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京葉線快速縮小問題を考える⑨もし特急が無かったら

房総特急を総武快速線経由に戻してはどうか

今回は現実味が低い考察をひとつ。

外房特急わかしお、内房特急さざなみは成田エクスプレス新設後、総武快速線の線路容量の問題から京葉線経由に移された経緯を持つ。その目的の通り、東京から蘇我をバイパスするショートカット路線として来たが、京葉線経由となった時代から房総特急を取り巻く環境は大きく変化した。内房特急さざなみの激減が一番分かりやすいところ。

銚子特急しおさい、外房特急わかしおも減少傾向にあり、2024年ダイヤ改正では(京葉線快速問題に隠れているが)通勤時間帯の特急強化とともに、全体的に減車・減便されている。銚子方面・鴨川方面とも高速道路事情が貧弱で、当面延伸予定が無く、全廃とはならない一方で大幅な伸びも見込めない。人口減少時代を踏まえれば先細りとなる。

その他京葉線経由特急は、設定当初から以下の課題が挙げられている。
・県都千葉を経由しないため、県内移動が不便
・汚物処理の関係で、総武線幕張の車庫へ回送が生じる

前者は高速バスに取って代わられ、後者は依然解消していない。

であるならば、往時の半数程度まで少なくなった特急わかしお・さざなみを総武線快速経由に戻すことも考えうる。東京〜千葉の太い需要を吸収でき、県都千葉から県内各都市への移動にも貢献する。錦糸町停車で新宿方面にも出やすい。所要時間は若干伸びるかもしれないが、最高速度100km/hに抑えられるうえ各駅停車が増えスピードダウンを余儀なくされる京葉線経由と、最高速度130km/hかつ複々線を走れる総武快速線経由では、組み方次第ではそれほど差は出ず多少の所要時間増以上のメリットが見込まれる。

京葉線特急が無かったら

京葉線内固有の特急の機能としては、東京対幕張新都心輸送程度となる(新木場停車すれば独自の強みになりそうだが)。東京~海浜幕張間は特急で25分程度、快速がきちんと走れば30分程度で大差はない。仮に特急がなくなった場合のメリット・デメリットを整理する。

【メリット】
・特急待避の解消(所要時間短縮)
・特急の存在による各駅停車・快速列車の不均等化の解消

【デメリット】
・幕張新都心への着席・速達輸送がなくなる
・(京葉線ではないが)総武線快速の待避時間が増える

特に特急の存在により各停・快速の運転間隔に生じている穴を解消できるメリットは大きい。

特急と通勤快速を統合できないか

ここまでは前フリであり、本題となる。
通勤快速と特急の機能重複は以前から言われており、JR他線でも上位無料優等は削減・特急化の傾向にあり、京葉線でも同じ状況となった。日中の内房特急さざなみが役目を終え、総武線快速が毎時1本内房線君津まで走っているように、京葉線特急を通勤快速に統合した運行は出来ないか、とするのが本提案である。

この場合、着席保証が問題となるが、中央線快速のように、京葉線にグリーン車を連結することが考えられる。京葉線は路線の歴史的経緯から、2両増結の12両編成化も行いやすいが(地下区間除く)輸送需要を踏まえれば一般車8両+グリーン車2両での対応はどうか。朝ラッシュ時のみ問題となるが、特急減少分各駅停車・通勤快速の増発が出来、トータルの輸送力は確保出来ると考えられる。

あるいは全列車とせず、房総直通便を中心とした限定運用を組むことも考えられる。総武快速線E235系が方転・10両化出来れば共通運用することも出来る。

房総特急と言うと空席のイメージが強く、事実満席とはならないが、平日夜の特急は10両編成で6~7割程度の乗車率となる。これが5両編成全席指定となったときの需要は読み切れないが、総武快速線経由の特急と、京葉線経由のグリーン車連結無料優等では良いバランスになるのではないか。

どのようなダイヤが考えられるか

特急がなくなった場合の平日夜ダイヤを想定する。
現行ダイヤでは1時間あたり、特急2本・京葉線系統8本・武蔵野線系統4本の計14本が最大となる。これを再構築すると、特急から振り替えた無料優等2本、京葉線各停6本、武蔵野線6本が考えられる。

この場合の無料優等列車は、混雑平準化などに配慮する必要はなく、従来の特急・通勤快速を合わせたような停車駅、すなわち八丁堀・新木場・海浜幕張・蘇我に停車し、蘇我以遠は各駅停車を想定する。

特急代替無料優等設定パターン

特急と通勤快速を統合した(仮称)特別快速2本、京葉線各駅停車6本、武蔵野線6本とした。各停はほぼ等間隔となり、遠近分離も達成している。特快を特急に見立てれば2024年ダイヤにも近く、あるいはJRは特急+京葉線各駅停車+武蔵野線各駅停車でこのようなダイヤを目指していたのかもしれない。

これが本当の抜本的見直しと考えるが、さすがに特急にここまでメスを入れるとは思えず、極めて非現実的と思う。しかしながら、通勤快速・快速を廃止し各停化したいのであれば、このレベルまでやって初めて、利用者の理解を得られたのではないか、とも考える。

また、議論が脱線してしまうが、特急廃止までは出来なくても、せめて毎時00分・30分の縛りは解消を考えても良いのではないか。一時期、01分発の外房特急わかしおがあったり(2023年ダイヤでも9:01発あり)、内房特急さざなみが京葉線内各停雁行で所要時間が伸びている状況があったりすることもあり、快速復元ダイヤの代償としては妥協可能なラインと思う。

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