でメリットはあると考える。

内房線・外房線区間においても通過駅のある「総武快速」と差別化の意味で、京葉線直通列車の「区間快速」化は旅客案内上のメリットもある。

いきなり「区間快速」化を提案しても反発を招いたかもしれないが、全列車各停化後の優等復元であれば、妥協案として受け入れられやすく、好機とも言える。

なお、提案しておきながらではあるが、沿線民兼鉄ヲタとしては、全列車各停よりマシではあるものの、心情的には受け入れがたい点は付記しておきたい。


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