独学の10ステッププロセス
「SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル」の中で紹介されている独学の10ステッププロセスの要約です。
基本的な考え方
・知らない部分を知るために必要な程度まで学ぼうとしているものについての基本的な理解を得るところからスタートする
・次にその情報を使って学習したいことのスコープ(範囲)と学習成功のイメージを定義する
・この知識をもとに参考資料を見つけてくる
・最後にテーマを身につけるまでのコースを描いた学習プランを作り目標達成のために最も役立つものだけに参考資料を絞り込む
ステップ1〜6は一度限りのステップとなりステップ7〜10までは学習プランの中に作った個々のモジュールごとに繰り返す。
ステップ1:全体像をつかむ
・テーマについての全体像をつかみこのテーマがどれくらいの大きさのものなのかを理解するために必要な事柄だけを学ぶ
・ネットで学習テーマについて書かれたものを探し、ブログポストや記事を流し読みする
・学習テーマについて書かれた本があればイントロダクションを読む
・あまり時間をかけすぎず数時間程度に納める
・ここでの目標はテーマについて実際に学ぶことではなくこのテーマはどのようなものなのかどれくらい大きいのかがわかること
ステップ2:スコープ(範囲)を決める
・実際に学びたいことをはっきりさせるために前のステップで得た情報を使って管理しやすい範囲に焦点を絞り込む
・スコープを広げたい誘惑を断ち切って出来るだけ焦点を絞り込んだものにする
・スコープを決めるにあたっては使える時間を考慮する。1週間が期間ならその期間内に学べることについてリアルに考える
【スコープ分割の例】
元のテーマ:写真を学ぶ→適切なスコープ:ポートレート写真を撮影するための技術
ステップ3:成功の基準を決める
・目的達成の確認のために成功基準は評価できるものでなければならない
・いい成功基準はあなたが目指すべき目標を示してあなたが脱線するのを防ぐ
【成功基準の例】
■悪い成功基準
デジタルカメラでいい写真が撮れるようになる
■いい成功基準
デジタルカメラのすべての機能を使うことができ、それがどういうものかを説明でき、いつ、どのような理由でそれぞれの機能を使うべきかも言えるようになる
■悪い成功基準
C#の基礎が身についている
■いい成功基準
C#で主要な言語機能をすべて利用している小さなアプリケーションをかけるようになる
ステップ4:参考資料を見つける
・選択したテーマについて学べる資料をクオリティを考えずできるだけたくさん見つける
・後のステップで参考資料をフィルターにかけ最良のものを選ぶがこのステップではブレーンストーミング的に収集する
【参考資料のアイディア】
・本
・ブログ、ネット記事
・Youtube、オンライン動画
・テーマの専門家
・サンプルプロジェクト
・論文
ステップ5:学習プランを作る
・自分の学習プランをたてるときはそのテーマを他人がどのように教えているかを参考にすればよい。
・その際ステップ4の参考資料で選んだ本の目次が参考になる。複数の著者がそれぞれのコンテンツを同じ粒度で分解し同じ順序で並べているなら同じような学習プランをたてるべきである
・ほとんどのテーマには自然に前進する学習法がありランダムな情報の断片を学ぶのは効率が悪い
・あなたの学習経路は本の目次と非常によく似たものになる。基本的にその時々の学習の焦点となるモジュールを並べていって最終目的地に達するという道筋をつくる
ステップ6:リソースをフィルターにかける
・課題を達成するためにどの参考資料を実際に使うかを決める
・参考資料を参照すると莫大な時間がかかるし、内容が重複している
・ステップ4の参考資料を絞り込んで最良のものだけを集めた小さなリストにする
ステップ7〜10を繰り返す
・ここからの4ステップは学習プランに含まれているモジュールごとに繰り返す
・ステップ7〜10の目標は「学習-実践−学習−教え」(LDLT)方式を使って学習内容を身につけていくこと
ステップ7:使い始められるようにする方法を学ぶ
・このステップの目標は学ぼうとしているものを使い始められるようにするために必要なだけの情報を仕入れて次のステップで遊べるようにすること
・自分がしているのは何かがおおよそわかる程度の情報を集めるために教材を流し読みしたり、章のまとめやイントロダクションを読んだりする
・このステップのポイントは用意したすべての参考資料を読んだり見たりしてしまいがちだがその誘惑を断ち切り必要最小限のことを学ぶことに集中する
ステップ8:遊びまわる
・ほとんどの人たちはテーマについて最初にできる限り多くの情報を仕入れて、あとで行動を起こそうとするがこの方法の問題点は本を読んでいるときに何が重要なのかがわかっていない。
・このプロセスのアプローチではあらかじめすべて参考資料を読まずに自分で遊んで実験してみる
・あとで参考資料に戻ったときに自分の疑問に対する答えを見つけたときにはそうでない時よりも達成感があり、なおかつ忘れにくくなる
・疑問に思ったけれど答えが見つからないことを書き出してみる
ステップ9:役に立つことができるところまで学ぶ
・このステップの目標は子供の頃のような好奇心に引っ張られる学習を取り戻すこと
・ステップ8で生まれた疑問に対し集めてきたすべての参考資料を総動員してモジュールのことを深く学ぶ
・しかし、集めた参考資料を完全に読んだり見る必要はなく、今すぐ学びたいことに関連する部分だけを読み、主に遊んだ結果生まれた疑問を解くことに使えばいい
・ステップ3で決めた成功基準のことを忘れず、今学んでることと最終的なゴールとを結びつけ、最終的な目標に向かって前進するために役立っていなければならない
ステップ10:教える
・あるテーマについて深く学びたいと思うなら教えることは唯一の方法である
・このステップでは安全地帯から離れて学んだばかりのことを他人に教えるようにする
・人に説明しようとすることは、自分が学んだことの中に含まれている隙間を埋めるための手段として非常に優れている
・このステップは省略したくなるだろうが他の何をしてもこのステップを省略してはならない
【教え方】
・ブログを書く
・Youtube動画やチュートリアルをつくる
・プレゼンテーションを行う
・友人や同僚と対話する
・オンラインフォーラム、SNSで質問に答える
この学習プロセスのコンセプト
自習学習の方法を身につけるためには、熱心に取り組んで汗を流さなければならないがそれによって得られる利益はとてつもなく大きい。
このステップにこだわる必要ななく大切なのは好奇心のメカニズムを使ってそうでない方法よりも学んだことをたくさん吸収できるようにするとともにその作業に取り掛かる前に学習の手順を構成する準備作業をきちんと済ませて置けるようにするものであるというプロセスのコンセプトを理解することである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?