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科捜研と鑑識と

警察ドラマでおなじみの「鑑識」と「科捜研」。
混同されがちな2つですが、どう違うのでしょうか。
そして、それらは互いにどう関わっているのでしょうか。

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それぞれの役割と関わりをおさらいしておきましょう。

鑑識の人

「鑑識作業」「鑑識さん」「鑑識官」……etc
鑑識の『仕事』やそれを専門とする『人』を指して、公式・非公式に様々な言葉で呼ばれる「鑑識」ですが、もう少し詳しく見てみましょう。

まずは、『人』から。

都道府県警察において、鑑識の名のつく部署は、
・警察署刑事課の鑑識係
・警察本部刑事部の鑑識課
・警察本部交通部の交通捜査課交通鑑識係
これら3つがあります。
(係が班になったり名称は異なる場合があります)

事件現場で鑑識作業に関わるのは、まず警察署の鑑識係です。
また、重要事件の場合は本部鑑識課の機動鑑識係が要請されます。
(ドラマ相棒の米沢さんはここ)

交通鑑識は交通事故に関わる鑑識を専門とする係であり、刑事部の鑑識とは別の所属となっています。(→ 参考

これらの現場に行くいわゆる「鑑識」の人たちは警察官です。
多くの警察官の中から研修を通して適性を認められた者が鑑識を専門にやっていくことになります。
本部と警察署の間で異動しながら経験を重ね、中には何十年と鑑識一筋でいく人もいます。

また、本部鑑識課には現場に行かない係の人もいます。
指紋の照合を行う鑑定官などがそうです。
鑑定官は専門資格であり、警察官だけでなく、警察事務職員の中からもその適性に応じて選ばれ、研修を受けて資格を取得することになります。

鑑定官は専門性の高い業務のため、警察庁科学警察研究所での研修を受ける必要があるなど、科捜研職員と似た仕組みとなっている部分があります。

鑑識の仕事

鑑識が事件現場でする仕事はドラマでもお馴染みです。
・写真撮影
・指紋や足痕跡の採取
・DNA型鑑定など、鑑定のための資料の採取
・その他物的証拠の収集

そして、持って帰った証拠をさらに調べ上げます。
写真・指紋・足痕跡については、採取から照合まで鑑識課の中で完結しており、犯人を特定することが可能です。

それらの鑑定のため、指紋観察のための各種光源やフィルタ、デジタルマイクロスコープなど、主に観察と撮影のための装置を持っています。

そして、もしDNA型鑑定や化学成分の鑑定など、さらに高度な鑑定が必要なものがあれば、採取するなどして科捜研に回すことになります。

科捜研の人

鑑識の人が警察官と警察事務職員の中から選抜されることに対して、科捜研の研究員は、最初から科捜研職員として、それぞれの専門分野毎に採用されます。
法医、化学、物理、心理、文書のそれぞれの分野について、何より専門性が求められます。
そのため、各分野の大卒以上が求められ、修士相当以上で採用される人も多数います。さらに、業務と研究活動を並行して博士号を取得する職員もいます。

そして、人事異動が無く、ひたすらに自分の専門分野を極めることが求められます。

このようなことからも、鑑識の人以上に期待されるレベルが高いことがうかがえます。

科捜研の仕事

専門分野の知識と技術、高価な分析装置を用いて、DNA型鑑定や化学成分の分析を始めとする各種鑑定を行います。
鑑識の人が採取した証拠品を、科捜研の人が鑑定するという流れが一般的であり、鑑定のための採取方法の指導なども必要に応じて行います。

鑑識が基本的な鑑識活動を行った上で、手に負えない部分を科捜研が担当するというのが基本的な役割分担になります。

分野毎の仕事内容については以下の記事(と、その先のリンク)をどうぞ。

科捜研と鑑識と

このように、科捜研と鑑識ではそれぞれ守備範囲が異なり、それぞれの専門とする内容で業務を行っています。

そのため、科捜研と鑑識は決して上下の関係ではなく、対等な関係にあります。

そして、必要なところは連携を取り、事件の解決に貢献しています。

科捜研の仕事はもちろん、鑑識の仕事にも興味を持った方がいれば、進路の選択肢の1つとして、考えてみてはいかがでしょうか。
(ただし、鑑識は警察官や警察事務職員としての採用のため、必ずしも希望通りに配属されるとは限りません……)


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