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福本博己


福本博己。僕が大学で出会ったなにわの高身長シュール仁義君である。

第一印象は今も鮮明に。入学オリエンテーションの日、場所は中国語専攻新入生が集められた教室。僕が隣にいたDarwin・D・Wu(以下Dとする)と話していたとき、僕の真後ろの長テーブルに、慎ましやかな中国語専攻メンバーが密する教室にいて明らかに異彩を放つ2人の垢抜けイケ男がいた。福本博己と松本貴也だった。聞こえるに三重出身らしい松本が大阪出身らしい博己に「大阪やったらどこで遊ぶん?」とパリピの重鎮みたいな落ち着き払った口調で聞き、対等のテンションで「まぁ梅田か難波やな。」と応答する博己。「うわこわ。本場大阪の即戦力大学生やん。高校で大学生してたんか。どういうことなん。」などと思い、結局その日は背後にそのオーラを感じながらも一言も交流することなく、ヤンキーと同じクラスになったときの感触で終了。これが博己に対する第一印象。

それをフリにした第二印象が以下。入学3日目くらいに、僕がDと吉永と3人組体制の様相を呈し豊中キャンパスカルチエ付近を歩いていると、前から未だ喋ったことのないヤンキーこと博己が現れ、今にもすれ違いそうなシーン。お互い同じクラスであることを認知していることは分かるがさぁ如何にすれ違う。という状況で、博己から超笑顔でナチュラル&気さくに「同じクラスやんな」的なノリで声をかけてくれ、数秒立ち止まり会話し、そのまま博己は「また喋ろ」とナチュラルに手を振り去った。第一印象とのギャップに呆気に取られていると、「あいついい奴そうだね。」と、イケオーラを放つ博己に対しこちらもやや警戒体制を敷いていたであろうDが僕の気持ちを代弁するかのように先に呟いた。「な。」と、僕は安心感とワクワク感の混ざった返事をし、スキップをしながら食堂に向かった。スキップはフィクションです。

そのあと博己とは、クラス会のカラオケで互いのカラオケ好きを認識、その1週間後に6名ほどでまた行ったカラオケで更に意気が投合。いざ話してみると、上述のパリピ感は松本が醸造していたものだったようで、博己単体からは受けるのは温かな親近感のみだった。(松本は最後までパリピの重鎮だった。)浪人、野球、お笑いなどのキーワードを軸に共通点も多く、ツボもどうやら近しい。当時は僕側のボケ姿勢が少し前のめり気味だったせいで2人のツボが噛み合うまでに一定の時間を要した気がするが、彼が上手い具合に合わせてくれたのと、どこかのタイミングで僕が落ち着いたこともありピタとハマった。彼は相手のペースに合わせるのが上手い。
カラオケの話に戻るが、金本、高本や僕、ひいては大王赤木も然り、このクラスのカラオケ好き男の集まり方はやや異常だった。吉永、鳥羽の2名だけが置いてけぼりだった。そんな中で博己の歌唱力は随一で、その腹底の力と喉仏から繰り出す日本一のビブラート、と圧倒的な声量から成る低音ヴォイスで聞き手を魅了する。博己の凄み。だがしかし彼とカラオケに行く回数が増えるにつれ、彼はまともに歌うことをほぼしなくなる。大王赤木とタッグを組んでひたすら歌ボケを繰り返す。ネタ合わせいつどのくらいしてたん。の疑問は未だ解消されていない。いや全てその場で生まれたものだったのかもも知れない。この人には敵わない。と思ってしまう凄みのある面白み。どれもシュールの極みで、個人的にドギュンとツボをエグられ泣き笑う。彼は万人受けしようと軽々しく凡に寄せることはしない。そのブレの無さに彼の仁義が詰まっている。森山直太朗「夏のおわじ」は福本博己の代表作です。

そして書きたいは「博己イニシアチブ」。彼はここぞという時にイニシアチブを握り、集団を良き方向に導く。前のめりではなく機転の利いたさりげないイニシアチブ。思い出すは2回生、北京研修序盤の自由時間の折、美味い火鍋の店がありそうだと周りに声かけ、クソ見知らぬ道のりをほぼ地図も見ず道路標示や彼の頭の中にある多少の事前知識を頼りに一寸の迷いなく歩く彼の背中に同級生20名弱が異様なほど不安なく引っ張られ、30分ほどの中距離をニョロニョロと歩いた末お店にたどり着き、結果火鍋もクソ美味い。というエピ。なんで異国のこんな知らん街のこんな入り組んだ場所にあるこんなええ感じの店にその隙のない後ろ姿でたどり着けるん。と、方向音痴(以下うんちとする)の僕の目にその背中は強く焼き付いた。無類の方向感覚の鋭さも彼の特徴である。その後日2人で行った上海の怪しい店にてコワモテ屈強中国人男に絡まれかけたが博己がイニシアチブを握り「俺は怖い!!」と中国語で連呼しまくりその場をなんとか切り抜けた話は都合により端折らせていただきます。ビッグボスこと金昌吉を送る会なんかも彼プレゼンツの骨頂で、彼がタクトを振りクラスの適任者たちに各役割を与え、結果いろんな学年の全員がほっこり温かい気持ちになってビッグボス金昌吉を送別することが出来た。彼の企画には異様かつ自然な安心感が伴う。これが博己イニシアチブ。


博巳は就職して関東に、僕は愛知、となってからも定期的に会う。彼と会うときのほとんどがサシ飲みで、大阪や名古屋ひいては武蔵小杉で近況を喋り合う。彼は僕の伝えたいニュアンスを細部までスッと汲み取ってくれる数少ない友人の1人で、結果本当に全てを話す。スルスルと話す。何を話してもよしなに処理してくれるであろうという安心感によるスルスルである。まだの皆さん彼とサシ飲みしてみて下さい。相性が良ければあなたもスルスルです。まだまだ書きたいことはあるがいい具合にボリュゥミィになって来たので、これからも楽しく健康にスルスル出来ることを祈りつつこの文章を閉じます。なにわの高身長シュール仁義君こと博己に興味を持たれた方はお問合せください。





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