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びりびりをぬいぬい

びりびりと引き裂かれるような気持ち。

で過ごしている最近。


自分の中で

したいことと

すべきことが

びりびりと引き裂かれる。

人に会いたい。

好きなものに触れたい。

でも

今はなんだか、やめておいた方かいいような気がする。

でも今だから、出かけた方がいいような気もする。

些細なことにも悩む。

出かけても出かけなくても

もやもやと何かが心に残る。


命をかけて外に出ている人だっている。

それを選んだ人を簡単に止めたりできない。

誰かのために家でじっとしている人だっている。

それを選んだ人を簡単に外に引っ張り出したりできない。


自分の心も

社会も

びりびりと引き裂かれる。



外出する人、しない人、

ワクチン打つ人、打たない人、

マスクする人、しない人、

人に会う人、会わない人、

入国審査する人、される人、

政変のあった国から脱出できた人、残された人、


立場で、状況で、

選んだり選ばざるを得なかったりして、

びりびりと引き裂かれる。


「夏の嵐」と言う映画を見て

第二次世界大戦が終わった後のことをぼんやり考えていた。

戦争が終わった後、

戦争に行った人と

戦争に行かないかった人の間では

何かがびりびりに引き裂かれてしまって

元に戻れないくらいの見えないの分断があったんだと思う。

戻ってきて

何もなかったように

社会を作るのは

苦しかっただろうな。

「ひまわり」とか「シェルブールの雨傘」とか「浮雲」のことも

ぼんやりぼんやり思い出していた。


最近、刺し子をしている。

「刺し子」とは東北でよく行われている手芸らしい。

詳しくは知らない。

布巾などの布に赤や青の糸で伝統的な模様を縫っていくのだ。

シンプルだけど、美しい。

ひょっと、ネットの記事か何かで見て興味が湧いて

我流でなんとなく始めてみた。

楽しい。

期限があるわけでもなく、

誰に見せるわけでもなく、

好きな色の布に好きな色の糸で好きな模様を縫っていく。

楽しい。

何かを縫うのは楽しい。


身近な人がパッチワークをしている。

バラバラにした布を綺麗な模様に縫い直すその作業は

とんでもなく、めんどくさい。

とてつもなく、技術がいる。

ただ

出来上がった作品は美しい。

もう元の布とは違うけれど美しい。

めんどくさい作業を越えたから現れる美しさがある。


このびりびりのばらばらの気持ちや社会だって

元に戻らなくてもいいから

何か別の

美しいものになったらいいのに

ぼんやり思う。

ぼんやり思いながら

糸と布で

ぬいぬいとしているのである。

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