俳句ポスト1/10兼題「菠薐草」

今回は俳句ポストに投稿した句についてです。
俳句ポストというのは松山市が運営する俳句投稿用サイトで、2週間に一度お題がでて、それを夏井先生が天・地・人・並の4段階で評価してくださるというサイトです。毎回大体8000前後の投句がある中で、天は最優秀の1句のみ、地も10句程度と非常に倍率が高く、はっきりとはわからないですが、基本的には兼題にそって俳句として成立していれば一人一句は人か並の評価には載るのかな?といった感じです。でも、人で複数採用されるだけでもなかなか大変っぽいです。

今回は1/10分の兼題、「菠薐草(ほうれんそう)」から。


実は俳句を本格的に考えようとし始めたのはこの時が最初なので、まだそんなにたってるわけではないですが、懐かしいですね。
ただ、街のステーキ屋さんのときは完全に一人で考えてますが、俳句ポストは締切前に俳句LINEグループのメンバーでお互いの俳句を見せあい、感想を言い合ってたりするのでその分練られていたりはします。

再検査肉酒煙草ホウレン草
再検査に引っかかってしまってもそんなことは気にしないぞ、と強がりながらもほうれん草に頼ってしまう人間味みたいなものを詠もうとした句。
モチーフとしてはまぁ、いいのかな~とは思うのですが、やっぱりこれじゃあちょっと情報量が足りないですかね~。本当に一番最初にちゃんと作った俳句がこれかも。

菠薐草ザクリと響く離婚の夜
ほうれん草を切ったときの「ザクリ」とした手応えがどうも人を切ったような不穏さを自分は印象に持っていて、その不穏さを俳句に読み込めないかと思い、離婚の夜にほうれん草を切るというシチュエーションで詠んでみました。音の情報を俳句の中に入れ込みたいという気持ちもあったので「ザクリ」という擬音をいれました。状況、時間、音と複数の情報が無理なく入ってて、最初の方に作ったにしてはまーまーよくできてるんじゃないかなー、と自分では思っています。

ほうれん草覚悟は良いかと持つ砥石
切れ味の悪い包丁でほうれん草がうまく切れなかったのをこれから包丁を研いで切ってやるからな!というユーモラスな感じをだしたかった句。
季語がほうれん草である必然性とかほうれん草があまり主役になっていないんじゃないか、とか今見てみると色々考えちゃいますね。
「草覚悟」って字の並びも窮屈な感じも。

使途知らず菠薐草切り待つ夕よ
自分は菠薐草がどんな料理になるかはわからないけれど、とりあえず菠薐草を切るだけ切っておいて、奥さんなり、母親なりが帰ってきて菠薐草を料理してくれるのを待つ、という家庭的な情景を詠もうとした句です。
考えたときは割と好きな句だったんですが、「切り待つ夕」という部分に情報を詰め込みすぎている感じがするかな~、とは少し思いますね。

捨てまいか菠薐草の根赤々と
菠薐草は根の部分が赤くて綺麗、でもその部分は切って捨ててしまう。それを惜しいなと思ってしまう気持ちを詠んでみました。
ま~~、モチーフに目新しさはそんなに感じないですかね~。
詠みたいことを詠みきってはいるかな、とは思いますが。

菠薐草ブーケが如き是を買わん
俳句ポスト人選採用句です。
菠薐草の形はなんだかブーケに似ている気がするな、と思い、一人暮らしの女性の気持ちに重ね合わせて、ブーケのようなこの菠薐草を買おう、という気持ちをストレートに詠みました。
正直、自分的にはパッと思いついてそんなに深く考えずに投稿した句だったのでこれが採用されるのは意外でした。ただ、他の句は割と似たようなテーマの句が多かったのに対して、これはオリジナリティに関しては他の句よりもあったので、そういう部分を評価していただいたのかもしれませんね。
なんにせよ人選に選んでいただいたことは自信になりますし、ありがたいです。

俳句ポスト、皆さんも興味があれば投稿してみてはいかがでしょうか~

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