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自分史〜私には初恋がありません

転校して半年近く経ちながら、
クラスではなかなか話しもまともに出来ず、
特に女子は席のまわりぐらい。
相変わらずのイジメ言葉もありながら、
なんとなく過ごす日々だった。

家が近所で、転校初日から面倒をみてくれた
同級生の男子から、
「ある女の子が交換日記をやりたいと
言っていて、それだけでもやってくれない?」
という話しが。
正直、クラスメートの女の子なんか
まだ全員の顔と名前が一致しないぐらい
付き合いのない環境だったので、
ちょっと不思議だったが、
日記ぐらいならと安易に承諾。
交換日記を始めてから、
ようやく誰かがわかったような状況
だったので、興味関心も無く、
ただ面倒をみてくれた友人からの話しだし
むげには出来ないしと思いつつ
なんとなく続けていた。

ある日、その同級生の男子から
「もし一緒に映画を観に行くとしたら
どの女子と行きたい?」と言われた。
どの女子と言っても、
クラスメートの半分はまだ喋った事も無い。
毎日挨拶するのは、
席が近くで掃除当番が一緒の女子ぐらい。
交換日記をしていた女の子もいたが、
実は一度もまともに会話した事がない。
せっかく映画を観に行くなら、
やはり会話はしたい、、という安易な考えから
席近くの女の子の名前を数人挙げた。
まぁ行く事も無いだろうしね。。

その後一週間経ったぐらいだっただろうか。
夜遅くに玄関のチャイムが鳴る。
父は夜中の帰りだし、
母は早朝からの仕事だから寝ていた。
玄関を開けたら、
話しが出来る(映画を観に行くならと
名前を挙げた数人)女の子が立っていて
「◯◯ちゃんがあなたの事で
手首を切ったらしいよ」と。
◯◯ちゃんとは、交換日記をしていたが
ほとんど会話した事がない人。
でも自分を理由で!!自殺未遂!!

すぐに数人の女の子達と
◯◯ちゃんの家というところに向かうと
本人が外に出ていて
「ごめんななさい」と繰り返しながら
泣いていた。
幸い、手首を切ったのではなく、
手首を切ろうと考えた、、という話しが
間違って広がったらしいが、
私が誰と映画に行きたい?という質問を安易に答えてしまった事が原因だった。
私は何も言えず、
ただ立っていただけだったが、
今考えるても何が出来たかはわからない。

翌日には◯◯ちゃんも
普通通り登校し、何もなかったような日々だったが、当然ながら交換日記はやめた。

そして私自身も
二度と女の子を選択するような発言や行為は
やらないと心に誓った。

その頃からだろうか。
逆に気軽に女の子と誰とでも
話しをするようになったのも。
実際に、小学校時代の成島先生からの教えや
幼い頃は身体が弱かったので
男の子よりも女の子と遊ぶ事に慣れていた事も
あったのかもしれない。

まわりからは、
中澤は誰誰が好きみたいだとか
よく言われもしたが、
私の中では、
絶対異性に好意を持つ
生き方をしないと心に誓ったあの日から、
そのような感情は長い間
押し殺し、捨てていたのが実情だった。

それは、
家に帰ってからの一人が
とても寂しいという事を覚えた事にも
自分の中では繋がっていた。

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