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2019 J2リーグ 第3節 山形vs町田   〜目には目をの精神で〜

1.はじめに

 今節は山形恒例、地獄の開幕アウェイ3連戦の3戦目、町田ゼルビア戦でした。前節の横浜FCに続き、昨季4位に喰い込んだ強敵です。しかも、我らがモンテは2016年以降1勝も出来ていないという相性の悪さ。
 町田に対する苦手意識を払拭し、アウェイ3連戦をかつて無い成績で終え、勢いを持ってホーム開幕を迎える為にも、是が非でも勝ちたい1戦です。

2.感想文

2−1.スターティングメンバーとシステム

 両チームの布陣は、
・モンテディオ山形:3−4−2−1
・FC町田ゼルビア:4−4−2(フラット)
で試合開始です。

 さて、いつもの様にシステムの噛み合わせを見てみると、
①1トップの所が数的不利になるが、ここをどう攻略するか
②相手2トップに対し数的優位になるが、前節までと同様、守備対応が整備されているか
以上の2点が......
と行きたい所でしたが、

 実際の所、町田の十八番である縦横圧縮布陣に対し、我らがモンテも同じ圧縮布陣で迎え撃つという、上図の様な状態になったので、シンプルに
①相手DFラインの背後のスペースを如何に突けるか
がこの試合の焦点になりました。

2−2.前半

 町田の縦横圧縮は、
・選手間の距離を近くしてセカンド回収率を高める
・狭いエリアに選手を密集させて数的優位状況を作る
事が容易となり、ボールを奪われても即時奪回からの波状攻撃を狙えるので、主導権を握り易いという特徴があります。
 これに対し、2−1でも述べた通り、モンテは町田と同様に縦横圧縮布陣を敷き、真っ向勝負する事を選択。ただし、シャドーの一角に大槻を起用し、阪野と大槻という2人のターゲットマンを用意。1トップ阪野のタスクであった空中戦や裏抜けを分散させ、攻撃時の選択肢を増やします。また、最終ラインとDHの距離を近くしてセカンド回収バトルを挑み、自分達がボールを持つ時間を増やそうと試みます。

 
 試合開始直後から、町田は主に右サイドに圧縮して縦に素早くボールを入れ、2トップにモンテ最終ラインの裏を狙わせてきました。
 一方モンテは、最終ラインのラインコントロールを細かく行う事で、相手のロングボールに対して優位なポジションを取って競り勝ち、それに連動したDHがセカンド回収バトルを制する場面を数多く作り出しました。そして、徹底して前線のターゲットマン(主にサイドライン際の大槻)に向けてロングボールを送り、空中戦を繰り広げつつジワジワと相手ゴールに迫っていきます。
 
 数度のCKやFKを経て迎えた前半20分。右サイドセンターライン付近、熊本のFKから、町田DFのクリアボールを三鬼が拾うと、縦に仕掛けてゴール前へクロス。ニアで阪野、中央で大槻が潰れた事でゴール正面にこぼれたボールに、逆サイドの山田が詰めて見事な先制点を叩き込みました。この形は、リーグ開幕以降何度か見られた形で、今季モンテが得点パターンの一つとして狙っているものです。それが見事にハマった得点シーンでした。

 その後2度ほど惜しいシーンを作るも、追加点は奪えず。すると40分あたりからセカンドが拾えなくなり、徐々に町田ペースになっていきます。
 迎えた41分、町田はそれまでほぼ攻撃参加の無かったCB深津が左サイドでボールを持つと、奥山と入れ違いに前進。ボールを引き出しに下がって来た山内に縦パスを入れると、山内は食い付いてきた三鬼を躱し、三鬼が上がって空いたスペースに走り込んだ深津へとパスを送ります。この時中央は4vs3の状況でしたが、右ストッパーの熊本と中央の栗山との距離が遠く、また熊本は一人マークしていた為、モンテCB陣はスライドが間に合わず熊本が深津へと寄せる事が出来ません。これにより深津はフリーでクロスを上げる事に成功。中央では森村がタイミングよく斜めに走り込み、あわやというシーンを作り出しました。

 CB深津の攻撃参加に対し、誰が見るの問題が勃発して対応出来ていなかったので、後半同じような場面作られた時どう対応するんだろう?と一抹の不安を覚えて前半終了。なんとか1点リードを保って後半に臨みます。

2−3.後半

 後半に入ってすぐ、モンテはCKから決定機を作りますが、惜しくも追加点ならず。以降もモンテは徹底してロングボールで町田DFラインの背後を狙っていきます。しかし、町田に前半終盤からの流れを維持され、セカンドを拾えない状況が続きます。
 55分位から、モンテはマイボールにしてからDFラインでボールを回しつつ全体的に広がる事により町田の圧縮を解き、サイドでの1vs1勝負からチャンスを作り出そうと試みます。すると、その成果が60分に形となって現れます。左サイドで松本から前線の阪野へ縦パスが入ったところで1vs1となり、阪野が粘ってキープし、インナーラップして来た大槻にヒールパス。大槻がゴール前に入れたクロスは、逆サイドから走り込んだ三鬼に届く前にクリアされましたが、中央には中村と坂元も詰めて来ており、先制点と同じ形(逆サイドの選手がゴール前へ出てくる形)で惜しいシーンを作り出す事が出来ました。

 そして64分、モンテに追加点が生まれます。左サイド深い所でのスローインから阪野がキープしつつ後ろへ下がると、本田が空いたスペースへ侵入。すかさず阪野は浮き球のパスを本田に送り、本田は絶妙なトラップから、町田GKとCB間の絶妙な位置に絶妙なシャレオツパスを供給。町田GKとCB2人が処理に迷ってお見合いしている間隙を縫って坂元が走り込み、記念すべきプロ初ゴールを挙げました。
 この本田のシャレオツパスですが、坂元が狙ってるのが見えててあそこに出したのか、聞く機会があれば聞いてみたいものです。

 その後、町田は
・土居→端山
・富樫→バブンスキー
・森村→ロメロ
と立て続けに選手交代し、前線でバブンスキーにフィジカル勝負させ、ロメロのセカンド回収と推進力でボールを前進、サイドから端山の1vs1勝負からのチャンスメイクと、それまでと戦い方を変えて来ました。
 一方で山形も
・大槻→バイアーノ
と選手交代し、バイアーノを1トップの位置に据えて重心を後ろに下げ、町田に対抗します。
 
 その後82分に得たCKで、ファーのバイアーノのヘッドで追加点を奪い、試合を決定的なものとしました。85分に阪野→末吉に交代し、その後はバイアーノと末吉の二人にカウンターを任せ、守備を固めて逃げ切り体制に入ります。
 後半ロスタイムにシュートまで持って行かれる場面を作られましたが、なんとか凌ぎ切り、3−0の勝利を収めました。

3.最後に

 今回、モンテは町田に対し、縦横圧縮した布陣で真っ向から挑みました。そこに最終ラインのラインコントロールやDHとの距離をコンパクトにする、またシャドーにターゲットマンを増やすなど、講じた対策がハマり複数得点で勝利を飾る事に成功しました。
 個人的には、
・前半終盤に見せた町田CB深津の攻撃参加
・バブンスキーとロメロを投入しフィジカル勝負から活路を見出す
これらを1試合通してやられたら、かなり難しい試合になったのではないかと思います。特にCBの攻撃参加が後半見られませんでしたが、何故実行しなかったのでしょうか?選手判断による即興プレーだったのでしょうか?

 何れにせよ、相性の悪い強敵・町田相手に快勝できた事で、また一つチームに自信が付き、晴れてホーム開幕戦に臨む事が出来ます。
 次節はスタジアムで声を枯らす予定ですが、一体誰がヒーローになるのか、今からワクワクしますね。
 最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

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