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研究開発・イノベーション小委員会の2020年の「中間とりまとめ」の考察

ELPISを発足するきっかけとなった経済産業省の審議会である、研究開発・イノベーション小委員会が「中間とりまとめ」と「産業技術ビジョン」を公開しました。

難しい文章に触発され、以下、少し難しい話を書きますので、興味がある人だけ読んでください(笑)

資料の題名が「未来ニーズから価値を創造するイノベーション創出に向けて」
ということで、"長期戦略を描きこれに基づき強みを活かし、社会課題に応え、出来そうなものでなく必要とされそうな「未来ニーズ」に対応したイノベーションに取り組むことが必要である。"と記述されている。

以下、考察です。

文書では、研究開発型のスタートアップの重要性についても言及されており、これから益々研究者人材の育成や産官学の連携が求められてくるなといった印象。また、"特定分野の専門家や研究人材のみならず、イノベーション創出に関わるマネジメント人材や、システム・事業のデザインを担うアーキテクト、VC 等の投資人材、オープンイノベーションを進めるために産学官を繋ぐ人材など幅広い人材(「イノベーション人材」)の層を厚くすることが必要である。"とも言及されており、学問だけでない各分野のエキスパートの必要性が求められている。この動きは、これまで活かしきれなかった専門技術をなるべく社会に浸透させる、実装するという動きであり、出口を見据えた研究開発の加速を促す流れになると感じる。一方で、出口を見据えた研究だけでなく、そこから新たな研究領域、研究テーマの創出にもつなげる必要はあると感じ、基礎研究にも貢献するような循環型の動きとなってほしい。

未来ニーズとして、これから確実に必要とされてくる産業領域の育成は促進されてくるし、明確には言及されていないけど、これから「航空宇宙産業」の分野も長期目線でのニーズが必ずあることから、力を入れていくべき存在として読みとれる。一方で、これまでは、「宇宙」というざっくりとしたキーワードが並んでいたように思うが、これからは、「宇宙」はフィールドであり、その中のどの「技術」をやっているのかが問われる時代となると個人的に解釈をしている。そのため明確な「研究力」が必要となり、そのような観点から、「異分野」からの参入は必須であり、「異分野融合」、「分野横断」といった部分が重要になると予測している。これは、(株)amulapoで目指している、研究人材の横のつながり、交流、異分野融合の創出の方向性に合致するものと考えていて、「宇宙」に対する新しいアプローチになる可能性があると考えている。

社会課題の解決に対しては、上記が包括的に網羅されているものの、全体の印象としては弱い。これは、まだまだ産業構造として、「経済大国」を目指す、いわゆる「お金が絶対的な価値である」習慣から抜け出せずにいて、社会課題への具体的なアプローチまで言及するに至れていないことが考えられる。この考え方は、若手世代で言及している「若者の価値観」とも少しずれてきている部分でもあるように感じ、まだまだ未来に対する世代間のずれを感じさせられる部分でもある。逆にいうと、若手からすると、ここに価値が生まれていくはずなので、今後いろいろ取り組もうと考えている人は、意識していくと良いのではと感じる。

といった形で、つらつらと書きましたが、これからの産業に対していろいろ考えていくことはありそうですね。個人的には、サイバースペースの話もたくさん出てきていて、事業とも絡みそうで"わくわく"しています。
文章では、ELPISの活動についても取り上げていただいているようです。これは、中央省庁の若手職員の頑張りによるものであり、「若手ワーキンググループ」が小委員会の下に設置されました。

今後の動きに注目をしていただけたらと思います。


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