stand by me見た

子供なのに色々抱えすぎだろっていうのが最初の感想だ。でもその経験が人を強くするんだろうとも思った。けどそんなストーリー展開でもなかった。

ませているというか。文化の違いというか。冒頭のシーンでまず面食らった。仲間との秘密基地的なツリーハウスでタバコ吸いながらトランプギャンブルとか、日本では考えられない。クリスの兄であるエースが仲間とお酒片手に人んちのポスト破壊ドライブしてたのもなかなかの衝撃だった。それにみんな口悪すぎ。一言一言が物騒すぎる。とはいえ、自分自身はそんな関係がかっこいいと思ってるし憧れてもいる。

少年たちのあまりのヤンキーっぷりが気持ちよかった一方、違和感を感じるシーンが多かった。例えば、冒険一日目の晩にゴーディがした話が意味深だった。なんでデブがパイ大食い大会でゲロ吐く話なんてしたんだろう。これはゴーディに関する疑問というより、この話を挿入した監督への疑問だ。この話がその後のストーリー展開に影響を与えたとは思えない。

物語を通して誰かの悩みが解決したとも思えない。ゴーディは亡き兄と両親との狭間で悩み続け、冒頭からずっといい奴だったクリスは喧嘩に巻き込まれて死んでるし、他の二人に関しては何で友達だったのかもわからない。本作のテーマがこの世の混沌と不条理なら納得できる。がそんなの再確認させないでほしかった。子供たちが主人公なんだし、表面上だけでもハッピーエンドにしてほしかった。

本作は主人公の長い回想という形でストーリーがまとめられているが、その前後関係も理解させる気が無さすぎる。それに最後のシーン、「12歳の時のような友人を、私はその後二度と持ったことはない。誰でもそうなのではないだろうか?」というセリフが自分には到底納得できない。あまりにも過去を美化しすぎている。こんなこと言えた口ではないが、今を生きろと言いたい。まあ過去を悔いている様子はなかったか。少年時代の喜怒哀楽と対照的に、あまりにも淡々としていた。

今思うとそうか。なんでクリスの兄が年上ヤンキーのボスとして登場したのかちょっとわかった。ゴーディとの対比だ。ゴーディは過去に優秀な兄を失い。エースは将来優秀な弟を失う。その意図する部分まではわからないが、あまりにも綺麗な対比構造だ。冒険後のゴーディとエースとの関係がどのようなものであったのかが気になる。

全体的に納得できなすぎて、ネットでいくつかstand by meの感想を探して読んだ。どれも納得できるような考察をしているものはなかったが、「~完全ネタバレ考察サイト~さいふぁー」というブログは面白かった。ゴーディがシカの話を秘密にした理由や物語全体のメタ構造を説明してくれていて、なるほどと思った。

この作品を理解するのに自分はまだ社会を知らないひよっこ過ぎた。ゴーディたちのような強烈に印象に残る冒険はしたことがないし、人生の不条理も知らない。だから理解できなかった。そう思う。何十年後、親しかった友を失って初めてこの映画の本当の価値に気付くのだろう。悲しい映画だなあ。人生全体が悲しみに満ちているからこそ、逆説的に一瞬一瞬の思い出が尊いのかもしれない。

映画が意味深だったせいでおれの感想までノスタルジックな感じになってしまった。次見るときは負けないからな。

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