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ハードウェア単体では勝負できないと思った話(第4回 ニコ技深圳観察会 2016年04月 感想)

2016年4月、アジアのメイカーズムーブメントのキーパーソン、チームラボ高須さんが主催する第4回 ニコ技深圳観察会に参加してきました。(ちなみに、高須さんは日本人というより、アジア人のTakasu sanというような方です。)

深センへの行き方etcは、「女性でも是非いって欲しい!」という気持ちで【中国・深セン】深セン出張に行くことになったら【安全・安心】にまとめました。

2016の深センのキーワードは以下の3つです。

1.深センでの量産

2.国策としてのメイカームーブメント

3.華強北(ファーチャンベイ)


1.深センでの量産

地元の「PCB工場(電子基板製作)」「射出成形工場(プラスチックの成型)」を見せてもらいました。私は、もともと製造業に詳しくないのですが、思っていた中国と違い、工場の中は清潔、換気もしっかりされていたり、カンバン方式で生産管理されていたり、何より働いている人たちがとても活き活きしていました。(戦後や高度経済成長のときの日本のような感じなのでしょうか?中学校卒業したての若い子が、男の子も女の子もたくさん働いていました。)

他のツアー参加者も、深センの工場のクオリティがここまでのレベルにきていることにびっくりしているようでした。

JENESISという、藤岡さんという日本人が経営している工場では、品質管理まやユーザーサポートまで日本レベルのクオリティで生産可能だそうです(1000個~数万個のロット)。

また、Seeedという世界中のメイカームーブメントのサポートをしている企業では、10個、100個といったロットの量産にも対応しているとのこと。

「量産しよう!」と思い立ったら、すぐにでもはじめられる環境が深センにはありました。

2.国策としてのメイカームーブメント

深センは、中国最初の経済特区で、街としての歴史は30年程度の若い街です。大都市・香港の下請けのために、土地と労働力を提供して発展してきました。かつては、製品を中国国内に入れてはいけないため、香港から直接材料を仕入れ、加工後すべて香港に戻す「来料加工」が中心だったそうですが、規制緩和のたびに、自前で請け負う範囲を広げていったそうです(設計、製造など)。

発展に伴い、労働者の賃金が上昇し、いまや「先進国の下請け」はベトナムや中国の奥地などに移り始めています。そこで、深セン政府が主導して、「メイカーズムーブメント」が後押しされ、産業の高付加価値化がめざされています。

深センには、元々国有企業があったところを模様替えして、今、200のメイカーズスペースがあるそうです。Shenzhen Open Innovation Labや、SEG makers+などを見学させてもらいました。欧米からのアクセラレーター HAXも深センにオフィスを構えており、サンフランシスコでのマーケティングもセットでメイカーズをサポートしてくれます。また、欧米企業への中国市場の解説も行っているそうです。

スタートアップは家賃無料で高層オフィスビルに入居可能で、ロボット組み立てキットのMakeblockが入居しています。Makeblockは、2年で従業員200人になったそうです。メイカーズ専用アパートも出現していました。

ここで、彼らの文化がポイントになってくるのですが、彼らは「模倣OK」なのです。

政府がオープンしているメイカーズスペースで、Makeblockの模倣品と呼べるようなロボット組み立てキットが何種類も開発され始めていました。(これは文化なので、非難しようがありません。)

「いいアイデアがあったら、みんなで真似して作ってみて、いいものが生き残る」という考え方なのでしょうか。

3.華強北(ファーチャンベイ)

そして、深センには、世界最大の電気街 華強北(ファーチャンベイ)があります。

2016年4月は、VR、無線給電(Qi)、カメラモジュール、タブレットの基板、モバイルバッテリー、LED、ディスプレイパネルなどでした。

深センには、さまざまな電気系製造業の工場があります。その工場で使われる部品やパーツの残り、その工場のノウハウを模倣したものが華強北で流通するので、華強北のラインナップは、これらのものが「今、世界でたくさん製造されている」「半年後に、世界中で流行る」ということとほぼ同義だと考えられます。

いまいる場所で、手に取るように世界の流行がわかるということは強みです。

「十分なクオリティのものが安く作れる」「みんなでどんどん模倣して競争する」「流行がすぐわかる」という利点を持った都市が、同じアジアにあると身をもって理解して、実感したことがあります。

それが、ハードウェア単体では勝負できない。賃金の高い国は、ハードウェアの周りにある高付加価値のサーバーサイド側のビジネスをやっていかないと未来がない。ということでした。

「アプリケーション」「コミュニティ」「プラットフォーム」「AI」「ビッグデータ」「マシンラーニング」など、、答えはわかりませんが、これからハードウェアやロボットに取り組む私たちは、みんなスマホアプリの時代を経験しているので、そこでの競争や工夫を教科書にしないといけないのだと改めて実感しました。

86世代のわたしは、30年近く日本で育ってきて、ロストエイジとか、バブルを知らないとか言われて、「そんなこと言われても、、」と思っていました。今回、「成長する街」を人生で初めて体験して、本当の「勢い」の意味がすこしですがわかった気がします。「成長」の雰囲気とスピードを知ることができたのは本当によかった。東京から5時間くらいなので、ぜひ体験しにいってほしいです。

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1986年相模原生まれ。渋谷教育渋谷→東京大学工学部→佐賀県→霞が関。つがる市観光大使。サガンティーナ。日本ツイッター学会理事。NPOチイキカラ!。慶應大学復興リーダー会議2期生。佐賀県エバンジェリスト。※この発言は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません
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