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京葉線快速縮小問題を考える③

通勤快速の再設定検討

第3回はハレーションが大きい京葉線通勤快速について検討する。

通勤快速廃止の妥当性

京葉線朝上りにおいて、通勤快速は空いている傾向にあり、各駅停車の7割程度とするデータが示されており、体感としても一致する。特に新浦安以西における各駅停車の混雑は顕著で、「混雑平準化」の観点から通勤快速の「見直し」自体は不可避であったと考える。
そのうえで、廃止(各駅停車化)は妥当なのか考えたい。

先の投稿の通り、京葉線内の本数だけ見れば、2024年ダイヤ改正では通勤快速2本減、各駅停車1本増、特急1本増となる。2023年ダイヤ改正では通勤快速2本減、特急1本増で、通勤快速4本体制時と比較すると、通勤快速4本減、各停1本増、特急2本増となる。

通勤快速の停車駅見直しについては、おそらくJR内で検討の遡上に上がったうえで、各駅停車化を選択したものと思われ、東京方(新浦安以西)の混雑緩和を優先したものと推察する。

通勤快速の純減は、ピークタイムの通勤列車削減であり、保有車両の削減に寄与する。一方で同時間帯の特急設定は増収施策であると同時に、通勤時間帯に休眠している特急車両の有効活用とも言え、トータルでは合理的であるのも理解できる。

参考:おきらく娯楽工房様

上り通勤快速再設定の可能性検討

上記趣旨を踏まえると、通勤列車削減後の本数でやり繰りする、すなわち各停の格上げで対処するほかなく、ピークタイムの遠近分離列車(通勤快速)の再設定は困難と考えられる。そのうえで、なお再設定の余地はないか検討する。

【現行通勤快速の再設定】
相対的に空いている遠近分離列車の継続困難と判断された以上、この可能性は薄い。ただし、停車駅選定は別として、従来4本あった列車が2年間の間に全廃(各停化)というのもまた極端で、上り1本を存続する可能性は無かったか。内房線・外房線双方を均等に取り扱ったものと推察するが、優先順位としてはどちらかを存続(1本化)する検討はあってしかるべきと考える。

内房線・外房線のどちらを残すかと問われれば難しい。強いて言えば、蘇我での内房線対面接続を前提に、より足が長い外房線であろうか。そもそも、誉田で10分近く停車してまで分割併合列車を残すべきなのかと言う気もするが…

あるいは、既に各停化されたラッシュ前半の通勤快速1本を復元することも考えられる。この場合、ラッシュ前半・後半で内房線・外房線を分担することで双方向に配慮出来る。

【通勤快速の停車駅見直し】
まず京葉快速への格下げが考えられるが、朝上りの京葉快速は混雑平準化から既に各停化されており、この可能性はない。

千葉市(長)などは通勤快速の海浜幕張追加停車を主張しており、相対的に空いている通勤快速へ千葉みなと~検見川浜間の旅客誘導も出来、一定の合理性はあるように感じられる。幕張新都心は現在も大規模マンション開発が進んでおり、今後も発展が見込まれる。JRも海浜幕張駅の改札口増設に着手しており、そうした事情は承知済みと考えられ、その上で海浜幕張追加停車は選択しなかったことになる。その理由までは不明だが、朝上りの京葉快速の各停化経緯を踏まえると、京葉線内で接続を伴う追越し設定をしたくなかったものと推察でき、それが蘇我から新木場ノンストップ維持となっていたのではなかろうか。

結果として、前述の通り東京方の混雑緩和を優先した各停化となり、その選択をした以上、海浜幕張への追加停車の線は薄いものと考える。千葉市の主張を丸飲みするならば有り得ない話でもないが…。

【通勤快速の抜本的見直し】
各停化がベターと結論に至りつつあるが、速達性維持も必要であったと考えられ、その両立方法として最混雑区間で混雑均等化しつつ速達運転するパターンが考えられる。東西線通勤快速を範に、新浦安以西を各停化、以東を速達運転とし、海浜幕張に追加停車し東京方で混雑平準化を図るパターンを考案した。理由として、千葉市域から東京圏への速達化のほか、房総方面から幕張新都心への通勤需要、武蔵野線への乗換え配慮もした多目的列車とする。理屈上は通過駅は8駅、東京~蘇我間各停51分のところ43分程度で走破できる。さらに、このパターンでは朝ラッシュ最混雑帯の対応もできるため、通勤快速4本の復元も可能と考えられる。

海浜幕張通過や、新浦安で各停を通過追越ししたのち舞浜以西停車とするパターンも考えられるが、朝ラッシュ時の停車駅選定としてはこれを推したい。

通勤快速停車駅検討凡例

「臨時」通勤快速設定の可能性

2024年ダイヤ改正は予定通り実施し、かつ沿線への配慮から暫定的に通勤快速を臨時設定した場合の可能性を検討する。
新設特急わかしお4号は、現行通勤快速スジを流用しており、特急を運休し通勤快速を設定することが考えられる。図示すると以下の通り。

成東・上総一ノ宮始発臨時通快設定パターン

所要時間に余裕があることもあり、一応海浜幕張追加停車とした。スジ流用が出来ない内房線からの通勤快速は設定できないものの、蘇我744に内房線→総武線快速があるのである程度吸収できるものと考える。
前後列車のダイヤ変更を嫌うならば、通快格下げ各停はそのままとし、わかしお4号スジ(蘇我739発)の通勤快速を蘇我始発で設定することも考えられる。

下り通勤快速の検討

夜下りについては、「快速」の運行もあることから別項「京葉快速の再設定検討」にて整理する。

特急設定の妥当性

やや傍論となるが、機能が重複する特急についてここで触れる。
京葉線では朝上り、夜下りとも特急が設定されている。通勤需要に応えてのものだが、自由席着席可能であり、指定席に至ってはまず満席とはならない。2024年3月ダイヤ改正から全列車がE257系5両編成の全席指定制になり、大きく形態が変わることから、利用予測は難しい状況にある。

参考:「鉄道ファンの待合室」様

利用状況を踏まえると、外房特急わかしお、内房特急さざなみの双方運転は供給過多で、蘇我まで両者を併結とするか、あるいはグリーン車を連結した特別快速などの形態が望ましい気がするが、京葉線のためだけにそこまで小回りが効く運行は困難であろう。

満席でなくとも収益が上がっているのであれば運行理由としては足りるはずで、本稿では特急存続は前提条件として取り扱うこととしたい。

特急追加停車の可能性

現行特急は京葉線内で海浜幕張に停車するが、朝上り・夜下りは蘇我以遠の通勤需要に配慮してか、海浜幕張通過となる。快速廃止の代替として、これをラッシュ帯も海浜幕張停車とする配慮は有り得る。混雑状況・所要時間ともに余裕があり、「何が出来るか検討」のひとつとして、実現可能性は有るものと考える。

まとめ

★★★ 予定通り各停化。復活なし
★★☆ 停車駅見直しで復活
★☆☆ 既存通勤快速の復活

次回は京葉快速について検討する。

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