2021年秋アニメ備忘録

今年もよろしくお願いします。(ネタバレ注意)

秋アニメ雑感

王様ランキング

画面は情報量が多すぎず観やすく、アクションはかっこよく、細かな日常芝居作画もいちいち優れている、観ていてとても爽快、気持ちいいアニメでした。
キャラクターたちに明確な悪役がいないのもいいですね。それぞれの信念・価値観に乗っ取って動いていて、感情の向きもストレートで分かりやすいです。
7話(絵コンテ・演出:御所園翔太)の広角・魚眼・俯瞰等独特な構図・レイアウト、9話(絵コンテ・演出:今井有文)の背動やカメラワークを駆使したアクション作画。この2回が特に好きです。2クール目も楽しみ。

海賊王女

王道冒険ファンタジーアニメ……かと思いきや、残り2話でまさかの方向へ。アドベンチャーゲームにありがちなこういった展開は若干辟易ぎみです……。もう少し冒険していてほしかった。
作画や演出は毎話素晴らしく、特に7話の海賊船爆破シーケンス(エフェクト作監:中澤一登、橋本敬史)や、11話の回想シーンの演出(演出・作画監督:黄瀬和哉一人原画)は印象深いです。

かぎなど

Key作品のキャラが集うオールスターアニメ。
9話のメタギャグが極まってて面白かった。

キミとフィットボクシング

ラスト付近でまさかの展開。
こういった自体はそこまで好みではないのですが、この作品はストーリーと噛み合っていていいなと思いました。

古見さんは、コミュ症です。

とにかく1話のクオリティが凄かったです。
最初の小学生が歩いているカットからもうアニメの楽しさ満載。
黒板で只野くんと古見さんが筆談するシーケンスは感情がダイレクトに伝わるような演出が素晴らしい。詳しくははてブロに書きました。
アニメ『古見さんは、コミュ症です。』1話 備忘録 - 茶箪笥の奥

ギャグ自体はそこまで好みではないのですが、テンポの良さと安定した作画、書き文字の表現の楽しさで最終回まで観てしまいました。
あと、OPが本当に良いですね。最近流行りの永井博・鈴木英人っぽい色彩、窓枠やフレームが印象的なレイアウト、サビの背動で走る古見さんの解放感、素晴らしいです。
個人的に今年のアニメOPでは1番好きな映像です。

SELECTION PROJECT

リアリティーショーを題材にしたアイドルアニメ。
キャラの行動や審査の内容に最後まで共感・納得できず、モヤモヤするアニメでした。

・厳しいと言われていた本選審査に余裕で受かっていく出場者。
・事前に知らされていない水着審査をはじめ、穴だらけの運営。
・心臓移植の事実が判明して鈴音に過剰に辛くあたる玲那。
・メンバーの投票で敗退者を決めるという意図が読めない審査方法。
・全員敗退からの本選復帰。
・鈴音が倒れているのに「戻ってきて」しか言わず、ライブの心配ばかりす 
 る9-tieのメンバー。

そうはならないだろ、と画面越しにツッコミを入れてしまいそうになります。
それなのに予定調和に感じてしまう、なんとも中途半端な外し方。
しかし、ライブシーンといえば3DCG、という時代に手描きライブが2回も挿入されたことは嬉しかったですね……。
特に7話のライブシーンは大好きです。夏の空気感が凝縮されています。

でーじミーツガール

最近流行りの永井博・鈴木英人っぽい色彩(2回目)が独特なショートアニメ。
気持ちいい水の作画、芝居や表情作画もよく、短編でありながら引き込まれる作品でした。

平家物語

『けいおん!』や『たまこまーけっと』、『リズと青い鳥』等で有名な山田尚子監督の新作。原作が原作なので、教科書や歴史書に出てくるような偉人がたくさん登場するのですが、その描き方がすごい。
戦記物や叙事的な描き方ではなく、800~900年前に確かにそこに生きていた人物として描かれており、登場人物たちがかなり身近に感じられました。
山田監督らしい、丁寧な日常芝居や感情が伝わる繊細な演出、セル画チックな淡い色彩、練られたレイアウトも印象的。どこをとっても素晴らしいアニメでした。
どのエピソードも良いのですが、あえて選ぶなら9話(絵コンテ・演出:竹下良平)が特に好きです。ストーリーも山場で盛り上がりますし、強烈でドラマチックな演出の連続で、初見時はちょっと泣いてしまいました。
2021年のアニメの中でも最も好きな作品の一つです。(もう一つは『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』です。)
FODの独占配信ということもあり、あまり話題になっていませんが、多くの人に観てほしいアニメです。2022年冬クールでテレビ放送予定。

本編を観た後にこのOP観返すと本当にグッとくる……。

やくならマグカップも 二窯目

多治見市が舞台のご当地陶芸アニメ。
やくも1期を薦められて後追いで観ました。2期はリアルタイムで。
世界名作劇場を制作していた日本アニメーションらしい丁寧な日常・季節感の描写が印象的でした。
陶芸をテーマにしていることもあり、単純な日常モノではなく、創作の悩みが多角的に描かれています。
土視点でストーリーが進む4話「土のひとりごと」が強く記憶に残っています。

ルパン三世 PART6

アクション作画に迫力がないのが残念でした。話のテンポも妙にもたついてるような。
そのせいか、本筋のルパンVSホームズに全く興味が持てなかった。
虚構をテーマにした10話は面白かったですが(これも押井守を知っているからこその面白さかもしれない)、それ以外の短編はなんとも……。
せっかく各界の有名小説家・脚本家が名を連ねているのに、なんだかもったいない気がします。

ワッチャプリマジ!

王道スポコン女児アニメ。
ギャグ調が続いたプリティーシリーズへのカウンターと捉えてます。
総監督:佐藤順一 というだけあって、カレイドスターが思い出されますね。
絵のクオリティはイマイチですが、それを補うシナリオとキャラクターの力が凄まじいです。
中でも1クール目の最終話、13話(ドラマパート絵コンテ:佐藤順一)はまつりとみゃむが真に認め合う重要回。とても熱い展開でした。呼び捨てイベント最高!


楽しみな冬アニメ

「明日ちゃんのセーラー服」
既に発表されているPVだけでも、作画演出が凄まじそうな予感。
監督・脚本・キャラデザをはじめ主要スタッフが女性スタッフで固められているのも印象的。

「あたしゃ川尻こだまだよ~デンジャラスライフハッカーのただれた生活~」
監督は、少女革命ウテナで助監督を務めた金子伸吾。
どう調理されるのか楽しみです。