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究極のスローフード、サンドイッチ!

キャンプ2日目の朝食はサンドイッチ。30人分の胃袋を満たすには何枚切りの食パンが良いかは自分の胃袋で事前に調査済み。毎朝、20日間ほどサンドイッチを作りソースの量まで試行錯誤した。

サンドイッチの内容は、こんな感じ。

食パン
マスタード
マヨ&ハラペーニョソース
トマト
レタス
チーズ
プルドポーク
マスタード
食パン

コイツを最後にグリルで焼いて出来上がり。半分にカットして1人前。使ったのは6枚切りの食パン。食パンは、実質1枚分だけれど、具材も含めるとまあまあボリュームあるサンドイッチに。

サンドイッチと言えば、代表的なファーストフードのひとつ。キャンプだから、しかも朝食だから、手軽に、ちゃちゃっと作り、サクッと食べる。

そんなセオリーはメタキャンにはない。


キャンプ初日の豊丘村、外気温は35度近く。照りつける太陽に、温室効果で温められたタープの下のキッチンは灼熱地獄。熱中症になっていたせいか、思考も動きも停止。昼食をサーブした後に、何人かは流木を拾いに行ったり、また多くはてっぺん公園に空を飛びに行ったりしたので、私もしばしの休憩、仮眠を取ることに。

夕食の準備に取り掛かったのは、17時を回っていた。こんなにゆったりとした時間が流れるメタキャンは、もしかしたら始めてかも。みんな年取ったせいか、食欲も減退気味。夕食の準備に入ると、今度は夕食のことで頭がいっぱい。けど、いくらなんでもスタートしないといけないよなと奮い立ち、下ごしらえをして、結局ポークを焼き始めたのは19時を回っていた。この時点で、徹夜決定。

サンドイッチのメインとなるプルドポークは、5kgのポークの塊を8時間ほどかけて焼き上げ、引き割いてBBQソースを絡めたアメリカンBBQを代表する料理。5kgの塊なので、焼き上げるのにとにかく時間がかかる。8時間はかかると踏んでいたので、19時から8時間後の午前3時がおおよその目安。仕込みに徹夜するキャンプなんて聞いたことがない。


ポークをグリルに放り込むと、それからは、夕食を作りながら、お酒を飲みながら、4〜5人で火の管理を怠らず、順調に時間が経過していく。日が落ちてまわりが暗くなる頃には暑さも和らぎ、冷たいお酒を飲みながらの徹夜のBBQには最適な環境に突入した。メンバーにいただいたニッカ・ブラックで作るハイボールが楽しい徹夜に花を添えてくれた。

時折、寝落ちしながらも、気づけばもう午前0時。このころから、外気温が徐々に下がりだし、15度まで落ち込んでいた。20度の寒暖差は流石に堪えます。半袖では寒すぎるので、長袖のジャンバーを引っ張り出してきて、そして辺りを見渡し焚き火の灯りを探したが見当たらず、自ずから視線はポークを焼き続けているスモーカーに向いた。吸気口からこもれる火の灯りでぼんやりと映るのは火の番をしてくれていたメンバーだった。


グリル内の温度も下がっていて、炭を入れても上がんないんだとか。確かに、昼間のようにはうまくいかない。けど、同時に終わりも見えてきた。肉芯温度は185度まで上がっていた。あと3時間もすれば、予定温度に到達するだろうから、貫徹は免れた。

溜まりに溜まった灰をかき出し、空気が通るようにして、ようやく温度も上がり初めたので、ちょっとひと息。いつも遅くまで飲んで起きてるメンバーが加わり3人でグリルのそばで暖を取りながら、焼き上がるのをひたすら待つのみ。ここまで来ると我慢大会。けど、グリルのまわり、特にファイヤーボックスのまわりは焚き火しているかのごとく温かかった。

体力的にも、環境的にも、グリルの温度を維持するのがこれ以上難しいだろうなってところでちょうど肉が焼き上がった。予定通りの午前3時。明日の朝イチで提供できるよう、レタスを刻んだり軽く準備をして、3時半に就寝した。2日目の朝6時には、1人帰らないといけないメンバーがいるので、サンドイッチを作って持たせてあげるべく、目覚ましは5時半にセットした。寝られる時間は2時間。なんてキャンプだ。


2時間の睡眠は流石にこたえるだろうなと思いつつ、目が覚めたらすでに時計の針は5時50分を挿していた。慌てて飛び起き、片付けてまもなく帰るだろうメンバーを見渡したが、すでに出発したようで、車はすでにそこに無かった。申し訳ないことをした。

そして、そのまま朝食の提供準備に取り掛かり、ゴソゴソしているとボツボツとメンバーが起きてくるので、いつでも提供可能なように足早に準備を進めた。

今日の朝食は、8時間かけて焼き続けて作ったプルドポークのサンドイッチです!夜なべして作ったお肉を挟んだスペシャルなサンドイッチです!順次焼いていくので食べてくださいね!

ひとり、ふたりと起きてきた順に食べてもらいつつ、一度に焼けるのは6人分だけなので、若干待ってもらいつつサーブしていった。ひととおりサーブし終えたのは8時半頃だった。

寝て起きたら、朝食が出来上がってるって嬉しいですよね。しかも、食べたことないようなボリューム満点のサンドイッチ。サンドイッチだから、トーストとは違い、それなりに手間がかかってることまでは分かると思いますが、流石に中に挟まれポークが8時間もかけて、しかも徹夜までして焼かれていたなんて誰も想像だにしないでしょうね。

これぞ、メタキャン流ホスピタリティー。作り手の料理に対する興味度合いと、いちいち手をかけ品を変え、たらふくお腹いっぱいになるまで食べてもらいたいという欲望と、最後においしいと笑みを浮かべてひとこと言ってもらえるまで、とことん作り続け、食べさせ続けるのがメタキャン料理請負人の本望。10時間以上もの時間を費やし提供されたこのサンドイッチは、ファーストフードではなく、究極のスローフードでした。

※写真は、悪乗りして、さらにハンバーガーを挟み込んだサンドイッチです。らんいちをランプとイチボに解体して、イチボはステーキにランプはローストビーフにしてくれたメンバーが、一部、手切りでパティを作ってくれました。そうそう、朝イチで帰ってしまったメンバーが作ってくれたパティです。全員分なかったので、ごく一部の人にしか当たらなかったさらに特別なラッキーフードでした。

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