【あとがき】うさぎが追いし?オオカミ様について

小説投稿サイトのエブリスタ様で毎週更新させていただいた拙作『うさぎが追いし?オオカミ様』が完結しました。連載中も完結後も、多くの方に読んで頂けて、嬉しい限りです。このお話は『新人ライオンとハムちゃん主任』の中に出てくるハムちゃんの同期"篠原雪兎"とその上司である"黒川一狼"の話になります。

 今だから話せるお話ですが、こちら某B様の公募にて、しょぼい判定を食らったボツ原稿がベースなんです。そのときはこんなにも長い話ではなかったですし、イギリスに行く展開も前の彼氏が出てくる展開もありませんでした。結果の後、改めてこの作品を見つめ直したんです。応募した文字数の話では、結局のところ何が言いたい作品なのかもわからず、魅力的な話でもなかったと思います。作品を通して言いたいことはなんだろうか、キャラのそれぞれの意味ってなんだろうか、とプロットを練り直して今の話になりました。応募作品として書いているときに、いろいろ膨らんできた設定を書き溜めておいたのがよかったのかもしれません。
 初めての出版社の公募とはいえ、自分の作品が可もなく不可もなくどころか、触れられることなくスルーされたのだと思い、自分の未熟さを受け入れるのに時間がかかりました。(このときに半ば、やけくそで某ちるちる様の公募を書いたため、とんでもないクソエロな話になってしまったのは内緒)
 私が生み出した主役の二人の心情と関係性を表現するには、短すぎました。
文字数も倍以上にはなりましたが、書き直した結果、自分も納得できるお話になったと思います。

※ここから先はネタバレを含みます※
 書いているときに引っ掛かったのは、どうして黒川はイギリスに行くことを選んだのか?なおかつ、黒川と白木はどこからスレ違ってしまったのか。黒川の性格上、イギリスに行くだろうと思いました。でも、理由をつけなくては行動できない彼は、何を思ったのか。
 この作品には『お互いが追いかけるものは何か』というテーマがあります。
セフレではなく恋人になりたかった篠原、恋人ではなくセフレという関係がちょうどよかった黒川。どんな立場になっても愛し続けたかった黒川と、白木の家のものでなくなったら自分に価値がないのではないかと不安な白木。
それぞれのスレ違いが結果、交差することなく終わってしまったのは後者でした。追う立場から追われる立場に変わるところ、また逆もしかりです。

 サポータ特典にもなっていますがサブストーリーとしての『それは、美味しい紅茶のあとで~Gray memories.』では、執事灰田視点の回想があります。
白木のそばにずっといた執事灰田が白木家の執事という立場を捨てて、白木の元に駆けつけます。そのとき白木は自分のことを理解していた身近な存在に気づくんですね。実は黒川もそうだったのに、白木は気づけなかった。そして黒川は、その後、篠原と出会ってしまうのですが。

 ハムちゃんを取り巻く周辺の人物で黒川一狼という人物は少し変わってました。闇の抱え方が特殊といいますか。一筋縄ではいかないといいますか。だからこそ時間が必要だったし、心が入れ替わるエピソードも必要だったんですね。

一連のシリーズ(ハムちゃん、要、そして一狼)の中で、このお話が一番好きだという感想をいくつか頂きました。三人に共通するのは、どこか真面目なのに素直じゃないところ、頑固なところ、なのかなと考えていますが、その好き嫌いの差が生まれる箇所はどこなんでしょうね。ちなみにハムちゃんより要が好きな人もいます。誰が一番人気というわけじゃないのが面白いところですね。
 今は、要の親友"和田拓海"の話を進めておりますが、珍しく攻め視点で楽しく書いています。こちらは予定では十話完結で、6月中には終わります。
新たに、出てきた杉浦先生も、面白いキャラだなと思うので彼についてお話するのを楽しみにしておきます。
 そして地味に期待されている(らしい?)龍崎と寅山のお話も、落ち着いた頃に…。

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