し26

木の葉が遠くで手を振っている
私は手を振り返す
心地よいねむみの中

ツバメが眉間をくすぐる
淡いオレンジのティッシュに
眼球は包まれ
雲は流れる

おじいさんの背骨が曲がる方向の
ミサイルに肩をすかされ
それでもまだねむみの中

虹色幻想、小窓より
ニヤニヤとこちらを見ている
階段のような二重瞼に皮膜の光沢
肘にまで連なった数珠
何重に首元にも、数珠 

黒き苦汁を流しこめ!
アメンボの足はメロン味
右足小指でスキップを試み
猫がキリリと尾っぽを立てる
それでもまだねむみの中


彼方より黒いお化けに染まるころ
私の心は夕焼け色のまだ 空一面

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