着地時に膝が内側に入りやすい人と股関節の話
はい!こんちわKATZです!
今日のテーマは「着地時に膝が内側に入りやすい人と股関節の話」
これについて解説をしていきます。
目次
結論 内外旋の左右差に気をつけろ
Structure,sex,and strength and knee and hip kinematics durning landing
SEBT:Star excursion balance test
足アーチ高率
まとめ
結論 内外旋の左右差に気をつけろ
今日の結論としては、内外旋の左右差に気をつけろということです。膝が内側に入る、すなわちKITO(Knee in toe out)は膝ACL損傷の危険姿勢であることは周知のことですが、それには股関節周囲の機能が関連していることがわかりました、以下、文献を参考にして解説をしていきます。
Structure,Sex,and strength and knee and hip kinematics during landing
研究論文「Structure, Sex, and Strength and Knee and Hip Kinematics During Landing」は、Jennifer S. Howard, PhD, ATC; Melisa A. Fazio, MS, ATC; Carl G. Mattacola, PhD, ATC, FNATA; Timothy L. Uhl, PhD, PT, ATC, FNATA; Cale A. Jacobs, PhDによって書かれました。著者たちはそれぞれ異なる機関に所属しており、University of Kentucky, University of Colorado, Boulder, および ERMI, Inc, Atlanta, GAからの研究者です。
この論文は2011年8月に「Journal of Athletic Training」の第46巻、第4号に掲載されました。この研究は、片足での着地時における膝と股関節の動きを、構造的、性別的、および筋力的要因と関連付けて調査しています。特に、着地時の膝の内崩れ(medial collapse)につながる要因として、これらの変数がどのように関与するかを明らかにすることを目的としています。
以下に、論文「Structure, Sex, and Strength and Knee and Hip Kinematics During Landing」の主要なポイントをまとめてみました。
1. **目的と方法**: - この研究の目的は、片足着地時の膝の内側崩れ(medial collapse)に及ぼす影響要因を評価することでした。特に、片側の股関節回転の非対称性(Asymmetry of Unilateral Hip Rotation, AUHR)、足の相対的なアーチ変形度(Relative Arch Deformity, RAD)、股関節の外転・外旋力、性別が膝の内側崩れとどのような関連があるかを調査しました。
2. **主な発見**: - AUHR(股関節の回転非対称性)が高いほど、着地時の膝の内側への動き(膝の内側崩れ)が顕著になることがわかりました。 - 性別と股関節の力(特に外転・外旋力)が膝の動きに影響を与えており、特に女性と股関節の力が弱い個体で膝の内側崩れが大きくなる傾向が見られました。
3. **性別の影響**: - 女性は男性に比べて膝の内側への崩れが大きいことが示され、これは性別による筋力の違いや骨格の構造的な違いによるものと考えられます。
4. **アーチの変形度の影響**: - 足のアーチの変形度(RAD)は、着地時の股関節の動き(特に内転)に関連しており、高いRADは股関節の内転と膝の屈曲動作に影響を及ぼしていましたが、膝の内側崩れとは直接的な予測因子とはなりませんでした。
5. **臨床的意義**: - 着地動作時の膝の安全を確保するためには、股関節の非対称性や性別、筋力など複数の要因を考慮に入れる必要があります。特に、筋力トレーニングや予防プログラムの設計において、これらの要因を考慮することが重要です。
これらの結果は、スポーツ選手や理学療法士にとって、膝の怪我を予防するためのトレーニングプログラムの設計に役立つ洞察を提供するものです。
上記のことからACL損傷の受傷機転となるKITOなどの姿勢変化においては股関節周囲の機能評価が重要であることが理解できます。
今日はその他に、股関節周囲やバランスに関わるテスト紹介して終わりにしたいと思います。
SEBT:Star excursion balance test
股関節のテストと合わせて行いたいのがSEBTです。
下肢の動的バランスを簡便に評価できるテスト
片脚立位の状態で対側下肢を8方向に伸ばす
到達する「距離」を数値で評価
下肢の筋力・柔軟性・体幹の筋力・体性感覚を総合的に評価
股関節周囲筋と大腿部の筋力・柔軟性・関節可動域などが関係している
足関節の不安定性やACL損傷の既往のある者においてはバランス機能の低下や患健側差を呈することがある
参考文献:アスレティックトレーナー専門科目テキスト6検査測定と評価/P
足アーチ高率
また足アーチ高率についてもテストしておきたいところです。特に足のアーチが低ければKITOを呈しやすすく、ACL損傷のみならず、膝の外傷障害を引き起こしやすくなるということが理解できます。
足アーチが高い場合はJones骨折の危険因子
足アーチ高率は舟状骨粗面の高さの割合を算出する
式は以下の通り
アーチ高率=舟状骨高/足長×100(%)
基準値:扁平足の境界値とする報告によれば
男性で16.4%
女性で14.6%
とされている。また舟状骨がどれくらい沈むのかってテストがあります。
navicular drop testでは非荷重(座位)での舟状骨高と、荷重位(立位)での舟状骨高の差(沈降度)を見る評価方法もあります。この場合10mm程度の低下が見られるとされています。
参考文献:アスレティックトレーナー専門科目テキスト 6 検査測定と評価 P37
まとめ
膝ばっかり見るなよってことですよ。今日もお読みくださってありがとうございました。
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