心に残る言葉たち1 子育てと仕事の両立なんてできない

大好きな吉行淳之介の作品に「男と女をめぐる断章~316のアフォリズム」というのがあります。
アフォリズムとは、大辞林によると、「簡潔な表現で人生・社会などの機微をうまく言い表した言葉や文。金言。警句。箴言。」だそうです。
今までのべ1万人以上の人をインタビューして得たアフォリズムたちが、私の中で「生きる力」となっています。
その一端をお届けできたらと思っています。



「子育てと仕事の両立なんてできない」
私がずっと大事にしている言葉です。


2008年の三菱UFJリサーチ&コンサルティング「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究」(厚生労働省委託)によると、妊娠出産前後に退職した理由として、仕事を続けたいけどやめざるを得なかった人が26.1パーセント。勤務時間が合わない、職場の雰囲気が両立支援にむいていない、休業が取れない、自分の気持ちとして難しいという理由が上がっていました。

辞めないで仕事を続けている人でも、「やっぱり両立は無理かな~」と何度思うことでしょうか?

熱のある子どもを「もうちょっとだけ待ってください」とどうしても抜けられない会議の途中焦りながら会議室の外で保育園に電話するとき。

ダメ出しが多くてなかなか終わらない撮影、お迎えの時間ぎりぎり、焦って保育園に駆け込むと、最後の一人としてお腹を空かせながら残っている我が子。

急な発熱、どっちが面倒を見るかで夫と大喧嘩。でもなぜかいつも私が見ることになる。


そうまでしてする仕事か?これが・・・・必ず思います。

そのたびに思い出すのがこの言葉。
実は、こう続くのです。


「中学時代に、勉強と部活が両立したことありますか?両立なんてしょせん無理なんです。」


この言葉が発せられたのは、あるセミナー。20年ほど前、自分が将来子供を作るとして、「仕事と子育て」どうしたら両立できるんだろう。コツが知りたいと思って企画したパネルディスカッションの結びにソニーの子会社で広報をやっていた男性からの言葉でした。

やらなきゃならない!両立すべし!!となれば、自然と肩に力が入り、目は吊り上がり、子どもは委縮。パートナーも委縮、、、、です。
でも、できないんだからしょうがないか!!ま、この辺は手抜きね。
一日ぐらい夜遅くなったって、子どもも死にはしないわ。むしろ保育士さんを独り占め。ラッキーかも。(我が子は一日ではなく、毎日最後だった。。。しかも、園長先生が近くの駅まで送ってくれたこともあったぐらい。。。。涙)

と思えるわけです。

さすが、広報だけにキャッチ―です。この男性、奥様は小児科医で、夫婦そろって、それはそれはお忙しい毎日を送りながら子育てをされていたと思われるだけに、大変心に響きました。たぶん同じような葛藤もあったでしょう。

私自身は、結局、両立できないどころか、仕事も子育ても中途半端でここまできました。
でも、この言葉は、私の肩ひじ張って毎日突っ走らなきゃ!という固い心をずいぶんとほどいてくれました。

前澤さん、ありがとう。(その前澤さんはだいぶ早めにお星様のお国へ・・・・本当にありがとうございました。)






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