離された我が家。帰りたい。

コロナ禍の今、在宅ワークが増え、
外出自粛も相まってインテリアが見直されている。

寒さ厳しく冬が長い北欧諸国では、
昔から特にインテリアに力を入れている。

家の中で暮らす時間が長いのだから、
住まい環境を整えたくなるのは自然な成り行きで当然のことと言える。

転居したり、結婚したりして
住まいを変えて環境を一新するのも
これからの物心に取り組むための
大事な基礎になるからであることを、
本能的に分かっているからなのである。

やはり住まいはいつだって重要なのだ。


しかし旅行に行くなどして非日常を味わうと
やはり日常が退屈なものに見えてしまう。

味気ないし、地味だし、生活感が溢れているし、全くリラックスできない。

だから今自宅を旅館やホテルの部屋のように改修することが流行っているらしい。

たしかにそれなら少しは快適さが増えるのかもしれない。


でもそれは居住環境が整い、住み慣れた我が家というベースがあってできること。

いざこれからホテル住まいで。
もうしばらくは押さえてあるから、とか。
高級旅館にしばらく泊まり込むから。

生活が始まってしばらくは非日常的な生活に満足し、自宅に帰りたくなくなるかもしれない。

一生このままの生活が続けばいいななんて思うかもしれない。

インテリアはお洒落だし、布団は柔らかくふかふかで寝心地は良く、家事からは解放される。
万々歳。なんて素敵なのだろう。
お金さえあれば良いのか。
やっぱり仕事頑張ろうなんて前向きになれるのかもしれない。

でもしばらくその生活に慣れてくると、
非日常が日常的になるのだから、
だんだんと生活感が出てくる。

また始めは気がつかなかった不満まで飛び出してくる。

枕が柔らかすぎて眠れない。
やっぱりあの枕ではないと落ち着かない。
高さが合わないのよね。

なんだかいつも肩肘を張るようで疲れる。

やっぱり勝手知ったる自宅が良いと思うようになる。私はそう。

だって自分の生活とか、勝手に合わせ成り立ってきた住まいだもの。
自宅ほど自分にとって都合の良い場所はない。

他人からしてみて、私の家は私には合わないのかもしれない。
あなたは住まいを変えた方がいいと思われるのかもしれない。


しかし結局自分のことは自分にしか分からない。



いきなり住まいを追い出されたら、
ホテル住まいも旅館暮らしも慣れない。落ち着かない。

やっぱり我が家が恋しいと、泣いては(我が家への)想いを募らせる。

やっぱり我が家が一番だよね。

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