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京葉線快速縮小問題を考える⑱JR新社長コメントの考察/休日ダイヤの想定

JR東新社長コメントを考察する

鉄道事業には興味がないと話題のJR東の新社長が京葉線に関してコメントしており、新情報もあったので考察してみたい。

記事から拾える社長コメントとその分析をしてみた。

各駅停車の混雑率について「改正前には80%から140%だったのが、改正後は110%。一定の平準化された数字が出ている」

ダイヤ改正の目的は達せられ、現ダイヤがJRにとって理想的と判断しているものと解釈できる。一部報道で「混むようになった」とされる点は、データ採取の区間(報道される利用者は蘇我方、JRの数値は新木場)や時間帯が異なることもあろうし、80%の列車が110%になればそれは混むように感じられると思われ、どちらかが誤りというものではないと理解している。

「正確なデータではないかもしれないが、全体の輸送量はほぼ変わらず、ボリューム的には変わっていない」

SNSなどで総武快速が混むようになったなどの意見も見受けられるが、京葉線の利用者が減っているものではない模様。
一方で、通勤利用者においては朝の到着時刻は変えられないはずで、蘇我方では旧通勤快速の10~15分前列車が混雑するようになったと推測。これが途中駅での乗降を経て新木場断面では「平準化」していると考えられる。

「速達性に関する沿線地域の皆さまの要望は受け止めている」との認識を示した。その上で「地域との丁寧な対応を通じ、一定の成案ができたら来年度のダイヤ改正を待つまでもなく柔軟に対応する」と述べた。

発言内容自体は既報のものだが、「速達性に関する要望」を反映し「柔軟に対応する」と改めて明言しているので、優等復元のダイヤ改正は実施方針と解釈できる。なお、報道で「今秋にも」とされている点は社長コメントからは拾えず、報道機関の憶測なのかJR広報などから補足があったものかは不明。

仮に秋にダイヤ改正が実施されるとして、「地域との丁寧な対応」として事前の自治体説明が行われると考えられるため、早い段階でその骨子は判明する可能性がある。仮に10月にダイヤ改正が行われるとすると以下のようなスケジュールが考えられる。

5~6月 自治体説明
7月 プレスリリース
10月 ダイヤ改正

3月のダイヤ改正では4か月前の12月のプレスリリースが通例で、逆算するとこのようになる。事前の自治体説明であらかじめ方針は伝えられるのだろうが、ここで反発があると方針修正することも考えられ、実務協議はさらに早いタイミングとも思われる。また、自治体が実施しているアンケートに係る協議もこのタイミングとなろう。
また、自治体への説明の内容自体は非公開と思われるが、自治体側の関心が高い案件でもあり首長側から説明内容の発信が行われると予想する。

「限られた車両数の中でどう対応できるかを地域の意見を踏まえて検討している」と述べ、通勤快速の復活を前提に対応するわけではないとの考えも示した。

従来の通勤快速復活を前提としていない点は既報。
ただ、「限られた車両数の中で」の発言意図は不明で、ダイヤ改正前後で京葉線車両(E233系・209系)が減ったわけではなく、もっとも車両が必要な朝時間帯でも1本減便しているくらいなのだが…。
解釈の一つとしては「各停化により平準化達成=これを減らすつもりはない」が、それとは別に「速達性に関する要望」に「限られた車両数の中でどう対応できるか=優等増発できるか」と捉えることができ、この文脈では各停化された通勤快速の再格上げでは無く、別に優等増発を検討しているようにも取れる。そこで一案を検討。

各停を増発し君津始発を通快化(総武快速接続)

2024年3月ダイヤ改正で削減された東京着8時頃のスジを使い、通勤快速1本を設定してみた(各停は増減なし)。スジ上、内房線からの列車を直通させているが、外房線(蘇我708発)の通快化もセットで行うことも考えられる。通勤時間には早すぎる印象はあるが、ピークタイムの全各停輸送を譲れないならこの選択も採り得ると考える。

快速復元時の休日ダイヤを考える

さて、今回の本題。京葉線の主たる利用者は平日朝上り・夜下りの通勤客であり、通勤快速廃止の反響を見るまでもない(朝下り、夜上りの舞浜輸送のボリュームも侮れないが一旦置いておく)。では通勤利用が少ない休日はどのようなダイヤが考えられるだろうか。

直通先の内房・外房線は平日と休日ダイヤを分けておらず、必要に応じて「土休日運休」などの措置をとっている。京葉線直通においても、数分の時刻変更はあるものの、骨子は同じになる。このため、平日ダイヤの動向に休日ダイヤも左右される。

休日の朝上りダイヤを考える

前述の通り、朝の通勤快速復元パターンにより、休日ダイヤも決まってくるものと考える。2023年以前のダイヤにおいては、平日が各駅停車の直通列車は休日も各駅停車、平日が快速・通勤快速だった列車は休日は快速として運行されていた。これの踏襲が基本と考えられる。

まずは、前提となる2024年各停ダイヤから確認していく。

2024年休日ダイヤ

2024年ダイヤ改正では、休日朝は快速のみならず特急も全廃されており、早朝2本の快速を除いてはすべて各駅停車となっている。平日ダイヤでは邪魔にしかなかった特急がないこと、平日のようなラッシュでもないので各停自体もきびきび走ることで全体的に速く見える。また、武蔵野線直通の本数の少なさも特筆すべき点で、武蔵野線の通勤需要の大きさが伺える。

早朝2本の快速を除き全て各駅停車というのはやはりやり過ぎで、別途料金を払ってでも特急とする選択肢すらなく、休日ダイヤの朝時間帯においても快速復元が求められる。

まずは平日でもっとも無難な復元想定と考える蘇我744発、757発の2本を通勤快速として復元した場合(第16回のパターンA)の休日ダイヤ版。そのままだと2023年ダイヤになるため、新浦安以西各停となる区間快速として想定してみた。
新浦安での各停追い越しがなくなり、2023ダイヤと2024各停ダイヤの中間的なイメージになる。蘇我~東京間で各停49~51分のところ、区間快速は45~46分と実質的な差は少ないが、既存の快速と比べて極端に遅いわけでもなく、イメージ的に改善された感はあり、妥協案としては悪くない。

蘇我719発の君津始発、同744発の成東・上総一ノ宮始発を通勤快速として復元した場合(第16回のパターンC)の休日ダイヤ版。元をたどれば休日は快速として設定されていたスジなので、違和感はない。いっそ全直通を快速として設定しても問題なさそうですらある(2022年ダイヤ以前はそうだった)。

蘇我757発の上総湊始発1本を通勤快速として復元した場合(第16回での「上り通勤快速1本化」)の休日ダイヤ版。2023年ダイヤのうち平日優等スジだけを快速として復元したほか、2023年ダイヤでは快速設定だった蘇我729発のスジも快速として再設定し、7時台2本の快速設定としてみた。

休日単体でどれが良いか、というより平日ダイヤがどのように設定され、それとの整合をどのように取るかで朝の休日ダイヤも自ずと決まってくるものと考える。

休日の昼下りダイヤを考える

続いて、休日日中についても考えてみたい。
京葉線は行楽需要の大きさから昔から休日の快速本数が多く、2024年各停ダイヤで快速が大幅に削減されてなお、10~15時台は従来通り快速4本/Hが設定されている。まずは2024年ダイヤを確認する。

2023年以前と大きく変わった点はなく、京葉線系統は蘇我方面の快速と海浜幕張止まりの各駅停車が交互に走り、新浦安で緩急接続を行っている。このため、対海浜幕張では先発とならない各停は沿線民の感覚として利用率がかなり低い印象がある。

各停化を推し進めた2024年ダイヤ改正でも日中は快速が存続しているので、このパターンでなんら問題はなさそうだが、新浦安での待避がやや勿体ない。そこで、日中も区間快速(新浦安以西各停)化するパターンを検討してみた。

表記混在してしまったが全て区間快速化

快速を新浦安以西各停とし、各停は海浜幕張先着とするパターン。東京方は概ね等間隔な半面、海浜幕張付近はややタイトで実際にはもう少し調整が必要かもしれない。
上りについては従来から途中駅での緩急接続はなく、海浜幕張から先発先着となっていることから、ダイヤ骨子は変わらない。別項で記載した通り、舞浜断面での上り東京方面は「全列車各駅停車」として案内できる点はメリットとなると考える。

休日の夜下りダイヤを考える

最後に、夜下りの休日ダイヤ版を検討する。
まずは2024年各停ダイヤの確認から。

2024年各停ダイヤは一部の直通スジが平日と変わっているほか、適宜海浜幕張行きが走り、輸送力の調整がみられる。下り方向の輸送需要からすると供給過多のようにも見えるが、むしろ上りの対舞浜輸送(東京方向帰宅需要)を指向している可能性もある。

平日同様、内房・外房線直通を快速として復元した素直なパターン。
2023年ダイヤの時点で、休日は内房・外房線直通のみが快速で、残りは各停化されていたため、その復元ダイヤとなる。元々あった海浜幕張止まりは快速の前を走る各停と振替え、整合をとっている。これでなんら問題はない印象を受ける。

上記案をベースに、夜下りにおいても区間快速化(新浦安以西各停)としたパターンも検討した。快速が東京~蘇我間42分程度のところ、45分程度と若干所要時間は伸びるが骨子は変わらない。
夜下りにおいても休日ダイヤ単体での良し悪しではなく、平日ダイヤでの理想形がまず検討され、休日ダイヤ側で整合を取られるものと考える。

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