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思い出の絵 april.2023

あまり記憶が良くないのか、思い出も一年に一つ程しか覚えておらず、、、そんな中で、幼少期の心象風景として、いつもある数少ない思い出が脳裏に浮かびました。

ひょっこりと家を出て、ひと気のない田んぼの方にある、だれかの畑に座り、何をするわけでもないけれど、冒険のようなピクニックをしていた頃があり、、、
目の前に広がるレンゲ畑、野菜から咲いた花々、ひばりの鳴き声、広い空に、ぽかぽか降り注ぐおひさまと、遠くには土手の緑、、、
誰にも邪魔されない、花々や緑、生きとし生けるものとの一体感。
あそこに行けば必ずある、、、わたしの中のそんな場所。

そんな時期に、遠くに自転車でおじさんが通り去りながら『なにしてんだい?こっちおいで〜』と、今思えば、特に意味もない声かけで通り過ぎて行ったのです。
その瞬間、急に目が覚めてしまったのです。楽しい冒険ピクニックが終わってしまったというか。
ずっと草花に囲まれてここに居たかったのに。
なんで声をかけるの?と、寂しさと共に終わってしまったその記憶。

淡く色をのせているやんわりとした柔らかな世界から、出たくないなとも。混ざり合わないこの色彩のの美しさに留まりたい、、、。

思い出を、色に置き換えるように進んでいくと、地面から押し上げるような力のようなものを感じ、あぁ、外の世界に出る、そのひと押しを、足元に広がる土に草花が与えてくれてたのかもしれない、、、。
あの光に包まれていた時間は、急に終わりを告げた訳でもなくて、ひとり寂しく取り残された少女でもなくて、ちょっとだけ広がった世界を歩いてきた今のわたしが、あのお花畑に座る小さなわたしの隣にちょこんと座り、また世界に身を委ねているようでした。
一緒に、ぼーっと眺めました、色を、絵を。
降り注いでいた、あの美しい光を。

土の、草の、風の、おひさまの、鳥たちの、名もなき多くのあの声が、力を与えてくれていたんだ。
夢が覚めたんじゃなくて、
夢の続きを歩いていたんだ。

じんわりと響く、安堵。
やわらぐ寂しさ。

ふと画面を見上げたときのえみさんの顔が、ものすごく優しい表情をされていて。

ふぅっと。深いひと息が。
ありがとうございました。

すべてとひとつだった世界から出ていくそんな時期だったのかもしれない。描いた後、この記憶の後味が書き換えられた。

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