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2019 J2リーグ第41節 モンテディオ山形vsレノファ山口 〜新・山の神が降臨したっぽい〜

1.はじめに

どうも、僕です。ご無沙汰しております。
さて、残念ながら自動昇格争いからは脱落してしまいましたが、まだPOから昇格を狙える位置に付けている我が軍。しかし勝ち点差2の中に6チームがひしめく大混戦において、1敗でPO圏外まで順位を落とす可能性もあるという緊張感溢れる状況。選手達もかつて無いプレッシャーと戦っている事でしょう。そんな中、今節はチームの底力が試されるレノファ山口との一戦でした。

2.感想文

2−1.スターティングメンバーとシステム

両チーム、以下の形で試合開始です。
山形:3−4−2−1
山口:4−2−3−1

2019第41節vs山口スタメン

2−2.前半

山形は
・攻撃時(ボール保持時)は3−4−2−1(時に両WBが高い位置を取って3−2−5)
・守備時(ボール非保持時)は5−4−1(ハイプレス時は両シャドーが上がって5−2−3)

という平常運転。

対する山口は
・攻撃時(ボール保持時)は両SBと両SHが上がって2−4−4
・守備時(ボール非保持時)は両SHが高い位置を取る4−2−4

という形を取ってきました。

2019第41節vs山口噛み合わせ1

2019第41節vs山口噛み合わせ2

 試合の開始直後から、山形が高い位置でプレスを掛けていきます。実際このハイプレスによって、開始10分までに2度程パスカットからのショートカウンターを繰り出す事に成功しました。が、得点を奪うに至らず、この選択が逆に山口に味方する事となります。山口GKと両CBに大槻・山岸・坂元が、降りてきた三幸に中村が、山口両SBには相対するWBがプレスを掛ける形で序盤を進めたものの、本田もプレスに加わってしまうと山形最終ラインの前に大きなスペースが出来てしまう為、もう1人の山口DH佐藤に対しプレスを掛けられず、そこをビルドアップの出口として使われてしまう場面を何度か作られてしまいました。
 そこから山形の左右CBの裏へロングボールを供給し、大外サイドレーンに張ったSHに勝負させたり、山口SHが山形DH脇に絞ってきた所に縦パスを通し、サイドに流れてきたFW池上及び同サイドのSB、そしてDHとの連携から山形WB裏のスペースを突いてきたりと、サイドの裏のスペースをメインに攻めてきます。この事で、山形DFラインの重心が下がり、最終ラインと2列目の間が徐々に広がってしまいます。
 すると、山口FW宮代や池上が山形DFライン〜2列目間で中間ポジションを取った時の応対に躊躇が生まれたり(DHとDFどちらが応対するのか)、また山形ビルドアップ時に、宮代プレスにより山形サイドCBへパス誘導→山口SHが中央へのコース切ってWBに縦パス誘導→山口SBが縦を切って詰め、横パス誘導→山形DHに横パス入ったタイミングで2FW&2DHで囲んでボール奪取という策に嵌り前進が困難になったりと、攻守に渡って山口の策にハマる時間が続く事となってしまいました。
そして迎えた28分。左WB山田のパスをカットして持ち上がった山口CB菊池から、上がってきたSB川井へ。菊池はそのまま左サイドレーンまで移動し、中村を釣り出す。中村が釣り出されて空いたスペースに宮代が降り、パスを引き出す。熊本が遅れて対応するも、SH山下とのワンツーから裏へ抜け出され、失点してしまいました。CB菊池がパスカットして持ち上がった際、途中で一瞬相手と正対し、山形DHが飛び込んで来れない様にしたのは見事でしたが、そういった細かいファインプレーを差し引いても、重心を下げられた事による山形DFの対応のユルさで後手に回り、失点を招いたのは必然だったと思います。

2019第41節vs山口先制点

40分の2失点目も、本田のクリアミスをフリーで収められ、FW池上にDFラインの前で簡単に前を向かれた事に起因していますし、ここ数試合見られている山形DFの緩慢さが浮き彫りになった前半でした。

 また、押し込まれている間、山形は山口左SB裏のスペースへロングボールを送り、坂元の質で殴ろう大作戦を敢行。何度かチャンスを作り出してはいましたが、最後の所で決められず。DFの緩慢さと共に、攻め手を欠いた前半でもありました。

2−3.後半

 前半ビルドアップを阻害され攻め手を欠いた事を受け、山形は後半開始から大槻に代えて井出を投入。山岸をトップに上げて、坂元・井出の2シャドーで起点を増やす策に出ました。この井出の投入により、前半眠っていた山形左サイドが覚醒。左サイドが覚醒する事により、右サイドへのサイドチェンジが大きな効力を発揮するという相乗効果も生まれました。

 49分、早速井出投入の効果が。
山口DFからFW池上への縦パスを栗山が拾い、松本へパス→松本が縦に持ち上がると、FW池上が中央から、SHパウロが縦を切りつつプレス→井出は山口DHとSHパウロの間に降りてきて松本のパスコースを確保→松本から井出に縦パス→山口右SB石田、FW池上・宮代がプレスを掛けてくるも、ギリギリまで引き付けて松本へ落とす→山田へ縦パス→山田は井出へ横パスと見せかけ、内側へひとつ持ち出してパスコースを作り、中村へ縦パス→井出にダイレクトで落とし、井出は山口右SB裏へ走る山岸へロングパス
という一連の流れ(DAZNで確認してみて下さい)は、井出のポジショニングとテクニックが遺憾無く発揮された場面だと思います。(因みに、細かいですが、個人的に山田が井出に横パスせずに内側に持ち出したのは素晴らしいプレーだと思いました)

 後半に入り、2点リードしているからか、山口のDFラインと前線の意志にズレが出て来て山口DFラインと2列目のライン間が間延びしてきた事もあり、シャドーや中村がその位置でボールを収められる様になっていきます。また、降りて来た山口FWにボールが入る際に必ず誰かが詰めるよう修正した事で、守備も崩されることが減り、安定していきました。

 迎えた53分。GK櫛引からのパスを柳がヘッドでフリックすると、その裏のスペースで坂元が反応。柳に対し左SB川井が反応していた為、CB楠本が坂元に対応するも、坂元がワンタッチで躱してドリブルで前進。この時点で3vs2の数的優位となり、坂元からのスルーパスに山岸が反応して冷静に流し込み、見事得点。
 67分に山田に代えて三鬼を投入すると、山形の勢いは益々加速していきます。
 70分には三鬼が相対する山口右SBを躱してCBを引き連れて降りて来た井出にパス。井出はすぐさま中村へ落とし、中村から本田へ。井出がCBを引き連れて降りた事で山口DFラインのスライドを遅れさせ、そのタイミングで逆サイドでフリーになっていた柳へサイドチェンジ→クロス。
 また72分には、山形ゴールキックから熊本→柳とボールが渡った時、スッと坂元が柳の対応に出た山口左SBの裏のスペースへ入り、縦パスを受けます。坂元が前を向くと、すかさず山岸がファーポスト方向へ。ニアポスト付近にスペース作りつつ坂元からのパスを受け、空けたニアのスペースへ走り込んだ井出へ狙いすましたスルーパス。井出のシュートはGKに阻まれますが、山岸がこぼれ球に反応して同点。
 さらに76分には、山口GKからのロングボールを山口右SH高井と競り合って松本が収め、三鬼へ縦パスを入ます。三鬼はダイレクトで中村へ横パスし、中村はすかさず逆サイドの柳へサイドチェンジ。中央では井出と坂元がゴール前に走り込み、その背後に空いたスペースに山岸が遅れて侵入。そのスペースに柳が速いクロスを入れ、山岸がインサイドで丁寧にゴール左隅に流し込み逆転。
 前述のように、後半の井出と三鬼の投入以降、意図的に相手を釣り出してスペースを空ける、空いたスペースを使って前進する、素早いサイドチェンジでフリーの逆サイドを使うといった意図的な攻撃を数多く繰り出せるようになった事で、2点のビハインドを跳ね返すことが出来ました。

 その後山口は両SBを削って攻めの選手を投入し前掛りに攻めて来ますが、これを凌ぎ切り、山形は見事逆転勝利を手にしました。

3.最後に

前半と後半で全く別のチームを見ている感覚に陥った試合でした。この試合の山形CBの3人は、この緊張感溢れる昇格争いの状況を経験した事がないせいか、プレッシャーで硬くなっていたように感じます。
最終節そしてPOに進出出来れば最大3試合の計4試合、相手だけでなく、この緊張感やプレッシャーとも戦う事になる訳です。2014の時もそうでしたが、昇格の為には、良い意味での割り切りとチームの勢いが大事になって来ます。次の最終節町田戦、相手も残留に向けて死に物狂いで向かってくるでしょうし、ここでそんな相手を叩いて勢いを獲得し、その勢いのままPOへ向かいましょう。
 それでは、最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。


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