散髪記①
「ドラゴン藤ヶ丘店」自宅からチャリで3分。
愛知県内に13店舗展開している理容チェーン。数年来近所の気になる存在ではありつつ今回初訪。カットにシャンプー、顔剃りがついて2000円。予約は不可。店に着いたら番号札を取って自分の番が来るまで待つ。
「俺のような短髪ツーブロック男はどこで髪を切ろうが結局同じ型になります。」という想いがある中で「1000円カットとか街の床屋はちょっと、、、」という思春期由来の美意識で毎回カットに5500円かけていたのが31歳夏までの俺。
ここ最近その行きつけ的お店での仕上がりが毎度身近な周りにとことん不評。ヘッドスパ気持ち良いのに。滋賀の実家に帰った際「あんたそれ髪型どないなってんの、切ったろか」と実母に言われ酒の力もあり「ええいままよ。」と小4ぶりに本当に切ってもらう。その髪型がなんとまぁ手ごたえ◎、身近な周りにもとことん好評。にて「1000円カットどころか0円おかんカットでしばらくいいや。」と思ったのがそう31歳秋の俺。
髪が伸びて来た12月中頃。特に用事があるわけでもないが孫見せついでに母に髪を切ってもらおうと滋賀への帰省を予定。しかしその予定が体調不良者発生にて流れる。まぁ年始に帰るしええかと思いつつも髪の毛を切りたい気持ちだけは残る。ブランクが開いたことでこれまでの行きつけに行くのもやや億劫だ。それゆけ、と来たのがここ、ドラゴン藤ヶ丘店。
待合には既に約5名。俺以外おっさん。はっきり言って全員小汚い。(ホンマすんません）ラーメン屋に並んでる時の風景に似ている。(すんません)
「まぁこうよな。」とカット現場を見渡すとそれまた小汚いおっさん (ホンマすんません)がスッキリ小奇麗になりゆく様が手前から奥に3席広がっている。カットされながら話しをする様子もなく、「まぁこうよな。」と思っているうちに自分の番号札がコールされ一番奥に着席。
「どうしましょ。」
推定63歳眼鏡白髪男性、優しそうな理容師さん(以下ヤサ師)に問われる。この店の客にしては若く要求の高そうな俺に対する若干の警戒心を持ち前の機微にて感じる。
「写真があるんですけど。」とスマホを取り出し意中の髪型を見せる。なんとまぁ画面に映るは自分。しかも前回母親に切ってもらった直後に自撮りしたやつ。スマホを取り出そうとした瞬間もう一段上がったように感じた「そないにオシャレな髪型にはできまへんで」との警戒心にまず歩み寄るべく「これ実家に帰った時に母親に切ってもらったんですけど」とすぐさま前置きしハードルを下げる俺は優しい。更にスマホの画面を遷し、待ち時間にX(旧Twitter)で「本日の試合のメンバーです」と流れて来た母校の大学ラグビー部の写真付きメンバー表を開く。「前髪はこんな感じで段差ある感じにして下さい。」とリザーブの池上くんの前髪をズームアップし指差す。見知らぬ池上くん。四條畷高校出身。まさか10ほど離れたOBに髪型のサンプルとして自分の写真が使われているとは思いもしないだろう。俺の方こそ"母親に切ってもらった時の自撮り"と"10個下の後輩"の写真をハイブリッドに見せてオーダーする日が来るとは思いもしてませんでしたよ♪
警戒心がすっかり解けたか序盤からしっかり話しかけてくるヤサ師。気を遣って話してくれるというよりはお話し好きな雰囲気。喋るんかい、ええけど。おネムにて寝れたら寝よくらいに思っていた中、意識の上澄みでフワフワと喋る。滋賀出身であることを告げるや娘さんの旦那さんが滋賀出身、との共通点を広げに広げてくれるヤサ師。俺より圧倒的に滋賀に詳しいヤサ師。その他福井や京都など地理の話多め。俺以外の人間っていうのは全員高速道路の名称と配置を理解している。
終盤に差し掛かっている雰囲気は漂っているが襟足と前髪筆頭に「まさかこれで終わりませんよね」の仕上がり。案の定椅子下から鏡を取り出し仕上がりましたとの如く後頭部を見せてくれる。いや襟足なが。「襟足あと2センチくらい切ってもらえますか。」と言うと「いいよぉ~。」とのこと。いいよぉ~やなしに。
襟足がOKな長さになるや、また漂う仕上がりました感。前髪に段差がついていないにもほどがある。「あ、前髪こんな感じで段差つけてもらっていいですか。」とまたX(旧Twitter)を開き池上くんの写真を見せる。「いいよぉ~。」いやいいよぉ~やなしに。
前髪にほど良い段差がつき、OKな印象。続いて待ってましたなシャンプー。首部分が凹んだ洗面台に顔を埋める理容室タイプのやつ。シャカシャカと気持ちよく終了。そして更に待ってましたな顔剃り。剃る前に保湿用の熱いタオルで鼻以下を覆われる。その状態のオレをよそに喋り続けているヤサ師。当然無言の俺。目に多少の笑みをこぼれ出しリアクション代わりとする俺は優しい。お話し好きな人ってお話し好きだわ。
顔剃りも気持ちよく完。施術時間は全部で体感約30分。細かくオーダーしさえすれば仕上がりも◎。これだけついて2000円は大変素晴らしいパフォーマンス。赤ペン筆記体で書くところのexcellent。また来ます。
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