おさしづの編纂、公刊について

『おさしづ』には、個人や教会などによって私的に編纂、出版されたものと、教会本部から公刊されたものがある。教会本部から公刊されたことによって、明治20年から明治40年までのおさしづのお言葉の全体に触れることができるようになった。

原典としての「おさしづ」公刊に際しては、一言半句たりとも親神様のお言葉以外の言葉が混じってはならず、教会本部にて保存されていた筆録保存されたものの検討には慎重を期されている。

初版本刊行は、教会本部に保存されていた「書き下げ」をもとに、松村吉太郎収集のもの、各教会保存のもの等を集め、比較検討を加えて、採録範囲の基準として、

①刻限

②教会本部関係のおさしづ

③教会本部在籍者の家族に関するもの

④当時の直轄教会長の家族に関するもの

⑤一般教会事情

以上の5つに限定してまとめられた。おさしづ編纂の具体的な話については、その任にあたった桝井孝四郎『みちの秋』に詳しい。※後日記す

こうして刊行されたのが、次に列記するおさしづ本である。

1)33巻本 分冊

昭和2年10月〜同6年6月、書体は原文のままで、仮名書きが多く、旧仮名遣いである。

2)8巻本

昭和11年〜同12年、分冊本を8巻にまとめたもので、これは教祖五十年祭・立教百年祭記念として全教会に下付された。

しかし、この8巻本は、当時の戦時下の思想統一による政府の弾圧で全て回収廃棄となる。※この間の事情については、東井三代次『あの日あの時おぢばと私』に詳しい。後日記す

3)8巻本の復刊

昭和23年10月26日、とくに本部の重要な立場にある者のみに配布された。

4)7巻本 改修版

昭和38年10月26日発行、昭和41年、教祖八十年祭記念品として全教会に配布された。

昭和51年12月26日、改修版の縮刷版発行。

改修版は、8巻本のおさしづを、できる限りルビ付きの漢字混じりの書体にし、仮名遣いも新仮名遣いに改め、教会事情の一般的なものを巻末に一括して配列、整理している。また、これまでに未採録のものを補遺として7巻目に組み入れられている。※改修版の編纂に関しては、宇野晴義『天理教資料研究』に詳しい。後日記す