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こちらを向ける

流行りのものが許容できない。
熱に浮かされたあなたははしゃぐだろうから。
想定された客層にあなたが入っていて、それにまんまと盛り上がっている様なんて見ていられない。今この瞬間に最も魅了しているのがそれなんて苦痛だ。ありえない。吐き気がする。

元来より好きなコンテンツ。ノスタルジーに浸れるもの。狂ったように熱中しているもの。目の前を通りがかった動物。過去に遭った酷い経験。そのすべてがあなたを形作って、肉付けられていく。それに僕はいない。と思う。

これはわがまま。利口じゃない。でも自分に繋がれた首輪のリードを自分で咥えてるのは、虚しい。とても寂しい。といって、かまってと自分から縋りつくのは、“それができたら苦労していない”というやつだったりする。更に言うなら、Subには到底なっていないだろう。貴方を魅了するものは嫌いだが、利口じゃない自分はもっと嫌い。素直になれない。だから嫌い。

自分はきっと考えすぎているのだろう。だが考えずにはいられない。貴方が熱中しているものに嫉妬しています。だからあなたがいま夢中になっているそれを辞めて僕を撫でてくださいなんて言ったら、融通の利かない肉塊と、その人の中で僕を評価するんじゃないか。怖くて怖くて仕方がない。呼吸が難しくなる。わざとらしく挑発して怒らせれば、乱された感情の矛先は僕に向いてくれるんじゃないかとさえ血迷う。

あなたを誘惑する絶対的な存在が憎くてしょうが無くて、舌を噛み切ろうにも不可能。勇気が出ないから。だからゆっくりと窒息して、死んでいくのだろう。その人の理想になり続けたくてもできないダメ人間なのだから、相応しい最期じゃないか。くたばった顔は、笑っているのだろうか。いや、鼻水と涙と血で整理整頓がされていない、散らかり放題の顔になっているのだろう。上手く笑えなくなった日から、いびつに笑う僕をみて笑ってくれればうれしいです。

別にそれが終われば僕のことを見てくれるのかもしれない。だから静かにおすわりすることにする。静かに座ってられないかもしれないけど。そのときはわざとらしく鎖をジャラと鳴らしてみるだけにとどめておきます。

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