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2019 J2リーグ第15節 山形vs金沢 〜キーマン離脱で突き付けられた現在地〜

1.はじめに

 いやぁーーあっっづい!!30℃をゆうに超える真夏日となった今節。マジでぶっ倒れるかと思いました。こんな中で90分間走り回る選手達は本当に凄い。頭が下がります。
 さて、今節の相手は好調の金沢。過去、幾度も煮え湯を飲まされている相手です。更に山形は三鬼の負傷欠場により、ストロングポイントである右サイドからのビルドアップとは異なる武器で戦わねばならない状況。特定の個がいないと戦えないチームだと露呈してしまうのか、はたまた新たな山形の姿を披露出来るのか。
後者になることを期待しつつ、負けられない戦いに臨みました。

2.感想文

2−1.スターティングメンバーとシステム

両チームの布陣は、
山形:3−4−2−1
金沢:4−4−2だと思ってたら実際は4−2−3−1

で試合開始です。

システムの噛み合わせを見てみると、金沢はフラットの4−4−2と思いきや、清原を少し下げて小松1トップの様な4−2−3−1で相対して来ましたので、
①中央で浮く清原に対する対応
②システム上浮く両WBでどう優位を作っていくか

に注目して見てみました。

2−2.前半&後半

金沢は、

攻撃(金沢):
・自陣からのビルドアップは、両SBが一列上がって2−4の形を作り実行
・ビルドアップ開始時、両SHは中央に絞り、DHもしくはSBにボールが入るタイミングでボールサイドのSHはWBの裏のスペースへ斜めに走り込み
→SHへ向かってロングフィード→ボールを収めて起点となる
・起点を作れたら、逆サイドのSHはゴール前ファーサイドまで上がってくる
・中央へのロングボール後のセカンドボール回収については、後方からボールに向かって縦に走り込みながら勢いを持って回収→その勢いのままカウンターに移行

守備(金沢):
・ボールサイドと逆サイドのSHがDFライン付近まで降りて、逆サイドのスペースをケア
・ボールサイドのSHは2列目まで降りて、SHとSBで山形のWBとシャドーを見る
・2トップはサイドへボール誘導
→上記3点により5−3−2に似た形で迎え撃つ
・中央は常にCB2人vsバイアーノの数的優位を保つ←山形DHやシャドーの裏狙いに対しては、SHやDHが付いていく

それに対し山形は、

攻撃(金沢の守備に対して):
・自陣からのビルドアップ時、最終ライン3人とDH2人で3−2の形、もしくは本田が栗山の隣に降りて、両ストッパーが上がる2−3の形で金沢のプレス第一波を突破
・WBがサイドレーンにて高い位置取りをする事で金沢SBをピン止めし、シャドーがボールを受けに下がる事で空いた裏のスペースにバイアーノが走り込む
・WBがポジションを落として金沢SBを釣り出した事で空いた金沢SB裏のスペースをシャドーが狙う
・バイアーノのフィジカルや坂元のドリブルなど、個で勝る部分による打開

守備(金沢の攻撃に対して):
・いつも通り5−4−1でブロック形成
・金沢CBのラインからではなく、DHにボールが入った時にプレス開始
・WB裏のスペースで起点を作られても、割り切って中を固める

奇しくも、この試合は両チーム似たような狙いを持って相対した形となりました。

 攻撃に関しては、両チーム共WBもしくはSBの裏のスペースを突いてサイドから崩して行こうという意図が見られました。
 金沢はSHが一度中央に絞って対面のストッパーを寄せておいて、タイミングよく斜めに走り込む形。対して山形は、ビルドアップの際にWBが高い位置を取り、金沢SBを釣り出してからシャドーもしくは1トップが裏のスペースを狙う形。
 恐らく山形としては、バイアーノがサイドに流れるよりも、シャドーにSBの裏を突かせる事で金沢CB2人の内1人を釣り出し、中央でバイアーノとの1vs1を作り出したかった(そうすれば質的優位で殴れると予測した)のでしょうが、それを見透かされてか、CBは中央で構える形を取られ、サイドからのボールに対する競り合いにおいて優位を作り出せませんでした。
 
 前述の繰り返しになりますが、金沢の守備は基本的に、CB2人は中央でバイアーノを見るような形を取り、バイアーノがサイドに流れる場合以外は中を固め、裏を突いてくる山形シャドーやDHにはSHやDHが付いていく(特定の選手をマークする訳ではないが、人に付いていく守備)ので、裏を突いて中へという状況になった時には近辺大渋滞という場面も少なく無かったですが、それでも金沢DFラインの前(DHが居た位置)が空いていた所も見受けられたので、この状況を打開出来るような飛び道具(ミドルシュート)を身に付けたいですね。
 
 山形は他にも、金沢2列目〜DFラインにおいてバイアーノや坂元の個の力で相手を剥がし、そこから金沢SB〜CBのギャップに位置取りする南にスルーパス、もしくは剥がした勢いそのままにゴール前までドリブルで運ぶ等、実はこっちの場合の方がチャンスらしいチャンスを作り出せていたのですが、残念ながら得点には至りませんでした。

 守備に関しては、金沢の清原のマークにDHが一人割かれ、それに伴いシャドーが金沢DHに、またWBが金沢SBに対しプレスを掛ける際に裏にスペースが生まれ、そのスペースを狙ってストッパーと金沢SHとの1vs1を作られる場面が幾度かありました。ですが、金沢が良くも悪くも愚直にWBの裏狙いを繰り返してくれたので、割り切って中央をしっかり固め、金沢にほぼ決定機は作らせませんでした。

試合終盤、金沢の足が止まってきた事で押し込む時間帯が増えましたが、結果的にスコアレスドロー決着となりました。

3.最後に

 得点するチャンスはあっただけに、スコアレスドローに終わってしまったのは非常に残念でした。相手もある事なので一概に比較は出来ませんが、右サイドに三鬼が居ない状況でビルドアップが上手く行かない場面も多く、代わりに出た選手でどういった攻撃や守備が出来るのか、戦術の幅を広げる作業はまだまだ必要と感じます。可能であれば、単純に個の力で殴って勝ち切るのも一つの手とは思いますが、やはり、チームとして相手をどう崩すかを突き詰めていかないと、山形の様なチームは先が無いのも確かです。
 さて、このドローで首位陥落してしまった訳ですが、6月は上位陣との直接対決目白押しなので、首位奪還、更には勝ち点差を開くチャンスでもあります。
怪我人がちょこちょこ出始めていて苦しい台所事情を強いられていますが、これまでチャンスの無かった選手達の奮起と覚醒に期待して、次節の鹿児島戦を待ちたいと思います。
 それでは、最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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